「JR北海道キハ160形気動車」の版間の差分

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[[鉄道車両の台車|台車]]は軽量ボルスタレス台車 N-DT150 形(動力台車) N-TR150 形(付随台車)で、キハ150形に用いたものと同一である。枕バネに[[空気バネ]]を用い、軸箱支持機構は軸受の左右に配した円錐積層ゴムと、円錐積層ゴムの受座と台車側枠中央下部とを連結するリンク支持との併用である。動力台車 N-DT150 形は各軸に終減速機を装備する2軸駆動である。
 
[[鉄道のブレーキ|ブレーキ装置]]は[[自動空気ブレーキ#三圧力式制御弁|三圧式]]の E 制御弁を用い、[[応荷重装置]]を併設した DE1A 形[[自動空気ブレーキ]]である。下り勾配の抑速装置として、主機関に機関ブレーキ・排気ブレーキを、液体変速機に[[リターダ|リターダブレーキ]]を併設する。{{-}}
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=== 室内設備 ===
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気動車の動力効率向上と環境性能の充足とを両立し、これらの低廉なコストでの実用化を企図して開発されたハイブリッド駆動システムを試験搭載するための改造で、[[北海道旅客鉄道苗穂工場|苗穂工場]]で[[2007年]]に施工された。電動機(モータ)とディーゼルエンジンを搭載し、各々の動力源が駆動軸に直接動力を伝達可能な[[ハイブリッドカー#パラレル方式|パラレル方式ハイブリッド駆動]]の一種で、JR北海道では'''モータ・アシスト式 (MA) ハイブリッド'''と称する<ref name="press">{{cite press release|title=世界初の環境に優しい『モータ・アシスト式ハイブリッド車両』の開発に成功|publisher=北海道旅客鉄道|date=2007-10-23|format=PDF|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2007/071023-1.pdf|accessdate=2010-12-25|archiveurl=https://web.archive.org/web/20121224084502if_/http://www.jrhokkaido.co.jp:80/press/2007/071023-1.pdf|archivedate=2012-12-24}}</ref>。
 
本方式の動力伝達機構として、アクティブシフト変速機 (Active Shift Transmission, '''AST''') が先行して開発された。これは2組の副軸(カウンターシャフト)を搭載する[[デュアルクラッチトランスミッション|デュアルクラッチ式]]の4段自動変速機で、JR北海道と[[日立ニコトランスミッション]]との共同開発によるものである。副軸の1組(2速・4速側)には電動機の入力軸が接続し、エンジンと電動機とは各副軸の噛み合いクラッチを介して個別に動力の断続ができる。
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AST は運転状況に応じて電動機・エンジン・出力軸の接続を切り替え、発車時には電動機のみで起動し、惰行運転・減速の際には電動機を発電機として動作させて発生電力をバッテリーに充電する。エンジンの起動は惰行運転時の発電・一定速度到達後の加速時に限られ、効率の高い回転域のみを使用することで[[騒音]]や[[排出ガス]]の低減に寄与している。各装置は専用の制御装置 (Hybrid Transmission Control Unit, H-TCU) によって制御され、運転室からの[[マスター・コントローラー|マスコン]]やブレーキハンドルの操作に応じて、エンジンの始動と停止、エンジンや電動機との[[クラッチ]]断続、逆転機の断続などを統合的に自動制御する<ref name="RM301">{{Cite journal|和書|author=北海道旅客鉄道 鉄道事業本部技術創造部 井原 禎之|year=2008|month=10|title=モータ・アシスト式ディーゼルハイブリッド車 キハ160形|journal=RM|volume=25|issue=第11号 (No.301)|pages=pp. 120 - 123}}</ref>。伝動系の統合制御が可能になることから、液体式駆動装置で必須であった液体変速機を省略でき、冷却系潤滑系の簡素化や伝動効率の改善が可能である。
 
改造工事では動力系の大規模な換装が行われ、床下では当初装備のエンジンと液体変速機を撤去し、総[[排気量]] 13.0 L の[[コモンレール|コモンレール式]]ディーゼルエンジン (330 ps / 2,100 rpm) と AST<!-- AST(形式:THAN-44-200 -->200) ・主変換装置・電動機が各1基搭載された<ref name="RP810">{{Cite journal|和書|author=北海道旅客鉄道 技術創造部 竹村 泰輝|year=2008|month=10|title=モータ・アシスト式ハイブリッド駆動システム搭載 ITT|journal=RP 鉄道車両年鑑 2008年版|volume=58|issue=第10号 (No.810) 臨時増刊|pages=pp.71 - 72}}</ref>。バッテリー・[[リアクトル]]などの一部電装系は室内 1 - 2 位側の旧ロングシート部に搭載され、機器収納部の上部は荷物置き場に変更された。座席は従来のものをすべて撤去し、転用品の座席をクロスシートとして設置している。エンジン・変速機の換装と電装系機器群の追加に伴い、自重は 34.2 t に増大している。
 
 
 
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長時間の停車や電動機のみでの走行中にバッテリーの電圧が降下した場合、エンジンが自動的に始動し、充電を開始する。
 
この方式は鉄道車両としては世界初で、エンジンを発電のみに用い電動機のみで駆動する[[シリーズハイブリッド|シリーズ方式ハイブリッド駆動]]<ref group="注">採用例には、東日本旅客鉄道(JR東日本)の[[JR東日本キハE200形気動車|キハ E200 形気動車]]([[2007年]])などがある。</ref>との比較では、バッテリーやインバータ装置の小型化が容易で導入費用の低廉化が可能であり、既存気動車の動力系換装も容易に行える利点があるとされる。
 
== 運用の変遷 ==
製作直後より[[日高線運輸営業所]]に配置され、1997年6月より日高本線の全区間([[苫小牧駅|苫小牧]] - [[様似駅|様似]])でキハ130形と共通の運用に就いた。キハ130形が顕著な損耗のため全車廃車となった2002年以降も本形式は残存し、後続として再投入<ref group="注">キハ130形の投入以前、日高本線ではキハ40形を使用していた。再投入された350番台は主機関などの仕様が異なる。</ref>された[[国鉄キハ40系気動車 (2代)#キハ40形350番台|キハ40形気動車]](350番台)とともに引き続き使用された。キハ40形の再投入後は同形式の配色に合わせた外部塗色の変更がなされ、基調色の白色を存置し、正面窓および客室窓の周囲に青色+ピンクの帯を、車体裾部全周に萌黄色+青色の帯を配する意匠とされた。
 
2007年にハイブリッド動力化が施工され、同年8月から苗穂工場で各部機構の機能確認が実施された。同年11月以降、2008年2月まで走行試験が実施され、キハ150形(定格出力 450 ps)より定格出力が 27 % 低いエンジンで同形式と同等の加速性能となることを実証<ref name="RM301"/>している。
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以降も各所で試験運転に供された後、2013年12月20日付で廃車され、形式消滅となった<ref name="RF639">{{Cite journal|和書|author=編集部|year=2014|month=7|title=JR各社の車両配置表 平成26年4月1日現在|journal=RF|volume=54|issue=第7号 (No.639) 特別付録|pages=p2}}</ref>。
 
本車による試験結果は[[振り子式車両#ハイブリッド車体傾斜システム|ハイブリッド傾斜システム]]と軽量車体システムとを組み合わせた次世代車両開発などへの応用が見込まれていた<ref name="press"/>が、同システムを採用した[[JR北海道の車両形式#開発中止された車両|キハ285系]]は、JR北海道の度重なる事故や不祥事を受け、2014年に開発の中止が決定された<ref>{{PDFlink|[https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/140910-1.pdf 新型特急車両の開発中止について](PDF)}} (プレスリリース),- 北海道旅客鉄道,プレスリリース (2014年9月10日)&nbsp;2016年9月10日閲覧。</ref>。
 
== ==
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=== 出典注釈 ===
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=== 出典 ===
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== 参考文献 ==
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* 交友社 『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』(略記:RF)
* ネコ・パブリッシング 『[[レイルマガジン|Rail Magazine]]』 (略記:RM)
 
== 注釈 ==
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== 出典 ==
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== 外部リンク ==