「プロジェクト:アウトリーチ/テレビ企画 202101/青子守歌」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
報告書投げ
(相違点なし)

2021年2月3日 (水) 14:30時点における版

2021年1月31日(日曜日)22:00-23:00(JST)に、TBS系列で放映された林先生の初耳学に出演してきました。

本文書では、その出演に関してご報告するものです。 今後、どなたか他の方々が同じような出演打診などを受けた時の参考になれば幸いです。

時系列の流れ

擬似的に追体験してもらえるように、ここでは日記調で記します。

本質的な話(?)を見たい方は、後半の#内容に関する補足まで飛ばしてください。

打診までの話

前提として、9月にABEMA Primeに出演したことがあると思います。

どうやらそれをご覧になった『林先生の初耳学』担当の方から、11月25日にTwitterのDMで連絡がありました。 その時は「視聴者が気になっているウィキペディアについて取り上げる企画があるが協力してもらえないか」という内容で、出演とかそういう話ではありませんでした。

この時は、DMに先方のメールアドレスが記載されておりそちらへ返信をとのことだったので、こちらから「連絡いただきました青子守歌です、連絡はこのメールにご返信ください」だけ出して、以降はメールでのやり取りとしました。

企画打ち合わせの話

ABEMAの時もそうだったのですが(おそらく業界慣習として)、DMで連絡いただいた方と、実際の企画担当の方とは別でした(ここではPさんとします)。 さらに、後で出てきますが、番組自体の進行というか打ち合わせ含めて主体的に進めておられる方はまた別のようでした(ここではDさんとします)。

で、先のメールには、Pさんから直接返信があり、初回のオンライン打ち合わせは11/28(土)20時からでした。 この時の打ち合わせから以降、Dさんも含めてテレビ側の方は4人程度参加されておられました(誰がどんな役割だったかまではあまり聞いていませんでしたが)。 打ち合わせ自体は、Dさんからの説明や質疑応答が主になっており、Pさんは横目で見ておられると言うか、要所要所以外はDさんにおまかせされているような雰囲気でした。

で、初回の時の内容としては、「林先生の初耳学とはこういう番組です」という説明と、

  • 林先生の初耳学とはこういう番組で
  • 新企画として「林先生も知らないようなことを取り上げる」コーナーがあり(例として、先行していた=ウィキペディア企画の1週前に放映されたフリーwifiの話を挙げていただき)
  • 収録日は1月21日であること
  • この段階で考えている方向性(「ウィキペディアの実態を一般視聴者の方に知ってもらう」「番組を見た人にウィキペディアってちゃんとしてるなぁと思ってもらえる」など)

などを教えてもらいました。その後に、Dさんを中心にみなさんから、ウィキペディアに関する疑問があり質疑応答もありました。 「企画にあたってちょっと調べてはきたけど実際に話を聞くとぜんぜん違うなぁ、これは面白い企画できそうだ」というようなことをDさんがおっしゃってたのが記憶に残っています。 打ち合わせ内容を受けて企画を進めるか決めますとのことで、その日は結局2時間ぐらいの打ち合わせになったと思います。

そしてその1週間後に「企画進めることになった」という連絡と、

  • 実際に出演してもらえる3人の(管理者含む)ウィキペディアン
  • 密着取材させてくれるヘビー執筆者(スタジオ出演と重複も可)

がいないか?という相談がありました。 募集の範囲をどこまで広げてよいのか(オンウィキで広く募集してよいのか?)と聞き返したところ「良い人が来てくれることが最優先なので公開でOK」とのことでした。

ということで、12/8(火)にプロジェクト:アウトリーチ/テレビ企画 202101Wikipedia:お知らせに、概要&出演者募集を投げまして、1週間程度の募集期間を取ることになりました(企画説明ページ初版およびお知らせ過去ログも参照)。 また、公募とは別に、番組収録に協力してくれそうな方に私から直接連絡をして打診したりもしました(特に記事書きが得意な方を中心に)。 打診した方々の名前をここで列挙はできませんが、皆さま丁寧なお返事をいただきまして、改めて感謝申し上げます(返信にて、出演はできないけど自分はこうだよとご自身の執筆活動について説明してくださった方々も多く、改めて、彼/彼女らの活躍こそがウィキペディアだなぁと思った次第でした)。 この打診で承諾いただいたのが、利用者:Araisyoheiさんと利用者:のりまきさんでした。また、公募ページには利用者:Opqrさんからの応募もありまして、(私を含めて)3人以上になったので出演候補者とすることにして、12/16(水)に出演者募集を締め切りました。

また、募集締切と少し前後する形になりますが、12/13(日)10時からPさん・Dさんらと打ち合わせをして、「出演者募集の状況どうですか?」という報告ともう少し具体的な番組の進行内容(「林先生にクイズを出すところがあります」など)を教えてもらいました。

出演候補者の方が16日に決まってから、まず改めて4人だけで、顔合わせも兼ねて12/20(日)20時に

  • これまで私が聞いてきた話(どういう番組で・・・とか)をお伝え
  • 密着取材とスタジオどっちが良い?という暫定分担を決め
  • 林先生に出すクイズの案を出し合い

などをオンライン会議しました。

そこから今度はPさんらに3人を紹介&全員交えての打ち合わせをお願いしました(最初は、個別に打ち合わせをと言われたのですが、先の日曜の話の中で「みんなでやったほうがいいね」となったこともあり無理言って4人一気にをお願いしました)。 その全員揃った初回打ち合わせは12/23(水)21時からでした。 全員の自己紹介と、それぞれ協力できそうなことの説明、加えてクイズ案の説明などが主な内容だったと思います。 また、特に執筆者として多大な実績・経験のあるOpqrさん&のりまきさんに、Dさんらから多くの質問が寄せられて、私自身も「なるほどなーすごいなぁ」と思いながら聞いていたことを覚えています。 それと、放映予定日が1/31(日)であることもこのタイミングで聞いていたと思います。ただし、情報公開してよいのが「前の週(1/24)の放送の予告が流れてから」とも言われました。 ということで、告知日は収録日と前後していて、WP20イベントでも告知できなかったのは、少し残念でした。

ともかく、ここでの打ち合わせ内容をPさんらで持ち帰ってより詳細を詰めます(具体的に何人誰がスタジオ出演と密着取材をお願いするかなどを番組の尺などから判断します)とのことで、年内は一旦ここまででした。 その後はメールにて、のりまきさんが予定されている記事執筆のための旅行の詳細などの応答が年末年始も続いていました。

それで、具体的に出演者が決まったのは1/7(木)でした。 ちょうど緊急事態宣言が出たあとだったというのもあって、(諸般の事情で)Opqrさんはまた次の機会にとなって、

  • 密着取材:のりまきさん
  • スタジオ出演:Araisyohei&のりまき&青子守歌の3人

となりました。 とはいえ、先の通り企画の段階からOpqrさんにもご協力いただいて意見を多く言っていただいていたので、メールのccには引き続き入っていただき、何か気になるところとかあればアドバイザーとしてお願いしますという形で以降も進みました。

その後は、実際の番組の仮構成(台本)を送っていただいたのは1/11(月)で、それを見てのオンライン打ち合わせが1/14(木)20時からありました。 送っていただいた台本では間違っていたり表現がまずいところを指摘するのが主な内容でしたが、事前に私からメールでいくつかお送りしていたので、打ち合わせの直前のお昼すぎには修正稿を送っていただいていたのでその確認という形で進みました。

そして収録日の前日20日(水)には、収録日当日の時間割や、さらに修正した原稿も送ってもらいました。

収録当日、直前までの話

収録は朝10時から16時まででした。 事前に、21日の日中は空けておいてくださいと言われていたので、私は朝早くと夜に仕事しますと言って日中は休憩(?)扱いで臨みました。

収録スタジオ場所はたぶん公開情報ではないので明言は避けますが、電車で行ける範囲ではありました。

10時ぐらいに集合場所の玄関に行くと私しか居なくて「あれ?」と思ったのですが、あとの2人はもっと早くに到着していて楽屋で待っておられたようでした。

で、さっそくリハーサルがありました。 スタジオに行くと(先週に予習で観ておいた)番組のセットがそのままありましたが、ゲスト(つまり我々)の立ち位置や画面の配置などの調整は柔軟になされていました。 事前にAraisyoheiさんの画面をその場で操作することは決まっていたので接続確認などをして、実際に進行してみるやつもやりました。

林先生を含めて他の出演者の方々はまだ来ておられなかったので、番組スタッフの方が彼らの代わりに彼らに成りきって演じてくれて、実際に林先生が回答する感じや出演者の方からこんな感じで質問くるのかー、みたいなことが体感できました。 本番にあまり緊張せずに割と自然体で話ができたのは、このリハーサルの経験が大きかったと思います。 生放送と違ってこういうリハーサルで一回通しで体験しておけるというのは、録画放送の良いところで(特に私のような素人にとっては)ありがたいことでした。

リハーサル後は、楽屋に戻って、昼食を食べながら台本を読み返したり、また少しDさんらと打ち合わせをしたりして時間を消化しました。

収録本番は14-16時だったのですが、放送にもあった通り最初はダルビッシュ投手のインタビュー企画があったので、その収録(インタビューそのものではなくて、インタビュー動画を受けた出演者がコメントされる場面)の様子を、スタジオ横の部屋で待機しながら眺めてました。 同じ部屋には他のスタッフの方々もおられて、収録を見ながら手元にメモを書いたりされてた方もおられました。今にして思うと、あの方が番組責任者の方で「どこをどう使うか」とか考えておられたのかもしれません。

ということで前のコーナーの収録が終わって(といっても10分ぐらい押して)、ウィキペディアの収録が始まりました。

収録中の話

番組の中で話した具体的なことは割愛したいと思います(ぜひ番組をご覧ください!といっても見逃し配信などないので、誰か身近で録画してた方に見せてもらうとか思いつきませんが…)。

先述の通り、リハーサルもあったのと、割と台本通りに進んだのもあって、あまり緊張せず、問題もなく収録できました。 収録時間は1時間強ぐらいで、放映時間から比べると倍ぐらいあった計算になります。 なので、割と多くの部分がカットされていて未放映になってます。未放映の場所にどこまで言及していいか難しいのですが、支障がない程度に&覚えている範囲で書いておくと

  • 「ウィキペディアを使う時は、情報源として使うための取っ掛かりとして使うと良いよ」の話:これは多分、林先生が既に番組冒頭で言っちゃったからですね(事前に台本にあったわけではなくて、あの場で林先生が自分の考えを言われただけ)。入口近くで待機しながら「うわー言われたなー、でもさすがだなぁ」と思ってました。
  • 「管理者ってどうやったらなれるんですか?」の話:管理者は立候補とコミュニティー選考を通れば誰でもなれます(財団からの認定はないです)。管理者は少ないですが、そもそもウィキペディアンも少ないので、まずは皆さん是非書いてみてください!と答えたんですが、「誰でも書けます」は別のところで言ったのでこっちは消えたのかなと思います。
  • 澤部佑さんの写真の話:放映をみた方からも「結局あのまま放置するのは良くないのでは?」「その場で撮らせてもらえばよかったのでは?」とコメント等ありましたが、実は修正するという話もあったんです…。が、放映とはならなかったようです。
  • 「記事を書く時は必ず出典をつけてね、単に自分が知っていることを書くのはやめてくださいね」という話もしたんですが、放映された流れを見る限り、うまく入れられる場所がなかったんだと思います

あたりが放映には含まれてませんでした(実際には、我々はもちろん林先生含めて出演者の方ももっと多くのことを話していました)。

ここに書くのは難しい話でも貴重な体験や話もあったので、それはなにかの機会に個人的に聞いていただければと思います。

ともかくそうして当初より少し時間を押して収録は終わりました。

収録後から放映までの話

収録後に「ありがとうございましたー」と出演者の方にご挨拶した時に、フードを外したりして顔出したら出演者の方から「あー思ってたのと違うw。全然怪しくないww」みたいな反応でした。まぁなんでフードかぶってたのかは後述します。 出演者の方々からは「ウィキペディアの記事は良く見てます」「今日の話は参考になりました!」「これからも頑張ってください!」とお声がけいただきました。 林先生からは特に「今日聞いた話、特にウィキペディアの単語の意味は生徒にも使わせてもらいますね!」とおっしゃっていただきました。 林先生を通じてウィキペディアの編集に関わってくれるようになった方が少しでも増えれば大変ありがたいことです。

収録後は片付けをして、近くでAraisyoheiさんオススメのお店があったのでみんなでご飯を食べてから帰宅しました(平常時だったら打ち上げ飲み会じゃーってなるところですがそれは流石にやめました)。 Araisyoheiさんが車を出してくれてたので、帰りは送ってもらったので大変助かりました。

それから(先に言った)予告日までは、身近な人に「こんな感じだったよー」という話をするにとどめて過ごしてました。 1回だけ、Pさんから「これってこういうことですか?」という質問の電話がありましたが、編集については基本的に私たちが関与できる部分はなくて、番組の方々で進められていたようです。

で、予告が流れた1/24(日)23時以降に、Twitterで予告を流したりお知らせやテレビ企画のページに告知を出しました。

放映中とその後の話

1/31(日)放映時には、放映中も放映後もTwitter等で多くの反響があったようで、流石にこの時間帯の全国番組は規模が違うなぁという感じでした。 特に、出演者のファンの方(特に多かったのは中島健人さん)も多く視聴されていたようで、普通だったら絶対にウィキペディアの中身について興味を持ってくれなさそうな方々にも、ウィキペディアについて知ってもらうことができたというのは、とても有意義な放送になったなと思います。

また主にウィキペディアンの方々からの反応にあった通り、一部表現として間違っていたりする部分も多くありました(具体的には後述で補足します)。 これは仕方ない部分もあって、1週間(よりもっと前から)で完成させるというのは相当な苦労があると思います。 こちらからも「間違えやすい用語集」みたいなのを先に提供できていればよかったのかなぁ、と今は反省点です。 とはいえ、説明ばかりのNHK教育番組みたいな感じではなく、うまく一般視聴者の方の興味を惹きつつ重要な箇所だけは外さずに組み込んでもらったと個人的には思います。

あと、放映中、絶対に荒らすやつがいるだろうと思って(実際に何件かありました)、番組を見ながら横でRC監視などしていたのですが、同じく警戒してくださっていたみなさんが先に対処してくれたこともあり私の出る幕はありませんでした。 最近、まともにRC監視しながらのリアルタイム対荒らしをやってなかったので、動きが鈍ったのもあると思います…(よく考えたらIRCでlinky-jaとかでやってた時代なので何年前だよという)。この機会に少し復帰訓練をしておきます。 もし今後ご自身がどこかで出演されることになったウィキペディアン各位は、放送中の荒らしに対応するためリアルタイム警戒の訓練を事前にしておくのが良いかなと思いました。

次回(今後?)の話とかは、まだ日も浅いことですし、今のところは何も来ていません。 ただ、今回とは別で以前からもらっていた話はあるので、もしやることになったら公開できるタイミングでまた告知したいと思います。

内容に関する補足など

上記の通りカットされた部分や編集で挿入された適切でない部分とかがあったので、ここで訂正と補足をしたいと思います。

編集は誰でもできます。が、歓迎されない編集もあります

番組中で「誰でも編集できます」と発言しました。それ自体は事実で、間違いではないです。 ただ、「誰でも編集できる」ことと「どんな編集でも歓迎」というのは大きな隔たりがあります

Wikipedia:ウィキペディアについてというページでも説明されているのですが、

本来はこの点についてもきちんと放送中で触れたかったところで、先述の通り時間の都合でカットされた部分でしたので、この場で改めて明記したいと思います。

ただし、上記は「最初から完璧に方針やガイドラインを守らないと参加するな」ではありません。 さらっと読んでおくぐらいはしたほうがいいかもしれませんが、それよりも「編集してみようかな」という善意の気持ちをまずは優先して頂いて大丈夫です。

何か間違ったことをしてしまっても、取り返しがつかないことなんてウィキペディアにはありえないので、誰かが直してくれるでしょう。 また間違いについて指摘してもらえると思いますので、間違ってたことに気づいたら誤りを認めて次から気をつければ済みます。

そうして徐々に慣れていって、活動の幅や質を高めていって、素晴らしいウィキペディアンになってください。

「記事の削除」は誰でもはできません。できるのは「除去」です

澤部佑さんの自宅の部分で、ナレーションで「誰でも削除できるんです」と出ていましたが、これはウィキペディア的には誤りです。

ウィキペディア的には「削除」と「除去」が区別されています。今回、Araisyoheiさんがやったのは「除去」でして、記事を編集して文を取り除く行為です。 こちらの除去は編集の種類を指すので、誰でもできます。 「除去」は、記事の文章のうち、一部が良くない場合に消すために使われます。

一方で「削除」というのは、ページ自体を完全に消し去ってなかったことにします。 これは記事が全体的に問題があって、どう編集しても残しておけないような場合に使われます。 この「削除」は、削除するための特別な権限が必要で、それができるのは、管理者(および削除者)だけになります。

詳しくはWikipedia:削除をご覧ください。

管理者は「ウィキペディアを管理する人」ではありません

ナレーション等でところどころ「管理している人」や、「管理人」という表現がありましたが、これも誤りです。

放映では説明が少し端折られてしまったのですが、管理者は(その名前に反して)何も管理していません

なにをするのか?というと、「一般の利用者が使えない操作」を、コミュニティーの判断に従ってボタンを押すことが役割です。 つまり、上記のページの削除や、利用者または記事の投稿制限(ブロック・保護)は、全員ができてしまうと統制が取れなくなってしまうために、一部の信頼できる(選任された)人にだけ権限を与えているという状況なのです。

その特別な権限も、管理者らが独自の判断で適用できるわけではなくて、基本的には各種依頼を通してコミュニティーの議論があり、その合意結果に従って、特定の操作をすることになります。 もちろん、毎回全部審議していたら手間がかかりすぎるので、特定の条件の時にだけ審議をせず権限を使うこともできます。具体的には、例えば単純な荒らし行為を続ける投稿者をブロックすることとかがこれに該当します。 が、その「特定の条件」も、事前にコミュニティーの議論と合意形成によって作られたものなので、やはり間接的に、管理者の権限行使はコミュニティーの判断を代行しているだけと言えます。

また、そういうことですので、管理者というのはまったく偉くなく、今日参加した利用者と同じく平等に1人のコミュニティーメンバーとして扱われています。

詳しくはWikipedia:管理者をご覧ください。

これが「ウィキペディアに団体や代表がいない」という説にも直結しています。 管理者は代表ではなく単に一部の特別な操作ができるだけの、「ただの人」が正しい説明になります。

ウィキペディアは日本語版であって日本(国)版ではありません

「日本のウィキペディア」という表記やナレーションがあったと思います。しかし「日本のウィキペディア」は存在しません。 通常「日本の」というと、国としての「日本国の」という意味になりますが、今あなたが見ているこのサイトは、日本国に関するウィキペディアではなく日本語で書いてあるウィキペディアなのです。

この違いはとても重要です。日本語話者は大多数が日本国民であることからどうしても日本国のことに偏りがちになってしまいますが、本来の百科事典というのは国や地域に紐づくものではありません。 そのような枠組みを超えて、全世界的に(あるいは全宇宙的に)普遍的かつ網羅的な解説があるのが「百科」事典で、ウィキペディアはそのような百科事典を目指しています。

もし記事を作ったり加筆してみようかなと思った方、日本中心にならないようにすると、より良い記事になると思います。

「今回の放送でooさんがxxと言ったのだからその人の記事を書き換えます」はやめてください

番組中で出演者各位の記事を見て真偽を当てる箇所がありました。また、澤部さんの坂の話で「事実です」と彼から発言もありました。

しかし、このように単にテレビ番組で放映されただけのことは、ウィキペディアでは載せられない情報です。 なので、今回の番組の発言に基づいて、各位の記事の情報を加筆したり、坂の話を復帰させることはしてはいけません。

これについては2点問題があります。

  • 1つ目は、単にテレビでの発言が、その記事主題(例えばその発言者)を理解する上で重要ではない雑多な「余談」であることが多いからです
  • 2つ目は、もし仮に余談ではなかったとしても、テレビ放映は検証可能性を持ちません。つまり、その時視聴していた人にしか伝わっておらず、後から誰かがその真偽を確かめることができません。たとえ情報が事実・真実であっても、他の人が後からその真偽を検証できるものだけが、ウィキペディアに載せられることなのです
    • もちろん、ビデオ録画している方がいたら後から見ることもできますが、録画動画は私的利用の範囲であって、「誰もがそれを見られる」状態ではありません。
    • 別案として「じゃあ見た人が、"実際に見た"と書いた情報源があればいいのか」という話もありますが、そのためには、その情報源が信頼できる情報源である必要があり、ハードルは高いと思います。

詳しくはWikipedia:検証可能性#信頼性に乏しい情報源をご覧ください。

閲覧数はどこで見れるのか

途中でページの閲覧回数に触れた部分がありました。 これはどこで見れるのか?という問い合わせを受けましたのでお答えします。

基本的にはtoolforge:pageviewsが使えます。例えば、番組で取り上げられた鬼滅の刃・緊急事態宣言・上白石萌音の去年の閲覧数を調べることができます。

「あれはどれぐらいなんだろう?」など、気になった記事などあればぜひご自身で調べてみてください。

管理者の活動は楽しくはない

編集の話のつなぎ方によるものなのですが、「管理者はなんでやってるの」に対する答えが「趣味で楽しいから」という回答に聞こえてしまったかもしれません。

しかし、番組中でも「恨まれることがある」と言った通り、管理者として活動することで被害を受けることはあっても、利益になることはまずありません。 もちろん、楽しい趣味には(普通は)ならないと思います。 のりまきさんが「山登り」の例を挙げられていましたが、あれは記事を書くという行為についての言及で、これも管理者活動には当てはまらないと思います。

「じゃあなんで管理者なんてやってるのか?」と問われると、答えは難しいところがあり、人によって違うと思います。 純粋な正義感や使命感を持った方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、管理者の立候補メッセージを見ていると、私もそうでしたが大抵の場合は「今の管理者の人たちが大変そうだから少しぐらいお手伝いします」の気持ちが大きいんじゃないかなと個人的には思っています。

いないと困る管理者なのですが、やっても楽しくないし嬉しいことはほとんどない管理者でもあります。 でもやっぱり少ないと困るので、これを読んだヘビーウィキペディアンの方、ぜひこれを機に「少しスキマ時間に手伝うか」ぐらいの気持ちで、管理者への立候補をお待ちしています。

「芸能人の写真はフリーじゃないでしょ」に対する回答

番組の最後に、記事『澤部佑』に載っている写真File:Yu_Sawabe_-_Ibaraki_-_Nov_23_2020.jpegが取り上げられ、Araisyoheiさんから「これはフリー画像なので」という説明がありました。 これを見た方から「他人の写真をフリーと呼ぶのはおかしい」という反応がありました。

感情論としてその気持ちに理解はできます。しかし、ながら著作権という観点からは、被写体の人物の意思に関係なく、写真の撮影者(から権利をもらった著作権者)が、その写真を自由にする権利があります。 つまり今回のファイルについては、撮影者(&アップロード者)であるc:User:Nesnadさんが「この写真はフリー(CC-BY-SA)です」と宣言している以上、著作権としての問題はなにもなく、もちろんウィキペディアでも使うことができます。

しかし、詳しい方もおられるかもしれませんが、写真には、作者の著作権以外にも、被写体の肖像権が認められる場合もあります。 しかし、肖像権の問題はそれを使う時にだけ発生します。芸能人らに認められている財産権としての肖像権は、例えばその写真を本にして売って利益を得るみたいなことをした時に、その利益の一部を対価として得ることができる権利のことです。 ウィキペディアにおいては、ウィキペディア自体は利益を出しているわけではないので、ウィキペディアが使うことにその制限はかからない、という理屈になっています。 そのためウィキペディア上でという文脈では、このような芸能人らの写真も「フリー」と呼んで間違いありません。

ただし一方で、この写真に限って言うと、番組中で「こんな写真は嫌だ(恥ずかしい)」とおっしゃっていたことを考えれば、人格権としての肖像権の問題があるかもしれません。 また、撮影場所が不明ですが、もし私用のおでかけ中の一部であればプライバシー権としての肖像権の問題もあるかもしれません。 そのあたりが問題だとすると、この写真自体は不適切とも言えるかもしれません。

芸能人の方を含めて、(特に存命の)人物記事では、なかなか良い写真がなく、今回のような質があまり良くない写真を仕方なく使わざるを得ない状況がウィキペディアではよく起きています。 もし、これを見ている中で自分自身もしくは身近な人がウィキペディアに記事があるのに写真がない(あるいは変な写真になっている)のを見つけたら、ぜひその写真を撮ってウィキペディアに投稿をお願いいたします。 詳しい手順についてはWikipedia:ファイルのアップロードをご覧ください。

生放送と録画収録の違いについて考察

先に書いた通り、今回の番組は収録日があり、録画したものを後日編集してから放送という形でした。 これは「まとまりのなかった話をすっきりまとめてもらえた」という点では良かったと思います。 しかし反面、ここまで補足訂正を書いた通り、一部は収録後の編集段階において間違いや不適切な表現、不足した説明が混入してしまった点も否定できないと思います。

今回と対比して考えると、ABEMA Primeの時は生放送でした。 緊張度は今回の比じゃなくぐらい高かったですし、その場で正しく応答しなきゃいけない重圧は生放送のほうが大変ではありました。 しかし「その場で放送したことしか流れない」というのは、「自分の知らないところで間違いが起きない」という点においては、専門家・解説者として出る分には楽だったかもしれません。 もちろんABEMA Primeのときにも間違いがゼロだったわけではありませんが、その場で自分が発言したことに誤りがないように&他の人の発言があったら訂正するように自分が気をつけていればある程度事故は防ぎやすいのかなぁと思いました。

結局、生放送と録画収録どっちが良いか悪いかの結論はないのですが、もし今後、他の方でテレビ番組等に出演されるという方がいらっしゃったら、この違いは頭の隅あたりにでも気にかけておいたほうが良いだろうと思います。

「ウィキって呼ぶな」はそこまで真面目に考えなくていいです

今回は「オムライス」の例を出して「ウィキって呼ぶな」の話をしました。 前回のABEMA Primeのときに、番組内容を元にしたした記事でその発言が強調されていたこともあり「またこいつウィキの話してるわw」という反応が今回もありました。

まず事実として、「ウィキペディアをウィキと略して呼ぶべきではない」に間違いはありません。 それはウィキというのは仕組み・システムの話であって、世の中にはウィキを用いたウェブサイトがウィキペディア以外に非常に多く存在するからです。 ウィキペディアの姉妹だけでもウィキクォートウィクショナリーウィキバーシティなどがありますし、ウィキペディアに関係ないところだと、日頃ゲームをされているみなさんなら「攻略ウィキ」と呼ばれるものを使う方も多いと思います。 そういったウェブサイトと区別するという意味でも単に「ウィキ」という単語ではウィキペディアを指せないことが分かると思います。

しかしながら一方で、これはウィキペディアの発展にとってあまり重要な話ではありません。 ウィキペディアのことを読者の方々がなんと呼ぼうとも、ウィキペディアン各位が「ウィキペディアは、ウィキでやる百科事典だ」ということが分かっていれば何の問題もないのです。 なので、友人家族らが「ウィキがさー」と呼んだとしても、賢明なウィキペディアン各位はサラッと流してあげてください。 そこにこだわることにあまり意味を見出すことはないと思います。

じゃあ重要じゃないのになんでその話をしたのか?というと前回の補足にも書きましたが、「一般大衆向けの媒体において、多少の面白いことで興味を惹く」ためという一言に付きます。 前回も今回もそうでしたが、私から「ウィキって呼ばない話を入れましょう」と言ったわけではなくて、番組担当の方から「これ入れましょうよ!」と提案されたのを受け入れたものです。 その話をすることで興味を惹けるという話に私は納得できますし、話すことが別に嫌なわけでもないので、承諾して話をしました。 事実として、今回も前回も「ウィキって呼んじゃうけど違うんだね」と反応してくれた方が少なからずいました。その反応は「ウィキペディア二間sにて(多少の)興味を惹いた」ということで十分にこの話をした価値があったと思います。

今後どこかでまた一般の方々向けに話をする機会があるかと思いますが、テレビ番組企画担当の方が「入れよう」というぐらいのネタなわけなので、話のつかみとして引き続き「ウィキって呼ぶな」の話は入れていこうと思います。 もちろん、その話は単なる導入なので、それでこっちを向いた方々に、三大方針や管理者の実態や記事執筆の面白さなど、重要な話をする方に注力することは言うまでもないと思います。

今回の番組は特に「バラエティー番組」という側面もあったことから、なおのこと「普通の人にウィキペディアにちょっとでも興味を持ってもらうにはどうしたらいいだろうか」というのを、この「ウィキって呼ぶな」の話1つとっても、よく考えさせられる経験だったなぁと思いました。

「ウィキペディアは信用できない」は使い方によります

これは前回の補足と重複する説明になりますが、今のウィキペディア日本語版が全く役に立たないゴミであるという意図はありません。 私も含めて、ウィキペディアン各位は常日頃から「信用できる」百科事典となるように日々努力しています。

なのですが、「ウィキペディアだから」と信用できるだけの基準に到達できた記事が圧倒的に少ないというのが今のウィキペディアの問題です。 これは番組中では「まだ歴史が浅い」と説明しましたが、果たして本当に時間だけの問題なのか、システム的に致命的な欠陥があるのかは実のところ誰も分かっていません。

とはいえ、現段階においても、番組冒頭で林先生がアドリブでおっしゃった通り「調べ物の入口」として使って、ここから出典などをたどって真偽を確かめるという使い方には十分に使うことができます。 「入口がウィキペディアに集約されている」ことだけでも、今のウィキペディアの価値があります。

読者の皆さまはそのように考えてもらって「ウィキペディアに書いてあった」と言うだけで信用しないように、ウィキペディアン各位は引き続き信用度を高めていきましょう。

余談:なんでフードかぶってたの?

顔隠ししている理由は番組中で述べたとおりです。隠し方については前回の補足にもありますが、目より上が隠れるほうが「誰かと会話する」という点で話が通じやすいという利点を取って、この形にしています。

前回と違ってフクロウのではなくて、普通のパーカーのフードだったのは「キャラクターものだと視聴者・出演者の方がそっちが気になっちゃうから演出の都合で地味なやつにしてほしい」という要望があったためです。 パーカーのフードにすると怪しさ激増でしたが、まぁこれは仕方ないということで妥協しました(ウィキペディアのことをちゃんと説明するほうが大切なので)。

なお、同じく管理者のAraisyoheiさんは、実は普段のイベントなどは別にサングラスをしたりしておらずメガネだけだったらしいのですが、今回は私に合わせてもらった感じです。 このあたり、同じ管理者と言っても、活動内容や履歴やあるいは人柄によっても、顔隠しの程度や有無に差はありそうですね。 とはいえ、番組でも話した通り逆恨みされることがあることを考えると、何も気にせず平気ですーみたいな人はあまりいないとも思います。

出演料は?

今回もありました(金額は例によって言えません)。 まだ受け取っていませんが、私は前回と同じくそのまま全額、財団に寄付する予定です。

最後にまとめを兼ねた感想

ということで、今回は前回みたいに半年後とかにならないうちに報告書を書くことができました。

補足にも書いた通り、生放送と録画収録という形態の違い、番組の趣旨の違いなどで、前回とはまた違った体験になったと思います。 あまり前回と比較して優劣をつける気はないですが、やはり今回は普通の全国放送だったということもあり、ウィキペディアに関してアウトリーチできた人の数というのはとても多かったです(実際、15年ぐらい連絡をとってなかった古い知人から「あれお前やろw」って連絡もありました…まぁ身内が分かっちゃうのは避けようがないので仕方ない)。 これは普通にウィキペディアだけで活動していてはできないことで、まだまだ足りないウィキペディアの質・量を今後も改善していくための人材・資源確保のために役立ったと思っています。

先にも書いた通り次回(今後)のことは未定ですが、こんな感じでなにか協力・協調できることがあれば引き続き応対したいと思いますので、Twitter@aokomoriutaやその他なんでもご相談ください。「こんなのどう?」ぐらいの軽さでも歓迎します。

そして、これを読んだウィキペディアンの皆さま方が同じような依頼を受けた時に、この報告書が少しでも参考になってお役に立てば幸いです。 引き続きウィキペディアを一緒により良くしていきましょう!