「JR北海道キハ261系気動車」の版間の差分

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=== 製作・増備の経緯(0番台) ===
JR北海道は発足初期から軌道等の改良による最高速度向上による札幌と道内各都市間の輸送高速化を戦略として掲げ、非電化区間が介在する函館方面(函館・室蘭本線)、帯広・釧路方面(石勝・根室本線)については、設備改良に併せて、曲線高速通過時の遠心力を緩和する[[車体傾斜式車両#制御付自然振子式|制御付自然振子式車体傾斜装置]]搭載の特急形気動車、[[JR北海道キハ281系気動車|キハ281系]]・[[JR北海道キハ283系気動車|キハ283系]]を開発・投入し、大幅な速達化を実現した。一方で、JR北海道は制御付自然振子式と比べコストパフォーマンスに優れた車体傾斜の方式として、1996年(平成8年)に[[JR北海道キハ201系気動車|キハ201系通勤型気動車]]で[[空気ばね]]を用いる強制車体傾斜([[川崎重工業]]開発)を実用化した{{Sfnp|山田|2017|pp=123-126}}{{Efn2|傾斜角が2°と制御付自然振子式と比較し小さく(キハ283系の場合6°)、左右定常加速度の低減量が少ないため曲線通過性能は劣るが、車体・台車の構造に大きな変更を伴なわないため、コストパフォーマンスに優れる。}}
 
そのような中で、道内優等列車運転線区では最後まで[[急行列車]]のみの運転となっていた名寄・[[稚内]]方面([[宗谷本線]])についても、[[1997年]](平成9年)に[[旭川駅]] - [[名寄駅]]間の高速化事業{{Efn2|施設面では最高速度を95 km/hから130 km/hへ引き上げ。名寄駅 - 稚内駅間については軌道改良せず最高運転速度は据え置き、この区間では車体傾斜装置も使用停止以前から作動させていなかった。}}が、JR北海道と[[北海道]]ほか沿線自治体{{Efn2|宗谷本線沿線自治体で出資しているのは[[士別市]]・[[名寄市]]。}}が出資する[[第三セクター]]「[[北海道高速鉄道開発]]」を事業主体として着工され、[[2000年旭川駅]](平成12年)春の完成 - [[名寄駅]]間目指すこととなった。こ線区最高速度130km/h{{Efn2|従来高速化に際し宗谷本線既に高速化工事が完了していた函館本線(札幌95 km/h。名寄駅 - [[旭川稚内]])と直通する特急列車のについては軌道改良せず最高運転を行う速度は据え置き、ととの区間では車体傾斜装置も使用停止以前から作動させていた。}}とする「宗谷線高速化事業」が着工された。
宗谷本線高速化事業で投入される車両には宗谷本線の厳しい気象条件・線路条件への対応に加え、非常に低い輸送密度を踏まえて{{Efn2|宗谷本線の輸送密度(人/キロ/日)は、高速化工事の対象であった旭川駅 - 名寄駅間は実績が公開されている2014年(平成25年)度以降で1500前後、高速化が行われていない名寄駅 - 稚内駅間は特急の運転を開始した2000年(平成12年)度時点で764、2011年(平成23年)度以降で500を割るなど、道内の特急列車運転線区の中では最低の部類にある(詳細は[[宗谷本線#区間別の利用状況]]を参照)。}}コストパフォーマンスの高さが要求され、強制車体傾斜方式のキハ201系をベースとした特急型気動車を新規に開発・投入することとなった{{Sfnp|菅原|1999|p=21}}。
 
宗谷本線この事業には設備改良のほか既に高速化業でが完了していた函館本線(札幌駅 - [[旭川駅]]間)と直通する特急列車用車両の導入が含まれており<ref name="jrh/161118-4" group="JR北" />、北海道高速鉄道開発からの委託を受けてJR北海道が車両を開発することとなったが{{Sfnp|佐藤|2000a|p=29}}、投入される車両には宗谷本線の厳しい気象条件・線路条件への対応に加え、非常に低い輸送密度を踏まえて{{Efn2|宗谷本線の輸送密度(人/キロ/日)は、高速化工事の対象であった旭川駅 - 名寄駅間は実績が公開されている2014年(平成25年)度以降で1500前後、高速化が行われていない名寄駅 - 稚内駅間は特急の運転を開始した2000年(平成12年)度時点で764、2011年(平成23年)度以降で500を割るなど、道内の特急列車運転線区の中では最低の部類にある(詳細は[[宗谷本線#区間別の利用状況]]を参照)。}}、高いコストパフォーマンスの高さが要求され、強制車体傾斜方式のキハ201系をベースとした特急型気動車を新規に開発・投入することとなった{{Sfnp|菅原|1999|p=21}}。
本系列は[[1998年]](平成10年)12月に試作車が落成し、走行試験ののち2000年(平成12年)[[3月11日]][[2000年代のJRダイヤ改正#3月11日|ダイヤ改正]]で従前の急行列車群を再編した札幌駅 - 稚内駅間の特急「[[宗谷 (列車)|スーパー宗谷]]」として営業運転を開始した。[[2017年]](平成29年)3月4日ダイヤ改正以降は、札幌駅発着の「[[宗谷 (列車)|宗谷]]」、旭川駅発着の「[[宗谷 (列車)|サロベツ]]」として引き続き稚内方面の特急列車で運用されている。
 
JR北海道はこれに先立つ1996年(平成8年)に、制御付自然振子式と比べコストパフォーマンスに優れた車体傾斜の方式として、[[空気ばね]]を用いる強制車体傾斜([[川崎重工業]]開発)を[[JR北海道キハ201系気動車|キハ201系通勤型気動車]]で実用化しており{{Sfnp|山田|2017|pp=123-126}}{{Efn2|傾斜角が2°と制御付自然振子式と比較し小さく(キハ283系の場合6°)、左右定常加速度の低減量が少ないため曲線通過性能は劣るが、車体・台車の構造に大きな変更を伴なわないため、コストパフォーマンスに優れる。}}、宗谷線高速化事業では強制車体傾斜方式のキハ201系をベースとした特急型気動車を新規に開発・投入することとなった{{Sfnp|菅原|1999|p=21}}。
宗谷本線高速化事業における車両(12両)の調達費用はおよそ21億円であったが、JR北海道、沿線自治体が1/3(6.4億円)ずつを負担し、残りは金融機関からの融資で調達した{{Sfnp|鶴|中井|1999|pp=49-51}}<ref group="JR北" name="jrh/161118-4" />。自治体からの助成を受けるため{{Sfnp|佐藤|2000a|p=29}}、初期投入分の12両については、北海道高速鉄道開発が車両を保有し、JR北海道は同社から車両のリースを受けて運行を行っている{{Efn2|北海道高速鉄道開発は旭川駅 - 名寄駅間の線路設備も保有しJR北海道へリースしている。先行して高速化された石勝線・根室本線(南千歳駅 - 釧路駅)もこの点は同様である。}}。
 
本系列は[[1998年]](平成10年)12月に試作車が落成し、走行試験ののち、高速化工事完了後の[[2000年]](平成12年)[[3月11日]][[2000年代のJRダイヤ改正#3月11日|ダイヤ改正]]で従前の急行列車群を再編した札幌駅 - 稚内駅間の特急「[[宗谷 (列車)|スーパー宗谷]]」として営業運転を開始した。[[2017年]](平成29年)3月4日ダイヤ改正以降は、札幌駅発着の「[[宗谷 (列車)|宗谷]]」、旭川駅発着の「[[宗谷 (列車)|サロベツ]]」として引き続き稚内方面の特急列車で運用されている。
 
宗谷本線高速化事業における車両(12両)の調達事業費用はおよそ21億円であったが、このうち車両の購入についてはJR北海道、沿線自治体が1/3(6.4億円)ずつを負担し、残りは金融機関からの融資で調達した{{Sfnp|鶴|中井|1999|pp=49-51}}<ref group="JR北" name="jrh/161118-4" />。自治体からの助成を受けるため{{Sfnp|佐藤|2000a|p=29}}関係で、初期投入分の12両については北海道高速鉄道開発が車両を保有し、JR北海道は同社から年1.9億円で車両のリースを受けて運行を行っている{{Sfnp|佐藤|2000a|p=29}}<ref name="jrh/161118-4" group="JR北" />{{Efn2|北海道高速鉄道開発は旭川駅 - 名寄駅間の線路設備も保有しJR北海道へリースしている。先行して高速化された石勝線・根室本線(南千歳駅 - 釧路駅)もこの点は同様である。}}。
 
== 仕様(0番台) ==