「耳をすませば」の版間の差分

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=== あらすじ ===
'''月島雫'''は読書が好きな中学3年。ある日、父の勤める図書館で自分が借りた本の[[ニューアーク方式|読書カード]]にいずれも「'''天沢聖司'''」という人物の名前があることに気がついたことから、自分の中で存在感が膨らんでいき、どんな人なのか思いを馳せる。夏休み、雫は親友の'''夕子'''から相談を受けて学校にやって来たついでに、宿直の高坂先生に頼み込んで図書室を開けてもらい、ある本を借りるが、その本を寄付したのも「天沢<ref>ただし「沢」は旧型表記の「澤」と書かれている。</ref>」という名前の人物だった。雫は寄贈者について尋ねてみるが、高坂先生は知らないと答えた上に、待ちぼうけにされて怒った夕子がやって来たためうやむやになってしまった。その後2人は校庭のベンチに移動すると、雫は依頼されていた[[故郷へかえりたい|カントリーロード]]を和訳した歌詞を渡すが、ありきたり過ぎると納得がいかない。さらに遊び半分で作ったコンクリートロードという替え歌風の歌詞も見せ笑い合う。そんな夕子の「相談」とは、他のクラスの男子からラブレターを貰ったというのだがどうしたらいいのか分からないという内容だった。雫がなぜ返事に詰まっているのか聞いてみると、夕子は雫の男友達でもある野球部の'''杉村'''が好きなのだと告げる。その後、雫と夕子は2人で帰ろうとするが、本を忘れた事に気づいた雫がベンチに引き返すと、見知らぬ男子生徒が雫の本を読んでいる。彼はなぜか雫の名前を知っており、さらに「コンクリートロードはやめたほうがいいと思うよ」と歌詞を揶揄する言葉を残して去っていく。怒った雫は「やな奴!!」と連呼しながら家に帰るとコンクリートロードの歌詞を破り捨てる。
 
またある日、雫はいつものように図書館へと向かう途中、電車の中で不思議な太った猫を見つけ、追いかけているうちに[[ロータリー交差点|ロータリー]]の前にある小さな古道具屋「'''地球屋'''」に辿り着く。雫は店内で猫の人形「'''バロン'''」や古いからくり時計など様々な品物を店主の老人・'''西司朗'''に紹介してもらい喜ぶが、12時の時計の音でついでに父親へお弁当を届けるように頼まれていた事を思い出し、慌てて図書館へと戻る。その後、雫が忘れた弁当を届けにやってきたのはまたしてもあの男子生徒で、今度は弁当箱の大きさを揶揄されてふてくされる。
 
新学期が始まり、雫は昼休みに職員室で年配の先生から本を寄付した「天沢」について聞いてみると、昔学校のPTA会長をしていた事と彼の末っ子が学校の同じ学年にいることを知って驚きのあまり飛び出してしまう。そのことを夕子たちにからかわれる中、新しく和訳したカントリーロード』の」を見せると高評価を受け喜ばれる。そして皆がコーラス部の後輩達に歌詞を見せに行くのを断り、「地球屋」に向かうと、お店は閉まっていて男爵の人形も無くなっており、雫は売られてしまったのだと思いガッカリして帰って行く。その一方、夕子は帰り際に杉村から声をかけられていた
 
その夜、雫のもとに夕子から突然電話がかかってくる。慌てて近くの広場へ向かうと、夕子は泣き腫らした目で、杉村がラブレターを夕子に渡した男子から返事を聞いてくれと頼まれたと言われてショックを受けたことと、この泣きはらした顔では学校に行けないから明日は休むと告げる。翌日、夕子が学校を休んだ事を訝しんだ杉村は、放課後待ち合わせた[[神社]]で雫に何があったのか聞いてみると、夕子はアンタのせいで休んだのだと言われて困惑し、自分は野球部の友達から頼まれただけで何でそこまで言われる筋合いがあるんだと言い返す。雫は杉村のあまりの鈍さと無責任ぶりに腹を立て、つい夕子は杉村のことが好きなのだと言ってしまう。すると杉村は、自分はずっと雫が好きだったと告白する。動揺した雫は困惑のあまりただの冗談だろうと無理矢理笑い返してしまうが、ハッキリ返事が聞きたいという杉村の問いかけに自分は杉村の事をずっと「友達」としか見られないし、それはこの先も変わらないとだけ告げて逃げるように自宅に帰り、自分の鈍感さといい加減さから自己嫌悪に陥ってしまう。
 
雫はそのまま思いつめたように「地球屋」に向かうが、相変わらず店は閉まっている。店の前で途方に暮れたままあの時の太った猫に話しかけていると、あの男子がやって来る。彼は猫を'''ムーン'''と呼んでいると話し、雫を店の中に案内しながらこの店の持ち主は自分のおじいさんで、開いている方が少ない事と、元々は古美術品の修理を請け負っていて地下ではヴァイオリン制作の教室を開いている事、そしてあのバロンの人形がおじいさんの宝物である事を教えられる。しばらくバロンを眺めていた雫が地下に降りると、彼は工房で[[ヴァイオリン]]を作っていた。その様子を見ていた雫がヴァイオリンの演奏を頼むと、彼は弾く代わりに歌うように言われ、恥ずかしがりながらも自分が和訳したカントリーロードを歌う。そこへ西老人とその仲間が帰ってきて小さな合奏が始まる。そこで彼が西老人の孫であり、あの「天沢聖司」だと知る。その事で軽く言い争いになる2人だったが和解し、帰る途中聖司はヴァイオリン職人になるために[[イタリア]]へ留学したいという夢を雫に語る。
 
やがて季節は流れ、聖司は学校で「2月間西老人の知り合いの工房で見習いをする」という条件でイタリア留学の許しを親に得たと雫に話し、同時に前々から図書カードで雫のことを知っていたという。確固たる夢に向かって進んでいく聖司と目標のない自分を比べて劣等感を覚える雫だったが、やがて自分も実力を確かめるためにずっと前からやりたかった「物語」を書こうと決心する。それと行き違いになるように、聖司は終業式を待たずイタリアに旅立つ。
 
しかし、雫は物語の執筆に没頭したせいで成績を落として見つかった姉に説教され、母親からも、なにも「受験」という大事な時に、勉強を後回しにしてまでやることではないのではと咎められる。そんな中、雫が図書館で没頭している姿を見ていた父親だけは、人と違う道を行くのは何が起こっても誰のせいにも出来ないから、どれほど自分にとって辛い結果に終わっても覚悟するようにと念を押した上で、雫のやりたいようにやらせようと言う。やがて雫は物語を書き終えるが、それは到底納得のいかない、まとまりの全くない作品で、雫自身もそれを認めていた。だが、最初に読ませて欲しいという約束通り西老人に渡して読んでもらう。それは人形のバロンを主人公にした物語だった。泣き崩れた雫を見て全てを察した西老人は、挫けそうになる中作品を書き終えた事を讃え、バロンにまつわる物語を話す。それは偶然にも雫が書いた物語と酷似していた。
 
翌朝。雫のアパートの前に、1日早く帰国した聖司がやってくる。雫は聖司の漕ぐ自転車の後ろに乗って街を見渡せる高台に行き、2人で夜明けを眺める。聖司は西老人から雫の物語の話を聞いて何も知らなかった事を謝るが、雫は自分の才能に挑戦して良かった事と、先へ進むためにまずは高校へ進学して勉強に励むことを目標にすると決める。それを聞いた聖司は自分が一人前のバイオリン職人になったら結婚しようと言い、雫は小さく肯く。