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→‎住所の設定・変更・廃止: 贈与税に関する武富士事件最高裁判決、所得税に関する東京高裁令和元年11月27日判決を反映
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[[ドイツ]]、[[スイス]]、[[フランス]]などでは'''法定住所'''と'''任意住所'''を法律で規定している。任意住所を原則としつつ、ある場所に居住している事実だけでなく恒常的に居住する意思があることを基準にした法定住所の概念も設けている<ref name="seirinsyoin-minpou111" />。
 
これに対して日本ではこれらの国々のような法定住所の概念は設けられていない<ref name="seirinsyoin-minpou112">[[水本浩]]編 注解法律学全集『民法〈1〉-総則1 第1条~第89条』青林書院、1995年、112頁</ref>。民法上の住所である「生活の本拠」の意味をめぐっては、定住事実のみで足りるとする'''客観説'''と、定住事実のほか定住意思が必要であるとする'''主観説'''の対立がある。通説は客観説をとっている<ref name="seirinsyoin-minpou112" />。住所の個数については、複数の場所を生活の本拠としている場合にはそれぞれが民法上の住所となるとする'''複数説(法律関係基準説)'''<ref>我妻栄『新訂民法総則』95頁(岩波書店、[[1965年]]など</ref>と'''単数説(単一説)'''がある。大正時代までは単数説が通説であったが、次第に複数説が優勢となり、第二次世界大戦後には複数説が通説となった<ref name="seirinsyoin-minpou113">[[水本浩]]編 注解法律学全集『民法〈1〉-総則1 第1条~第89条』青林書院、1995年、113頁</ref>。ただ、最高裁は「およそ法令において人の住所につき法律上の効果を規定している場合、反対の解釈をなすべき特段の事由のない限り、その住所とは各人の生活の本拠を指すものと解するを相当」としており、公職選挙法上の住所についても、修学のため親元を離れて居住する学生の住所はその寮または下宿などの所在地にあるとしている<ref>[http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/190/056190_hanrei.pdf 最判昭29・10・20民集8・10・1907]。[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81080 最判平成23年2月18日集民236号71頁](武富士事件)も[[贈与税]]をめぐって同様に判示。</ref>。下級審の裁判例はさらに、ある場所が住所であるかどうかは「滞在日数、住居、職業、生計を一にする配偶者その他の親族の居所、資産の所在等を総合的に考慮して判断するのが相当である」と述べている<ref>東京高裁令和元年11月27日判決、所得税をめぐる事件。敗訴した国は上告せずこの判決が確定した。{{Cite journal |author=西山由美 |title=国内外に職業活動拠点を持つ者の居住者該当性――東京高判令和元・11・27 |date=2021-02 |journal=[[ジュリスト]] |issue=1554 |page=118 |publisher=[[有斐閣]]}}。</ref>。なお、会社の住所は、その[[本店]]の所在地にあるものとされる([[会社法]]4条)。
 
現在居住しているというだけではその場所が住所であるとは限らない。居住期間について、1年未満の短期・一時滞在地は住所には当たらず後述の居所に当たる<ref>{{Cite web |author=[[北中城村]] |date=2018-08-10 |url=http://www.vill.kitanakagusuku.lg.jp/kurashi/todokede/tennyu/494.html |title=転入・転出に関する届出 |accessdate=2019-04-14}}</ref>。前述の最高裁判例においても、当該学生は最も短期の者でも1年間在寮の予定の下に寮に居住していたことが原審により認定されている。