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[[ファイル:Radha-Krishna chess.jpg|right|thumb|400px|チャトランガに興じる英雄[[クリシュナ]]と[[ラーダー]]]]
[[ファイル:National Museum of Ethnology, Osaka - Catur-aṅga - Rajasthan in India.jpg|right|thumb|280px|チャトランガ(インド、ラージャスターン州)]]
'''チャトランガ'''({{翻字併記|sa|サンスクリット語: चतुरङ्ग|chaturaṅga|N|区=、}})は、古代[[インド]]の[[ボードゲーム]]の一種である。[[将棋]]や[[チェス]]の起源と考えられているものである。チャトランガ({{翻字併記|sa|サンスクリット語: चतुरङ्ग|chaturaṅga|N|区=、}})とは[[サンスクリット|サンスクリット語]]でchaturは4そしてaṅgaは部分という意味である。したがって、catur-aṅgaは象・馬・車・歩兵の4つの戦力のことを指し示していると考えられている。アラブ世界の[[シャトランジ]]の源流でもある。
 
二人制のものと四人制のものとが存在した。かつては四人制チャトランガが先に成立し、そこから二人制チャトランガが生まれたとする説があったが、近年の発掘などの成果により、逆に二人制チャトランガの成立の方が先だったとする説が有力となっている。
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また、以前は、[[紀元前4世紀|紀元前327年]]頃、[[アレクサンドロス3世|アレクサンダー大王]]がインドへ東征した際にチャトランガを見たとされていたが、これも現在{{いつ|date=2018年8月}}では、チェスの原型とは異なる盤上遊戯であったか、インドの戦術がチャトランガのそれに似ていたことを、後世の研究者がゲームの起源と誤認したものとされている{{誰2|date=2018年8月}}。
 
戦争好きの王に戦争をやめさせるため、戦いを模したゲームを高僧が作って王に献上したのが始まりとする説がある<ref>{{cite book|和書|title=数字の歴史―人類は数をどのようにかぞえてきたか|author=ジョルジュ イフラー|year=1988/6|publisher=平凡社|isbn=978-4582532029}}</ref><ref>{{cite book|和書|title=ロジカルな将棋入門 (ちくまライブラリー)|author=[[野崎昭弘]]|year=1990/5|publisher=筑摩書房|isbn=978-4480051417}}</ref>。チャトランガは現在でもインドに残っているが、植民地支配を受けていた頃に禁止された影響を受け、かなり少なくなっている。
 
== 四人制と二人制 ==
{{See also|チャトランガ系ゲーム比較表|チャトラジ}}
1790年にインドで裁判官を勤めていた[[ウィリアム・ジョーンズ (言語学者)|ウィリアム・ジョーンズ]]が発表した「インドのゲームのチェスについて」という論文<ref>{{cite journal|url=https://archive.org/stream/asiaticresearche02asia#page/n167/mode/2up|author=Jones, William|title=On the Indian Game of Chess|journal=Asiatick Researches|volume=2|year=1799|pages=159-165}}</ref>に、四人制チャトランガが初めて紹介されている。この論文が、最古のチェスは四人制であったとする根拠となり、[[19世紀]]までの有力な説であった。
 
[[20世紀]]に入り、[[1913年]]に{{仮リンク|ハロルド・マレー|en|Harold Murray}}(H. J. R. Murray)の『{{仮リンク|チェスの歴史 (書籍)|en|A History of Chess|label=チェスの歴史}}』が出版された。この書籍は現在でもチェス史の聖典とされている。『チェスの歴史』では、チェスの起源を四人制とする従来の説を否定している(ただし二人制であったとも断定していない)が、四人制チャトランガについて詳しい解説がなされている。
 
第二次世界大戦後、マレーが自説の一部を修正したことから、四人制起源説が再び主流となった。[[1970年代|1970]]から[[1980年代]]にかけて、四人制起源説が定説となり、この時期に日本で出版された『将棋』([[増川宏一]]による書籍<ref>{{cite book|和書|author=[[増川宏一]]|title=将棋I|series=ものと人間の文化史 23-I|publisher=法政大学出版局、[[|year=1977年]]、ISBN|isbn= 4-588-20231-6)6}}</ref>でも四人制起源説が紹介されている。
 
[[1990年代]]に入り、新たな研究結果が示されるようになった。ミュンヘン大学教授[[レナーテ・ザイエット]]教授は、[[1995年]]に発表した論文「チャトランガ、チェスの起源と原型、古代への観察」<ref>{{cite journal|author=Syed, R. |year=1995|title=Caturanga, Anmerkungen zu Alter, Ursprung und Urform des Schachs|journal=Beiträge des Südasien-Instituts der Humboldt-Universität zu Berlin|volume= 8|pages=63–108|url=https://www.iaaw.hu-berlin.de/en/region/southasia/publications/contributions/contributions?set_language=en}}</ref>の中で、これまでの四人制原始型説に対しいくつかの疑問を投げかけている。また、ザイエット教授は、12世紀初めのサンスクリットの文献『[[{{仮リンク|マーナソーッラーサ]]』([[:|en:Somesvara| III|英語]])Manasollasa}}』にチャトランガの記述があるのを発見し、これには二人制のものが先行して書かれていることを指摘している。
 
さらに、紀元後4~4から[[紀元前6世紀|6世紀]]に成立したとされる『[[マハーバーラタ]]』のチャトランガについての記述は、実際の戦争における軍隊の戦術に関するものであり、盤上遊戯のものではないと考えられている。さらに時代がさかのぼった[[紀元前2世紀|紀元前2]]から[[紀元前3世紀|3世紀]]の四人制チャトランガを初めて示したとされる[[バールフート]]のレリーフも、現在ではチャトランガの対戦を示したものとは考えられていない。二人制チャトランガの最古の史料とされる[[ブッダガヤ]]のレリーフも、[[サイコロ]]遊びであってチャトランガではないという意見が有力となっている。
 
現在では、四人制チャトランガは[[11世紀]]以前にさかのぼることができないと考えられており、チェス・将棋の起源となる盤上遊戯はサイコロを用いない二人制のものであったと考えられている。二人制のチャトランガが成立した時期も紀元後の数世紀以降と見なす立場が有力である。前述の増川も、[[2003年]]に出版された書籍<ref>{{cite book|和書|author=[[増川宏一]]|title=チェス』(|year=2003|series=ものと人間の文化史 110||publisher=法政大学出版局、ISBN |isbn=4-588-21101-3)3}}</ref>で自説を修正し、二人制起源説を支持している。
 
== 四人制チャトランガのルール ==
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以下にあげる動き方はいくつかの仮説のうちのひとつである。
 
あるいは、駒の動き方のルールは唯一でなく、ルールは(文献に残っていない物も含めて)何度か改良されており、複数説と見えるのは複数の文献に異なる時期のルールが記されているだけだという考え方もある<ref>{{cite book|和書|title=持駒使用の謎―日本将棋の起源|author=木村 義徳|publisher=日本将棋連盟|year=2001|id=ISBN 978-4819700672}}</ref>
 
=== 王 ===
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チェスの[[ポーン]]と同様、相手の駒を取る際には斜め前方に進むとする説もある。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}
 
== 参考文献 ==
{{Commonscat|Chess_in_India|インドのチェス}}
* [[増川宏一]]『ものと人間の文化史 110 チェス』法政大学出版局、[[20022003年]]、ISBN 4-588-21101-3
 
== 関連項目 ==
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* [[シットゥイン]]
* [[シャトランジ]]
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}
 
== 参考文献 ==
{{Commonscat|Chess_in_India|インドのチェス}}
* [[増川宏一]]著『ものと人間の文化史 110 チェス』法政大学出版局、[[2002年]]、ISBN 4-588-21101-3
 
{{各国の将棋類}}