「鬼畜系」の版間の差分

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2ちゃんねるの功罪について加筆
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*5月15日 - [[Mondo Media]]が『[[Happy Tree Friends]]』の原型となる[[Macromedia Flash|フラッシュ]][[アニメ]]『Banjo Frenzy』を公開する。
*5月30日 - [[西村博之|ひろゆき]]が「[[あめぞう|あめぞう掲示板]]」の避難所として[[匿名掲示板]]「'''[[2ちゃんねる]]'''」を開設。
* [[能町みね子]]は「[[匿名掲示板]]2ちゃんねると鬼畜系の親和性」について次のように指摘している。
{{Quotation|いわゆる鬼畜系は私は知ってはいたけどあまり入り込むことはなくて、若いときの私にとっての鬼畜・悪趣味カルチャー(?)といえば2chだったなと思う。天皇制すらネタにして、乙武さんを酷い言葉でおちょくり、平然と弱者を罵倒するモラルのない空間は正直言って当時は嫌悪感とともに魅力も同じ強さで迫ってくる場所だったと思う。その後、私はさすがに荒れ狂うネットのインモラルさとはさすがに一線を引くべきだというごく当然の結論に行き着いたけど、2ch〜5chの不道徳も主にリベラル的な「いい子ちゃん」への反抗として存在しているわけで、もし鬼畜系悪趣味カルチャーが'''バブル的イケイケ文化への反抗'''だとするなら、2ch系カルチャーも'''リベラル的お利口さん文化への反抗'''で、この2つの当事者は'''「虐げられた者の反抗」のつもりでいるところが結局同じ'''。後者はそのまま[[ネトウヨ]]・[[陰謀論|陰謀]]・[[Jアノン]](引用者注:[[オルタナ右翼]]/[[Qアノン]]の日本版)につながって肥大してしまいました。|[https://web.archive.org/web/20210721163533/https://twitter.com/nmcmnc/status/1417885949309030402 能町みね子のツイート](2021年7月22日)}}
* また鬼畜系カルチャーの創始者である[[村崎百郎]]も匿名掲示板文化について「[[:en:Language is a Virus|言語ウィルス]]」{{Refnest|group="注"|[[村崎百郎]]は「言語ウイルス」と言語が持つ「致命的な欠陥」について次のように語っている<ref>村崎百郎「そうかジジイ、やっと死んだか、良かったな」青土社『[[ユリイカ (雑誌)|ユリイカ]]』1997年11月号「特集=バロウズのいない世界」122-127頁
(アスペクト編『村崎百郎の本』141-153頁)</ref>。{{Quotation|「どうか言語ウィルスどもの巧妙な罠に気づいてくれ! 奴らの正体は自分たちを使用する全ての人間に寄生して、世代を超えてその身体を拡張し続ける極めて特殊な疑似生命だ。彼らの希薄な身体と支配力は、彼らを使用する人間の数にかかっている。そのため彼らはできるだけ多くの人間に取り憑き支配しようと、自分が取り憑いた民族を刺激して他民族に対して侵略をしかけるのだ。歴史をひもとけば、侵略に成功した側の民族が征服民に自分達の宗教や言語を強いる例はいくらでもある。'''“神”はことばであり、同時に言語ウィルスなのだ'''」という言説は、一九七七年の秋以降、俺の頭に二十九日周期でやってくる電波特有のものだが、この種の妄想は記録によれば一九世紀後半のヨーロッパでは道端に転がる糞ぐらいにポピュラーなものであったというから、そもそもキチガイの妄想には所詮大したオリジナリティーなど皆無なのだ。}}{{Quotation|とどのつまり、バロウズの言語ウィルス論から我々が学ぶべきは、「'''我々の使用する言語の中には“言語ウィルス”という言葉に象微されるような致命的な欠陥が存在する'''」ということだ。我々の日常のコミュニケーションの中でも、伝えたいことが何ひとつ相手に伝わらず、つまらない悪意ばかり増幅して伝わってしまうことは良くあることだろう。最も伝えたいことが相手にさっぱり伝わらないもどかしさを感じて言葉につまった経験はないか? それは何も“ボキャブラリーの貧困”ばかりが原因ではない。コミュニケーション・ツールとしての“言語”がもつ不完全性と、そこから生じる“悪意”をつねに意識しながら注意深く言語を使用すること──それこそが、我々意識ある人類が陥った“言語の拘束”から解き放たれるための第一歩なのだ。全ての言語が、発生したその瞬間に、嘘もつける“詐欺の手段”としての機能をも同時に合わせ持った“両刃の刃”であることを忘れてはいけない。}}}}という表現を用いて匿名掲示板文化に懐疑的な立場を取った。
{{Quotation|2ちゃんに代表されるものこそ、[[ウィリアム・S・バロウズ|バロウズ]]の言ってた『言語ウィルス』が悪意をもって活発な活動を展開する拠点だと思うんだよね。『言語ウィルス』はひたすら言語を消費させればいいんだから。そこにはただ消耗しかない。だからオレはあまり入れ込めないんだよね。単に生存時間を削られているだけ、って感じがするでしょ? バカが使ったらネットに使われているだけになるんだよ<ref name="STUDIO 200612"/>。}}
* このようなシニカルさを共有する日本発の匿名掲示板文化([[CHANカルチャー]])が日米で流行した理由について、[[アメリカ合衆国]]のニュースサイト『ノエマ・マガジン』は、シニカルな鬼畜系を生んだ199090年代以降の日本社会経済と[[おたく|オタク・コミュニティ]]の台頭が背景にあるとして次のように総括した<ref>{{Cite web|author=Brett Fujioka|url=https://courrier.jp/news/archives/228293|title=日米の有害なネットカルチャー「アメリカのネットがフェイクに塗れたのは、日本の2ちゃんねるが一因か?」|website=[[クーリエ・ジャポン]]|date=2021年1月13日|accessdate=2021-09-11}}</ref>
{{Quotation|[[2ちゃんねる]]という名に何となく聞き覚えがあるとしたら、それは物議をかもすアメリカの画像掲示板[[4chan]]、そしてその精神を受け継いだ[[8chan]](現在は8kunに改名)に名が似ているからだろう。(中略)

[[東浩紀]]によれば、オタク・コミュニティの台頭は、インターネットが広く商業化された90年代日本特有の政治・経済状況の副産物だ。第二次大戦後の急激な再建と経済成長は「終わりなき資本主義の発展」という夢物語を生み出した。(中略)この傲慢な楽観は[[バブル崩壊]]で消え去り、結果引き起こされた重度の不況と景気低迷による「失われた10年」(または20年)で実質賃金も低下する。失われた10年のあおりを一番食らったのは若者で、終身雇用モデルも破壊された。(中略)[[1995年]]には[[オウム真理教]]による[[地下鉄サリン事件]]、そして巨大な[[阪神・淡路大震災]]の2大悲劇に襲われ、国民の士気がさらに低下した。オタクが占めるオンライン空間で繰り広げられるのは'''嫌みな皮肉と[[冷笑主義]]'''で、彼らは掲示板の持つ共同体として側面に夢中になった。(中略)

'''終わりなき発展物語'''(引用者注:[[ジャン=フランソワ・リオタール]]が『ポストモダンの条件』において提唱した「[[大きな物語]]」のこと。戦後民主主義と高度経済成長に支えられた「社会全体で共有される統一的な価値観」を指す)'''の崩壊と開いた穴を埋めるため、フィクションやネット・ミーム、内輪ジョークで成り立つ空間へと避難したのだ'''。|[https://courrier.jp/news/archives/228293/?utm_source=article_link&utm_medium=longread-upper-button&utm_campaign=articleid_228309 アメリカのネットがフェイクに塗れたのは、日本の2ちゃんねるが一因か?(クーリエ・ジャポン)]}}
*9月20日 - [[青山正明]]の2冊目の単著である『[[危ない1号]]』第4巻「'''特集/青山正明全仕事'''」が刊行される。[[キャッチコピー]]は「[[児童買春|少女買春]]から[[常温核融合]]まで」。本号をもって『[[危ない1号]]』シリーズ終刊。
*11月1日 - [[児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律|児童ポルノ禁止法]]施行。
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*[[プチエンジェル事件]]発生。
*『[[BURST]]』9月号「死体写真―生と性の間に横たわる死の体験者たちと未体験者の視線」特集。死体写真家の[[釣崎清隆]]によるカラー写真に加え、[[写真週刊誌]]に載った[[尾崎豊]]や[[岡田有希子]]などの死体写真を掲載。その他、法医学書、反戦写真集、昭和初期の風俗本、死体ジャケット60選など古今東西の死体写真を横断的に紹介している。また同誌は2004年8月号でも本格的な「死体」特集を再び行っている。
*10月1日 - 日本の[[匿名]][[画像掲示板]]「[[ふたば☆ちゃんねる]]」の非公式姉妹サイトとして[[英語圏]]最大の匿名画像掲示板「'''[[4chan]]'''」開設。
 
;[[2004年]]
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*3月4日 - [[ロマン優光]]が悪趣味ブームと90年代サブカルに関する手引き書『'''90年代サブカルの呪い'''』([[コアマガジン]])を刊行。出版に至った動機についてロマンは「90年代サブカルという特殊な文化を今の価値観で振り返り、怒り狂っているヤバい単細胞が昨今目立ちます。彼らによる考察ならびに反省は、一見まともでも的を射ていないものが実に多く、世間に間違った解釈を広めてしまう害悪でしかないのです」と同書袖で語っている。
*3月15日 - [[香山リカ (精神科医)|香山リカ]]『ヘイト・悪趣味・サブカルチャー 根本敬論』([[太田出版]])刊行。『[[Jam (自販機本)#雑誌内雑誌として再出発|HEAVEN]]』編集者時代の自身の経験と特殊漫画家の[[根本敬]]を主軸に90年代サブカルと平成末期のヘイト現象を論じる試み。
*8月5日 - [[アメリカ合衆国]]の[[匿名掲示板]]「'''[[8chan]]'''」がオフラインとなる。理由として8chanのユーザーが3度にわたる銃乱射事件を起こし、米[[コンテンツデリバリネットワーク|CDN]]大手の[[Cloudflare]]が「'''ヘイトの肥溜め'''」として強制的にサービスを打ち切ったことが挙げられる<ref>{{Cite web|url=https://jp.techcrunch.com/2019/08/07/2019-08-04-cloudflare-will-stop-service-to-8chan-which-ceo-matthew-prince-describes-as-a-cesspool-of-hate/|title=Cloudflareは掲示板8chanへのサービスを停止、「ヘイトの肥溜め」とCEOが批判|website=[[TechCrunch]]|date=2019年8月7日|accessdate=2021-07-20}}</ref><ref>{{Cite web|url=https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190808/dom1908080007-n1.html|title=「表現の自由」を企業がどこまで守るか 8chan、愛知芸術祭に見るリスクと責任|website=[[zakzak]]:[[夕刊フジ]]公式サイト|date=2019年8月8日|accessdate=2021-08-25}}</ref>。なお、8chan管理人の[[ロン・ワトキンス|ロン]]について[[カレン・ホーバック]]は「'''彼が信奉する宗教は[[冷笑主義]]だ'''」と語る<ref>[https://web.archive.org/web/20210825024948/https://twitter.com/CullenHoback/status/1430266331144736777 Cullen Hobackのツイート] 2021年8月25日</ref>。
*『[[童貞。をプロデュース]]』の[[松江哲明]]監督が性的虐待を認め謝罪。
 
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* [https://togetter.com/li/1322020 鬼畜系サブカルを総括する(1) 日本悪趣味文化史編] - [[Togetter]] 2019年2月23日
* [https://togetter.com/li/1329589 鬼畜系サブカルを総括する(2) 実写版『90年代サブカルの呪い』ロマン優光×吉田豪×宇川直宏] - Togetter 2019年3月18日
* {{Cite web |author=[[清義明]] |url=https://web.archive.org/web/20210331064816/https://webronza.asahi.com/national/articles/2021031600003.html|title=Qアノンと日本発の匿名掲示板カルチャー【3】匿名掲示板というフランケンシュタインの怪物/上|website=[[論座]](RONZA)|publisher=[[朝日新聞出版]]|date=2021-03-29 |accessdate=2021-08-26 |language=ja}}
* {{Cite web|author=清義明|url=https://web.archive.org/web/20210330103024/https://webronza.asahi.com/national/articles/2021031600004.html|title=Qアノンと日本発の匿名掲示板カルチャー【4】匿名掲示板というフランケンシュタインの怪物/下|website=論座(RONZA)|publisher=朝日新聞出版|date=2021-03-30|accessdate=2021-08-26 |language=ja}}
* {{Cite web |author=清義明 |url=https://web.archive.org/web/20210402121512/https://webronza.asahi.com/national/articles/2021032500007.html|title=Qアノンと日本発の匿名掲示板カルチャー【6】サイバースペースにおける「言論の自由」の社会実験の失敗/下|website=論座(RONZA)|publisher=朝日新聞出版|date=2021-04-02 |accessdate=2021-08-26 |language=ja}}
* {{Cite web|author=Brett Fujioka|url=https://courrier.jp/news/archives/228293|title=日米の有害なネットカルチャー「アメリカのネットがフェイクに塗れたのは、日本の2ちゃんねるが一因か?」|website=[[クーリエ・ジャポン]]|date=2021年1月13日|accessdate=2021-09-11}}
* [[カレン・ホーバック]]監督『[[Q イントゥ・ザ・ストーム|Q: Into the Storm]]』[[HBO]]、2021年
* [http://www.pandora.nu/blackbox/CN/CN2.HTM BLACK BOX PANDORA]