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[[ビッグバン理論]](ビッグバン仮説)では、宇宙の始まりは[[ビッグバン]]と呼ばれる大爆発であったとされている。[[ハッブルの法則]]によると、地球から遠ざかる天体の速さは地球からの距離に比例している。そのため、逆に時間を遡れば、過去のある時点ではすべての天体は1点に集まっていた、つまり宇宙全体が非常に小さく高温・高密度の状態にあった、と推定される。このような初期宇宙のモデルは「ビッグバン・モデル」と呼ばれ、1940年代に[[ジョージ・ガモフ]]が物理学の理論へ纏め上げた<ref name=Ara8 />。
 
ガモフはビッグバンの時に発せられた光がマイクロ波として観測されるはずと予言した<ref name=Ara8 />。その後、[[1965年]]に[[アーノ・ペンジアス]]と[[ロバート・ウッドロウ・ウィルソン|ロバート・W・ウィルソン]]によって、宇宙のあらゆる方角から放射される絶対温度3度の黒体放射に相当するマイクロ波([[宇宙背景放射]])が発見された。これは宇宙初期の眠たいs高温な時代に放たれた[[熱放射]]の名残とみなされ、予言の正しさを裏付ける証拠とされた<ref name=Ara8 />。
 
ビッグバン・モデルの研究は進み、例えばその温度についてガモフは100億度程度eと考えたが、後に10<sup>31</sup>度と試算されている。ビッグバン直後の宇宙には物質は存在せず、エネルギーのみが満ちた世界だったと考えられている。理論によると、物質の基礎になる[[素粒子]]は100万分の1秒が経過した頃に生じ、その時には温度が10兆度程度まで下がった。1万分の1秒後に温度は1兆度になり、[[陽子]]や[[中性子]]が出来上がった。宇宙はx膨張しながらさらに冷え、3分後には水素・ヘリウム・リチウムなどの原子核や電子が生じ、温度は10億度になった。38万年が経過すると温度3800度程度になり、電子が[[原子核]]に囚われて[[原子]]となって、ビッグバンが起こった時に生じた[[光子]]が素粒子に邪魔されずに真っ直ぐ進めるようになった。これは「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれ、この光が宇宙背景放射である<ref name=Ara8 />。原子は電気的に中性で反発しないため、やがて重力で纏まり始めて、約1~1.5億年後には[[ファーストスター]]が<ref name=Ara16-17>[[#荒舩|荒舩、pp. 16-17、ビッグバンで膨張した宇宙の成長]]</ref>、約9億年後には<ref name=Ara14>[[#荒舩|荒舩、pp. 14-15、ビッグバンの前にも宇宙はあった]]</ref>星や銀河を形成するようになった<ref name=Ara8 />。
 
しかしその後、宇宙の[[地平線問題]]や[[平坦性問題]]といった、初期の単純なビッグバン理論では説明できない問題が出てきた。これらを解決する理論として1980年代に[[インフレーション理論]]が提唱され、ビッグバン以前に急激な膨張(インフレーション)が起こった、とされるようになった<ref>[http://www.nao.ac.jp/study/uchuzu/univ01.html 「宇宙はどのように生まれたのか?」](国立天文台)</ref>。この理論では宇宙の真の誕生はビッグバンの前に無から生じ、急激な膨張(インフレーション)を経てからビッグバンが起こったという。インフレーション時に内包するエネルギーにはわずかなムラがあり、このムラが原子の集積を呼び込んだ事、またムラが一様だったため宇宙が平坦になったとしている<ref name=Ara14 />。提唱当時のインフレーション理論には観測結果が伴っていなかったが、後に精密な宇宙背景放射の測定が理論と一致する事が判明し、信頼性が高まった<ref name=Ara14 />。
 
=== 宇宙の未来エネルギー ===
{{main|宇宙の終焉}}
宇宙定数を取り除いた[[アインシュタイン方程式]]の解が示す宇宙の未来は、膨張がやがて収縮し、最終的に一点につぶれる[[ビッグクランチ]]と呼ばれるモデルであった。地球表面でボールを空に投げると高く上がるが、やがて勢いが無くなり落ちて来る。同様に、膨張の原動力である熱や光の放出の力が低下し、重力が優勢になると宇宙は膨張速度を落とし、収縮に転じる。ほとんどの科学者はこのモデルを支持していた<ref name=Ara18>[[#荒舩|荒舩、pp. 18-19、宇宙が辿る運命は3つの可能性]]</ref>。