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'''デルゲル・ブカ'''（{{Lang-mn|Delger buqa}}, {{Lang-zh|迭里哥兒児不花}}, ?-?、生没年不詳）は、[[カマラ (元朝)|晋王カマラ]]の息子で、[[モンゴル帝国]]の皇族。『[[元史]]』などの[[漢文]]史料では迭里哥児不花（diélǐgēér búhuā）、『[[集史]]』などの[[ペルシア語]]史料では'''دلگربوقا'''(delger būqā)と記される。

[[クビライ]]の孫のカマラの息子として生まれ、兄弟には[[イェスン・テムル]]（後の泰定帝）、[[スンシャン]](（松山)）らがいた<ref>『元史』巻115列伝2顕宗伝,「顕宗光聖仁孝皇帝、諱甘麻剌、裕宗長子也。……子三人：曰也孫帖木児、曰松山、曰迭裡里哥児不花」</ref>。カマラはクビライの治世の後半から[[ノムガン]]の後釜としてモンゴル高原の統治を委ねられており、デルゲル・ブカもまたモンゴル高原に駐屯していたのではないかと考えられている<ref>野口1984,282-283頁</ref>。

[[1307年]]（大徳11年）、[[テムル|オルジェイトゥ・カーン（成宗テムル）]]が死去するとカマラとともにモンゴル高原に駐屯していた[[カイシャン]]が大軍団を率いて南下し、クルク・カーン（武宗）として即位した。クルク・カーンはカイドゥ・ウルスとの戦いのためモンゴル高原に駐屯していた王族を厚遇し、[[ジョチ・カサル|カサル家]]の[[バブシャ]]、[[カチウン|カチウン家]]のドレネ、デルゲル・ブカには新たな王号が与えられ、以後デルゲル・ブカは北寧王と号するようになる<ref>『元史』巻22武宗本紀1,「［大徳十一年秋七月］丁丑、封諸王八不沙為斉王、朶列納為済王、迭裡里哥児不花為北寧王……」</ref>。また、その一ヶカ月後には金350両・銀3700両が与えられた<ref>『元史』巻22武宗本紀1,「［大徳十一年八月］乙未、賜諸王按灰・阿魯灰・北寧王迭裡里哥児不花金三百五十両・銀三千七百両」</ref>。

しかし、王族に対する「ばらまき」政策が反発を呼んだためか、[[1311年]]（至大4年）に弟の[[アユルバルワダ]]が事実上のクーデターを起こし、クルク・カーンは急死してアユルバルワダがブヤント・カーン（仁宗）として即位した。ブヤント・カーンの即位直後、同年4月にデルゲル・ブカは[[湘鄉郷市|湘郷州]]・[[寧鄉郷県]]の6万5千戸を[[投下 (モンゴル帝国)|投下領]]として与えられ<ref>『元史』巻95食貨志3,「又迭裡里哥児不花湘寧王分撥湘鄉郷州・寧鄉郷県六万五千戸、計鈔二千六百錠」</ref>、この投下領にちなんで王号も「北寧王」から「湘寧王」と改められた<ref>『元史』巻24仁宗本紀1,「［至大四年夏四月］丁卯……改封親王迭裡里哥児不花為湘寧王、賜金印、食湘鄉郷州・寧鄉郷県六万五千戸」</ref>。また、同年6月には王傅を設置し<ref>『元史』巻24仁宗本紀1,「［至大四年六月］丙午……置湘寧王迭裡里哥児不花王傅」</ref>、7月には鈔3万2千錠を与えられた<ref>『元史』巻24仁宗本紀1,「［至大四年秋七月］乙酉、賜湘寧王迭裡里哥児不花所部鈔三万二千錠」</ref>。

また、[[1313年]]（皇慶2年）には[[アスト|アスト軍団]]を率いる[[チェリク (アスト部)|チェリク]]が湘寧王デルゲル・ブカに従って「北征」した功績を称えられたとの記録があり<ref>『元史』巻135列伝22徹里伝,「徹里、阿速氏。……皇慶二年、従湘寧王北征、以功賜一珠虎符」</ref>、デルゲル・ブカはブヤント・カーンの治世にも引き続きモンゴル高原方面に駐屯していたようである<ref>野口1984,282-283頁</ref>。[[1316年]]（延祐3年）には金350両・銀1200両・鈔3200錠・幣帛を与えられたが、これ以後デルゲル・ブカに関する記録は見られなくなり、間もなく息子の[[バラシリ]]に代替わりしたようである<ref>『元史』巻25仁宗本紀2,「［延祐三年五月］庚午……賜諸王迭裡里哥児不花等金三百五十両・銀一千二百両・鈔三千二百錠・幣帛有差」</ref>。

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