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== 脆弱国家ランキング (旧・失敗国家ランキング) ==
[[定量的研究|定量的なアプローチ]]から国家の状態を診断するため、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[シンクタンク]]の一つである[[平和基金会]](FFP)は2006年([[2005年]]度)から毎年、各国の状況を特定の指標によって数値化し、[[ランキング]]化した結果を発表している([[#外部リンク|下記外部リンク]]参照)。ランキング表は、発表開始から数年は名称を「'''失敗国家ランキング'''」とされていたが、[[2014年]]から「'''脆弱国家ランキング'''」([[w:Fragile States Index|{{lang|en|Fragile States Index}}]])に変更されている<ref>[http://www.cnn.co.jp/world/35050083.html 世界脆弱国家ランキング、南スーダンが最も脆弱] CNN.jp 2014年7月12日閲覧。</ref>。
 
=== 評価対象国 ===
FFPは、2008年度から2012年度までは[[国際連合加盟国]] の177か国、2013年度以降はそれに[[南スーダン]]([[2011年]][[7月9日]]独立)を加えた178か国をランキングの評価対象国としている。ただし、[[海外領土・自治領の一覧|海外領土や自治領]]は対象国の一部に含まれていない。また、国連に加盟する[[ミニ国家]]の15か国([[アンドラ]]、[[キリバス]]、[[サンマリノ]]、[[セントクリストファー・ネイビス]]、[[セントビンセント・グレナディーン]]、[[セントルシア]]、[[ツバル]]、[[ドミニカ国]]、[[トンガ]]、[[ナウル]]、[[バヌアツ]]、[[パラオ]]、[[マーシャル諸島]]、[[モナコ]]、及び[[リヒテンシュタイン]])、及び[[国際連合総会オブザーバー]]の[[バチカン市国]]と[[パレスチナ国]]はランキングの評価対象外となっている。
 
注意すべき国として[[イスラエル]]がある。FFPは[[パレスチナ問題]]を抱える[[パレスチナ自治区]]を「主権国家未定地域」として扱う一方、イスラエルの範囲に[[ユダヤ・サマリア地区]](ウェストバンクC地区)<ref>[[第三次中東戦争]]でイスラエルが[[占領]]し、[[オスロ合意]]以降もイスラエルが[[行政権]]を有する[[ヨルダン川西岸地区|ウェストバンク]]の地区。[[国際連合安全保障理事会|国連安保理]]を始め国際的にはイスラエルの一部として認められていない。</ref>を含めている。そのため、イスラエルは「'''イスラエル・ウェストバンク'''」(Israel and West Bank)として扱われており、そこで用いられる数値はイスラエル本国とウェストバンクC地区の[[加重平均|加重平均値]]となっている。また、対象国内にある「[[事実上独立した地域一覧|事実上独立した地域]]」は基本的に独立前に属していた国の一部として扱われているが、[[コソボ地位問題]]を抱える[[コソボ]]<ref>国際連合の暫定統治以前に統治していた[[セルビア]]の一部とされていないが、[[主権]]を有する[[国家]]についても明示されていない。</ref>、[[台湾問題]]を抱える[[台湾地区]]<ref>「[[一つの中国]]」を主張する[[中華人民共和国]](中国:China)の一部とされていないが、主権を有する国家についても明示されていない。そもそも、中華人民共和国は建国以来一度も台湾地区を統治したことがない。</ref>、及び[[西サハラ問題]]を抱える[[西サハラ]]<ref>大多数を[[実効支配]]する[[モロッコ]]の一部とされていないが、主権を有する国家についても明示されていない。なお、モロッコ[[占領]]前の西サハラは[[スペイン]]の[[植民地]]だった。</ref>については全域を「主権国家未定地域としてってである。
 
=== 評価方法 ===
[[File:Fragile State Index 2015.svg|thumb|center|600px|各国を得点のカテゴリー毎に色で分類した図(2015年版)]]
評価方法は、国家の[[統治]]が脆弱化する要因となる12の指標(Indicators)をFFPが各10点満点の総計120点で採点し、点数が高い国ほど国家体制が「脆弱」であると評価する。この指標は、2005年から2013年年度までは'''失敗国家指標'''({{lang|en|The Failed States Index}}; FSI)、2014年以降は'''脆弱国家指標'''([[w:Fragile States Index|{{lang|en|The Fragile States Index}}]]; FSI)と呼ばれている。
 
12の指標は下記の通りであり、それぞれ「結束(力)」(Cohesion; '''C''')、「経済」(Economic; '''E''')、「政治」(Political; '''P''')、「社会と分野横断」(Social and Crosscutting; '''S'''/'''X''')のいずれかの分類に属する<ref>[http://fundforpeace.org/fsi/indicators/ Indicators: Fragile States Index]</ref>。
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=== 最新のランキング ===
各国のランキング、及び各国が獲得した指標毎の点数は、2006年版から年毎にFFPのホームページで公開されている<ref>[http://fundforpeace.org/fsi/data/ Global Data: Fragile States Index]</ref>。また、[[英語版ウィキペディア]]にある『[[w:List of countries by Fragile States Index|List of countries by Fragile States Index]]』では最新版を基準として2013年までの総得点の推移を見ることができる。
 
2018年度のランキングにおける最下位、即ち最も安定した([[持続可能性]]を有する)国とされているのは8年連続[[フィンランド]](178位)で総得点は17.9点である。逆に最高位、即ち最も失敗した(脆弱な)国とされているのは4回目の首位となった[[南スーダン]](1位)で総得点は113.4点である。その他の国としては、2006年度以降にランキング最下なった回数が7回と一番多い[[ソマリア]]が2位、[[ア経験のある国はガニスタ]]が9位、[[イク]]が11位、[[パキスタ]]が20位、ド(8回)と[[ミャンマノルウェー]](ビルマ(5回が22位、[[朝鮮民主主義人民共和の2か|北朝鮮]]が28位、2008年度ロシアと同じ順位だった[[スワジランド]]が40位[[ロシア]]が69逆に最高、[[タイ王国|タイ]]が77位、2008年度で中国順位が同じだった[[エクアドル]]が82位、[[中華人民共和経験のある|中国]]が89位、[[アメソマカ合衆国|メリカ]]が154位、[[大韓民国|韓国]]が156位にそれぞれランクインしている。[[イタリア]](143位(7回)・[[イギリ]](159位ーダン(4回)・[[フラスーダ]](160位(2回・[[ドイツ]](167位)ら[[ヨーロッパ]][[先進3か|先進諸国]]は、軒並み下位るものの、ドイツ以外は「持続可能」ではなく、「安定」に分類されている。[[日本]](158位)は前年(156位)より-2順位が下がった。日本は2011年まで[[G7|G7参加国]]の中で168位の[[カナダ]]に次いで安定した国とされていたが、2012年~2017は6番目に、2018年は5番目に安定した国に位置している。
 
2018年度の主要国のランキングをみると、[[G7|G7参加国]]は[[イタリア]]が143位、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]が154位、[[日本]]が158位、[[イギリス]]が159位、[[フランス]]が160位、[[ドイツ]]が167位、[[カナダ]]が168位と軒並み下位ではあるものの、ドイツ・カナダ以外は「持続可能」ではなく、「安定」に分類されている。また、G7以外の[[G20|G20参加国]]は[[トルコ]]が58位、[[ロシア]]が69位、[[インド]]が72位、[[南アフリカ共和国]]が85位、[[中華人民共和国|中国]]が89位、[[メキシコ]]が94位、[[サウジアラビア]]が99位、[[インドネシア]]が91位、[[ブラジル]]が106位、[[アルゼンチン]]が141位、[[大韓民国|韓国]]が156位、[[オーストラリア]]が170位と順位差が激しく、分類も「警報」に近い「要注意」から「持続可能」まで幅広い。
 
その他の国としては、[[ソマリア内戦]]が続きランキング最高位になった回数が7回と一番多いソマリアが2位、[[2015年イエメン内戦|イエメン内戦]]が続く[[イエメン]]が3位、[[シリア内戦]]が続く[[シリア]]が4位、[[アフガニスタン紛争]]が続く[[アフガニスタン]]が9位、[[ISIL]]による[[テロ]]が続発する[[イラク]]が11位、[[宗教紛争]]・[[民族紛争]]が続く[[パキスタン]]が20位、[[ロヒンギャ]]を始めとする民族紛争が続く[[ミャンマー]](ビルマ)が22位、[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]が28位、事実上の[[絶対王政]]下で権力者の腐敗が進む[[スワジランド]]が40位、[[経済政策]]の失敗による[[ハイパーインフレーション]]が慢性化している[[ベネズエラ]]が46位、[[タイ軍事クーデター (2014年)|クーデター]]で発足した[[軍事政権]]が持続している[[タイ王国|タイ]]が77位にそれぞれランクインしている。
 
=== FSIから見える日本の脆弱性(失敗状態) ===
最新版(2018年度)のFSIにおいて、日本は178位中の158位で総得点は34.5点だった。過去の得点と比較すると、2017年(前年)に対し-2.9点、2013年(5年前)に対し-1.6点、2008年(10年前)に対し+4.8点となっている<ref>[http://fundforpeace.org/fsi/country-data/ Country Dashboard : Fragile States Index]「Select Country to View」のマスで「Japan」を選択のこと。</ref>。日本の順位は前年(156位)より2つ下がり、[[G7]]諸国の中では5番目に安定した国になっている
 
この数値は、「安定」カテゴリーの「より多い安定」ランクに属するもので、同じランクに属する他の国は点数が低い順に[[スロベニア]]、[[シンガポール]]、フランス、イギリス、[[ウルグアイ]]、韓国、[[マルタ]]、アメリカ、[[チェコ]]、[[リトアニア]]の11か国あり、日本はイギリスとウルグアイとイギリスの間に位置している。また、FSIランキングの首位(南スーダン)と最下位(フィンランド)の点数と比較すると、南スーダンに対し-78.9点、フィンランドに対し+16.6点となっている。
 
日本は20052006から2008年までFSIの総合得点が30点未満の「持続可能」ランクに属していたが、[[リーマン・ショック]]の影響から2009年以降は総合得点が30点以上となり、「持続可能」の1ランク下の「安定」ランクに属することになった。更に、2012年は[[東日本大震災]]の影響により総得点が過去最高の43.5点(前年比+12.5点)を記録したがそれ以降は、得点は減少して35点~40点G7[[カナダ]]に次いで2番目に安定した国から[[イタリア]]に次いで2番目に脆弱性を多く抱えた国に2017年まで推移転落ていた。2018翌2013度に得点3536.1を切り、34(前年比-7.54となっ)にまで減少しが、同年以降は36点前後([[平均値]]:35.9点)で点数が推移している
 
最新版(2017(2018年度)における各指標の値は下記の通りである。個別の指標で2.5点以上とされたものは太字で記載している。また、前年からの点数の変化を()内に記載している。
* C1:安全保障装置の状態 (Security Apparatus) [1.9点] (前年比:+0.3点)
* C2:利己的(派閥化)エリートの台頭 (Factionalized Elites) ['''2.6'''点] (前年比:+/-0点)