「タラリア」の版間の差分

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m 改稿。題名等を『トロイの崩壊』に(他の記事と統一)
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'''タラリア'''({{lang-la|tālāria}})は、特に[[ギリシア神話]]の伝令神・[[ヘルメース]]([[ローマ神話]]における[[メルクリウス]])を象徴する有翼の[[サンダル]]。
 
ラテン語の作家たちによってこのように呼ばれるが、ギリシア語の原典では単にそのまま「'''有翼のサンダル'''」({{lang-grc|πτηνοπέδῑλος}}; {{lang|grc-Latn|ptēnopédilos}}. {{lang|grc|πτερόεντα πέδιλα}}; {{lang|grc-Latn|pteróenta pédila}})と形容言い回しされる。
 
== 語源 ==
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そのサンダルに翼がついているとする最古例は、伝[[ヘーシオドス]]作の叙事詩『{{仮リンク|ヘーラクレースの盾|en|Shield of Heracles}}』(前600–550年頃)であり、「有翼のサンダル」だとされている{{efn2|{{lang|grc|πτερόεντα πέδιλα}}、{{lang|grc-Latn|pteróenta pédila}}.}}<ref>[[ヘーシオドス]]、『{{仮リンク|ヘーラクレースの盾|en|Shield of Heracles}}』、220。</ref>{{sfnp|Anderson|1966|p=8}}。
 
やや後のヘルメースに捧ぐ[[ホメーロス風讃歌]](前520年頃)では、有翼であるとはなんら明言されないが、ヘルメースはサンダルを履くことで、[[足跡]]すらつけずにアポロン神の牛盗みに成功する{{sfnp|Freedman|2014–2015|pp=190–191}}。
 
おおよそ前5世紀以降になると、有翼のサンダルは(必携品とまではいかないまでも)ヘルメースの一般的な持物と目されるようになった{{sfnp|Anderson|1966|p=8}}。後期の一例としては、ヘルメースに捧ぐ{{仮リンク|オルペウス讃歌|en|Orphic Hymns}}の第28番(年代は前3世紀~紀元2世紀)が挙げられる<ref>オルペウス讃歌、第28歌:第4行。</ref>{{sfnp|Freedman|2014–2015|pp=190–191}}。
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==== 衣服解釈 ====
 
俊足の女性[[アタランテー]]が身に着けるタラリアの描写があるが(オウィディウス『[[変身物語]]』第10巻591行)、過去には「長い衣(ローブ)」と解釈された経歴がある。14世紀のビザンチンの学者{{仮リンク|プラヌデス|en|Maximus Planudes}}をはじめ、17世紀オランダの{{仮リンク|ニコラース・ヘインシウス|en|Nicolaas Heinsius}}の語釈にもそのように記述され、ルイス&ショートの『ラテン語辞典』([[:en:Lewis and Short|Lewis and Short]])にも(この箇所作品のこのくだりでは"かかとに届く長すその衣"の意であると<ref>Lewis & Short, s.v. "[http://www.perseus.tufts.edu/hopper/morph?l=t%C4%81l%C4%81r%C4%ADa&la=la&can=t%C4%81l%C4%81r%C4%ADa0#lexicon]" tālāris (tālārĭa)]</ref>)記載されている{{sfnp|Anderson|1966|pp=1–2}}。
 
しかし、この"衣(ローブ)"の解釈には無理があって、る—なぜならば先行するくだりで、アタランテーは脱衣して{{efn2|{{lang-la|{{linktext|posito |velamine}}}}}}この競走にのぞんだ、とあるからである{{sfnp|Anderson|1966|pp=2–3}}{{Refn|group=注|ただ、サンダル以外全裸で疾走したという Anderson 解釈を排して、タラリアというドレスを着衣していたという解釈もみられる。例えば近代のイタリアの翻訳者たち( F. Bernini 1943年、 T. Morino 1946年)がうで、アタランテーが着たタラリア(の裾元)が、彼女の足の動作につられて「動いた」り({{lang-it|mossa}})、「横に振り投げられた」 りしたのだと({{lang-it|gettata via}})解釈する{{sfnp|Anderson|1966|pp=2–3}}}}。
 
さらには、中世アイルランド語の物語でも、メルクリウスは、"鳥の覆い"または"{{仮リンク|羽のマント|en|feather cloak}}"と解釈される衣服を身にまとっているが{{efn2|古{{lang-ga|encennach, énchendach}}.}}、これはウェルギリウスの叙事詩などにみられるメルクリウスのタラリアを、そのように解釈したものだと考察される{{efn2|その古/中アイルランド語の物語とは『[[アエネーイス]]』の歌の翻案である『Imtheachta Aeniasa』や、トロイア陥落物語である『Togailトロイの崩壊(Togail TroíTroí)』を指している。}}<ref name=miles/><ref>eDIL, s.v. "[http://dil.ie/20064 énchendach]". "bird-covering, feather mantle.. [but] in the following exx. the meaning seems transferred, wings, feathers; a winged thing.. {{lang|ga|rogab [Mercuir] a enceandaigh uime...┐ gabaid a luirg n-encheandaighi ina laim}} (i.e. the talaria and caduceus), Aen.[Imtheachta Aeniasa] 766–7 .. {{lang|ga|encennach Mercúir, cumma imthéit muir ┐ tír}}, LL 220 b26 = TTr.[Togail Troi] 258 ."</ref>{{Refn|group=注|[[ホイットリー・ストークス]](1881年)は、[[北欧神話]]にみられる{{仮リンク|羽のマント|en|feather cloak#Norse|label=羽衣}}([[wikt:fjǫðr|fjaðr]][[wikt:hamr|hamr]])と比類すると意見している<ref name=miles/>。}}。
 
==ポップカルチャーにおいて==