カディーシャ渓谷と神の杉の森

カディーシャ渓谷と神の杉の森(カディーシャけいこくとかみのすぎのもり)は、レバノン中央部のレバノン山脈にあるカディーシャ渓谷と、そこに群生しているレバノン杉(レバノンスギCedrus lebani[1])を指す、ユネスコ世界遺産(文化遺産)登録名称である。

世界遺産 カディーシャ渓谷(聖なる谷)と神の杉の森(ホルシュ・アルツ・エル=ラーブ)
レバノン
カディーシャ渓谷
カディーシャ渓谷
英名 Ouadi Qadisha (the Holy Valley) and the Forest of the Cedars of God (Horsh Arz el-Rab)
仏名 Ouadi Qadisha ou Vallée sainte et forêt des cèdres de Dieu (Horsh Arz el-Rab)
登録区分 文化遺産
登録基準 (3), (4)
登録年 1998年
公式サイト 世界遺産センター(英語)
地図
カディーシャ渓谷と神の杉の森の位置
使用方法表示

なお、登録名にあるcedars(シダー)はヒマラヤスギ属(レバノンスギはその1種)を意味し、通常「杉」または「スギ」と日本語へ訳されるが、ヒマラヤスギ属はスギ属のようなヒノキ科ではなく、マツ科の属である。

概要 編集

レバノン山脈最高峰のコルネ・エル・サウダ山(標高3,087m)の山域にあるカディーシャ渓谷は、レバノンで一番の景観とも言われている。カディーシャ渓谷は、レバノン杉が2004年現在も自生している地でもある。

レバノン杉 編集

 
神の杉の森

レバノン杉は、紀元前にフェニキア人の繁栄の原点になったことでも有名である。フェニキア人は、当時レバノン山脈全域に自生していたレバノン杉からガレー船を始め、船舶の建造材として使用。また、木材や樹脂をエジプトなどに輸出していた。

レバノン杉は長年の伐採がたたり、2004年現在は1200本程度が残るだけになっている。また樹齢1200年以上のものが、400本ほど残っている。

また、レバノン国の象徴として、国旗中央にレバノン杉が描かれている。

登録基準 編集

この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

脚注 編集

  1. ^ Ouadi Qadisha (the Holy Valley) and the Forest of the Cedars of God (Horsh Arz el-Rab)” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2023年5月1日閲覧。

外部サイト 編集