「古在メカニズム」の版間の差分

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=== 試験粒子の極限 ===
[[File:Kozai mechanism Hamiltonian.svg|thumb|280px|Delaunay変数 <math>(g, G)</math> の空間における軌道<ref name="Kozai1962"/>。軌道長半径および平均運動を1とする単位系を採用している。<math>H</math> が小さい(軌道傾斜角が大きい)場合には[[秤動]]運動が存在し、これにより離心率 <math>e</math> がゼロ付近から大きな値へと変化し得る。]]
古在機構の最も単純な取り扱いは、内側連星の伴星である天体を[[試験粒子]]、すなわち他の主星と遠方の摂動天体の2天体と比べて質量が無視できる理想化された点状天体であると近似して扱うことである。このような近似は例えば、[[月]]による摂動を受けながら[[低軌道]]で地球を公転する人工衛星の場合、あるいは[[木星]]によって摂動を受ける短周期[[彗星]]の場合に有効である。この極限でのハミルトニアンは、軌道長半径および離心率を1とする単位系では
{{Indent|<math>\mathcal{H}_\mathrm{int} = - \frac{ \mathcal{G} m_\mathrm{pert} a^2 }{ 8 a_\mathrm{pert}^3 } \left[ 5 + 3 \frac{ H^2 }{ L^2 } - 6 \frac{ G^2 }{ L^2 } - 15 \left( 1 - \frac{ G^2 }{ L^2 } - \frac{ H^2 }{ G^2 } + \frac{ H^2 }{ L^2 } \right) \sin^2 g \right]</math>}}
により与えられる{{Sfn|Shevchenko|2017|p=99}}。
 
これらの近似のもとでは、伴星の軌道平均された運動方程式は保存量を持つ。これは、伴星の角運動量の、主星と摂動天体の[[角運動量]]に平行な成分である。この保存量は、伴星の軌道離心率 ''e'' と、摂動天体の軌道平面に対する軌道傾斜角 ''i'' によって以下のように表される。
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''L''<sub>z</sub> が特定の値より小さい場合、古在振動が発生する。''L''<sub>z</sub> がその臨界値である場合、「不動点」軌道となり、その時の傾斜角は
 
:<math>i_{crit} = \arccos\left(\sqrt\frac{3}{5}\right) \approx 39.2^{o}\circ</math>
 
で与えられる定数値となる。この角度は Kozai angle と呼ばれる。