「真綿」の版間の差分

[[Image:Bombyx mori Cocon 02.jpg|thumb|繭]]

[[生糸]]にするのに相応な質に至らない品質の繭を[[石鹸]]、[[灰汁]]、[[曹達]]などの[[アルカリ性]]の[[薬品]]類で精練した後でよく水洗いを行い、一つずつ水中で広げながら引き伸ばし、繭の中の蚕やその他不純物を取り除いてゲバと呼ぶ木枠に四角く均一に引き延ばして張りかけて乾燥させるが一般的であり、これを「角真綿」と称し、他にも細かい製法の違いによって「袋真綿」・「ひじ掛け真綿」と呼ばれているものも存在する。

白くて光沢があり、柔らかく保温性にも富んでいるため、昔から[[布団]]や[[綿帽子]]、[[防寒着]]の中に詰め込む素材として利用されてきた。また、良質のものは[[紬]]の原料としても利用された。

日本では[[中世]]に[[養蚕]]技術の衰退期には、蚕から[[生糸]]を作る技術が失われて専ら真綿の生産のために行われていた。しかし、[[江戸時代]]に入ると、木綿栽培の普及や生糸生産技術の復興などもあって衰微したものの、今日でも機械を利用した製造が[[滋賀県]]・[[福島県]]・[[長野県]]などで生産が行われて紬や布団などに加工されている。また、近年では[[中国]]などからの輸入も盛んである。