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'''還元'''(かんげん、{{lang-en-short|reduction}})とは、酸化銅などから、銅よりも相性がいい物質を入れ、酸化銅から、酸素を取り除き普通の銅に戻すこと。
 
目的化学物質を還元するために使用する試薬、原料を還元剤と呼ぶ。一般的に還元剤と呼ばれる物質はあるが、反応における還元と[[酸化]]との役割は物質間で相対的であるため、実際に還元剤として働くかどうかは、反応させる相手の物質による。
 
還元反応が工業的に用いられる例としては、[[製鉄]](原料の[[酸化鉄]]を還元して[[鉄]]にする)などを始めとする金属の[[製錬]]が挙げられる。また、[[有機合成]]においても、多くの種類の還元反応が工業規模で実施されている。
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不均一系の水素化では主に[[ニッケル]]、[[銅]]-[[酸化クロム]]、[[ルテニウム]]、[[パラジウム]]、[[ロジウム]]、[[プラチナ|白金]]などの金属の微粉末、もしくはそれらを[[活性炭]]、[[アルミナ]]、[[珪藻土]]などの不溶性の担体に吸着させたものが触媒として用いられる。
*C=C[[二重結合]]、C≡C[[三重結合]]をC-C[[単結合]]へ水素化するにはニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金がく用いられる。これらの中からの選択は基質に存在する他の官能基への選択性を考慮して選択される。[[アダムス触媒]]と呼ばれる酸化白金PtO<sub>2</sub>のような強力な触媒が使用されることもある。
*C≡C[[三重結合]]をC=C[[二重結合]]に部分還元するには、パラジウムを被毒して活性を低下させた[[リンドラー触媒]]がしばしば使用される。このとき、シス体のアルケンが選択的に得られる。
*[[芳香環]]を水素化して飽和の環に還元するにはルテニウムやロジウムがしばしば使用される。特にロジウムは水素圧が低くても芳香環を還元することができる。ルテニウムは硫黄化合物による被毒を受けないのでチオフェン環の水素化にも利用できる。
*[[アルデヒド]]および[[ケトン]]のC=O二重結合([[カルボニル基]])をCH-OH([[アルコール]])へ還元するにはニッケル、銅、ルテニウム、白金が良く用いられる。銅-酸化クロム触媒はC=C二重結合よりもカルボニル基を選択的に還元できる傾向があるが、この目的にはヒドリド還元のほうがすぐれている。
*[[エステル]]のカルボニル基を還元するには、銅-酸化クロム触媒が使用されるが高温、高圧の条件が必要となる。
*[[ベンジル基|ベンジル]]アルコールやベンジルエーテルのC-O単結合を加水素分解するには[[パラジウム]]触媒がく用いられる。この方法は有機合成においてアルコールをベンジル保護した後、脱保護するのに用いられる常法である。
*炭素-[[硫黄]]結合を加水素分解するにはニッケル-[[アルミニウム]]合金をアルカリで溶解させて調製する[[ラネーニッケル]]触媒が用いられる。この反応はアルミニウムの溶解の際にニッケルへ吸着された水素による水素化反応である。カルボニル基を[[ジチオアセタール]]とした後に、この方法を使用するとメチレン基に還元できる。この反応は中性に近い条件で進行し、[[クレメンゼン還元]](強酸性下で行われる)、[[ウォルフ・キッシュナー還元]](強塩基性下で行われる)の条件では不安定な物質にも適用できる。
 
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*[[水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素リチウム]](LiBH(sec-C<sub>4</sub>H<sub>9</sub>)<sub>3</sub>)および[[水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素カリウム]](KBH(sec-C<sub>4</sub>H<sub>9</sub>)<sub>3</sub>)は、それぞれ'''L-Selectride'''、'''K-Selectride'''の商標を持つ還元剤である。立体的にかさ高い還元剤なので水素化ホウ素ナトリウムによる還元とは[[立体選択性]]が変化することがある。
*[[水素化ジイソブチルアルミニウム]](DIBAL-H)は、ルイス酸性を有する還元剤で、アルデヒドやケトン、エステルをアルコールに還元できるほか、[[アセタール]]を分解して[[エーテル (化学)|エーテル]]にしたり、[[エポキシド]]を級数の多い側で開環させてアルコールにする。[[ニトリル]]は[[イミン]]に還元され、加水分解するとアルデヒドになる。また低温で反応を行うとエステルをアルデヒドに部分還元することができる場合もある。
*[[水素化アルミニウムリチウム]](LAH)(LiAlH<sub>4</sub>)は、強力な還元剤でアルデヒドやケトン、カルボン酸、エステルをアルコールへ還元する。ニトリルやアミドはアミンへ還元される。またハロゲン原子も水素に置換される。エポキシドを級数の少ない側で開環させてアルコールにする。&alpha;,&beta;-不飽和カルボニル化合物の還元は1,2-還元が優先しアリルアルコールを生成する。水と接触したり、120℃以上に加熱すると激しく分解して発火することがある。反応はく乾燥した[[ジエチルエーテル]]やテトラヒドロフランを溶媒として行う。
*[[水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム]]は、'''Red-Al'''という商標を持つ還元剤でLAHと同じような還元力を持つ。高温にしても比較的安定であり、発火の危険性が小さい利点がある。
*[[水素化トリブチルスズ]]((n-C<sub>4</sub>H<sub>9</sub>)<sub>3</sub>SnH)は、ルイス酸の存在下では[[水素化ジイソブチルアルミニウム]]と同様の還元作用を示すが、ラジカル的な還元剤として有用である。光照射や[[アゾビスイソブチロニトリル]](AIBN)のようなラジカル開始剤などによりトリブチルスズラジカルが発生し、それによってハロゲン化アルキルや硫黄化合物などからハロゲンや硫黄官能基が引き抜かれ、発生したラジカルが水素化トリブチルスズから水素を引き抜いて還元される。