「ポペットバルブ」の版間の差分

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[[イタリア]]の[[オートバイ]]メーカー、[[ドゥカティ]]のエンジンではバルブスプリングを持たず、カムシャフトが機械的にポペットバルブを閉鎖する[[デスモドロミック]]を採用している。これは超高回転域に置けるカムへの追従性悪化による[[バルブサージング]]を防止するための機構である。通常のエンジンでは閉じ側にコイルスプリングを使用することが多く、サージング防止のため、[[摩擦]]の増大と引き換えに[[ばね定数]]を高める、[[固有振動]]数が異なる2つのスプリングを組み合わせる、スプリングそのものを不等ピッチや円錐状とする、などの対策で共振を防いでいる。常用回転数が18,000 [[rpm (単位)|rpm]]に達した[[フォーミュラ1|F1]]用エンジンなどでは、コイルスプリングで共振を防ぐことは難しく、共振周波数の高い[[トーションバー]]スプリングや、高圧の[[気体]]を用いてバルブを閉じる[[空気ばね|ニューマチックバルブスプリング]]を用いている。
 
ポペットバルブは[[鋼鉄]]などの頑丈な金属を用いて製造されるが、一部の高出力エンジンではバルブの材料に[[チタン]]を用いることもある。これはポペットバルブの慣性質量を減らすための措置であり、バルブコッターやリテーナーも同様に軽量化が行われることも多い。また、部位によって要求される性質が異なるため、ステムやステム端部と傘部を別々の材料で作ったりすることがある。高出力エンジンの場合、特に高い温度の排気に晒される排気バルブの熱伝導特性を改良するため、[[ナトリウム]]封入バルブを用いることがある。ステムをドリル切削するなどして中空構造とし、この半分程度にナトリウムを封入したものである。ポペットバルブの往復によりナトリウムがステム内を往復し、[[燃焼室]]側からバルブガイドへと熱を逃がしやすくする。また、中空化と鋼より密度の低いナトリウムを使用することでポペットバルブの軽量化も見込める。排気バルブには耐熱性を高めるため[[インコネル]]等の耐熱合金を使用することもある。
 
ポペットバルブは吸気と排気に1[[シリンダー]]あたりそれぞれ1本以上ずつ用いられる。[[OHV]]や[[SOHC]]が主流の時代には吸排気効率向上のためにポペットバルブの外径を大きくするビッグバルブが用いられたが、バルブの慣性質量の増加で高回転での追従性が悪化し、その割に開口面積がさほど拡大されず効率が上がらないため、後に吸排気それぞれに複数のバルブを配置する[[マルチバルブ]]構成が普及した。初めは吸気2・排気1の3バルブ構成、後に[[DOHC]]の普及とともに吸気2・排気2の4バルブ構成が一般化し、一部には吸気3・排気2の5バルブのエンジンもある。1シリンダーあたり最大のバルブ数を持つ現在までに市販されたエンジンは、[[楕円ピストンエンジン|楕円ピストン]]の採用で吸気4・排気4の8バルブとした[[ホンダ・NR]]のものである。