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ニュージーランドにある記念碑にANZACの日への贈り物として設置された造花のポピー。ほとんどはニュージーランド退役軍人協会が販売している赤いポピーだが、ひとつだけ白いポピーがある。
白いポピー
(アルクトメコン・メリアミー)

白いポピー(英語:White poppy)は、平和主義の象徴とされた花である。イギリスの戦没者追悼記念日リメンブランス・デーニュージーランドの戦没者追悼記念日ANZACの日襟章として身に着け、記念碑に贈られる赤いリメンブランス・ポピー英語版の代わりとして使われている。

歴史編集

1926年にイギリスで赤いリメンブランス・ポピーが導入された数年後、ノー・モア・ウォー・ムーヴメントのメンバーは平和主義の考えから赤いポピーの代わりか別の物として白いポピーを使用し、リメンブランス・ポピーの黒い中心部に「戦争反対」と刻むよう提案した[1]

赤いポピーはイギリス軍の死者のみを示すものであるが、ノー・モア・ウォー・ムーヴメントの提案の意図は「全ての戦争の被害者を忘れないことと、さらに全ての戦争の終結を望む」という意味もあった[2]。これらは実行されなかったが[1][3]、最初の白いポピーは1933年に女性ギルド協同組合によって販売された[4]。平和誓約ユニオン(PPU)がその後頒布に参加するようになった[1]。1937年から白いポピーのリースが戦争をもう2度と起こしてはならないという平和への誓いとして置かれた[5]。今はイングランド国教会平和主義同盟のような反戦組織が白いポピー運動を支援している[6]

白いポピーの着用を推奨する人々は、赤いポピーも特定の政治的立場を伝えていると主張し、北アイルランドにおいては赤いポピーが対立をもたらしている事を指摘している[7]。北アイルランドでは、赤いポピーはイギリスとの統一を主張するユニオニストが主に身に着けているが、独立を主張するアイルランド共和主義英語版者からはボイコットされている[7]

ニュージーランド編集

ニュージーランドでは、年に1度の白いポピー募金(ホワイト・ポピー・アピール)は2009年以来、平和運動アオテアローアによってANZACの日に先立って運営されており、その収入は全て白いポピーの平和研究奨学金に費やされる[8]。そのアピールは議論を醸すようなものだと考える者もおり、退役軍人相ジュディス・コリンズは、白いポピー募金は「国を守った人々に対して非常に無礼なものだ」と主張している[9]

ニュージーランドでもリメンブランス・デーを祝うために白いポピーが身につけられている。 それまで、年に1度の白いポピーアピールは広島市に原爆が投下された8月6日核軍縮キャンペーンの資金調達として運営されていた[8]。ニュージーランドで行われた核軍縮キャンペーンは2008年に停止したので、年に1度のアピールを計画する責任は平和運動アオテアローアに移された[8]

論争編集

リメンブランス・ポピー募金を運営する退役軍人戦没者福祉団体 ロイヤル・ブリティッシュ・リージョン英語版は、白いポピーの着用についての公式の見解を持っておらず、「それは選択の問題だ。リージョンは赤いポピーを身に着けるか白いポピーを身に着けるかどちらも身に着けないかどうかということに関しては一切問題にしていない[10]」と述べている。しかしながら、白いポピーの対抗勢力は、伝統的な赤いポピーはすでに「全ての戦争犠牲者を覚えていること」という白いポピーを求める意見を含んでいると述べ、白いポピーはリメンブランスのメッセージを傷つけていると考えている[11]

赤いポピーをイギリスに対して行った戦争の犠牲者ではなく、イギリス人の死者のみを主に慰霊するもので、つまり赤いポピーは政治的象徴であるとみなす北アイルランドナショナリストのようなグループもいまだに存在する[12]。白いポピーが初めて確立した1930年代、白いポピーを着用したために仕事を失った女性もいた[13]。白いポピー募金によって集まったお金は、赤いポピー募金の募金額に影響するかもしれないと考える人もいた[14]

1986年、ソールズベリー主教であるジョン・ベイカーは教区の会報で、白いポピーの適切さについて尋ねられたことがあった。ベイカーはそれについて「もし白いポピーを見かけても傷つかないようにしましょう…赤いポピーと白いポピーが並んで咲く十分なスペースがあります」と答えたという[15]。ソーズベリー市選出庶民院議員のロバート・キーはこの見解に反対し、後になってイギリスの首相であるマーガレット・サッチャーにその会報についての意見を求めたが、サッチャーは首相質問の際、シンボルに「深い嫌悪感」を示した[16]。 それに応じて、白いポピーキャンペーンはイギリスで多くのメディア報道を受けた[15]。 デイリースター紙は白いポピー運動を批判する記事をいくつか載せた[15]。『ガーディアン』紙では、芸術家のスティーブ・ベルが白いポピーに対するサッチャーの考えを風刺した漫画を出版し、平和誓約ユニオンに再刊を認めた[15]

2014年、アベリストウィス戦争記念碑に掛けられていた白いポピーの花輪が記念碑から外され、ゴミ箱に捨てられたため、取り換えられる事となった[17]

参考文献編集

  1. ^ a b c Usborne, Simon (2016年11月4日). “The great 'poppy war': how did we get here?” (英語). the Guardian. 2018年7月19日閲覧。
  2. ^ White Poppies for Peace” (英語). www.ppu.org.uk. 2018年7月19日閲覧。
  3. ^ 補足:愛国者の活動、戦争の禍根、ヒトラーの台頭、世界恐慌などの影響による
  4. ^ Iggulden, By Amy. “British Legion reaches a truce with the white poppy movement” (英語). Telegraph.co.uk. https://www.telegraph.co.uk/news/uknews/1502478/British-Legion-reaches-a-truce-with-the-white-poppy-movement.html 2018年7月19日閲覧。 
  5. ^ “The Big Question: Why are we asked to wear a poppy, and is its” (英語). The Independent. https://www.independent.co.uk/news/uk/this-britain/the-big-question-why-are-we-asked-to-wear-a-poppy-and-is-its-significance-being-lost-1807573.html 2018年7月19日閲覧。 
  6. ^ “I mean no offence. Here is why I will also be wearing a White Poppy! - Anglican Pacifist Fellowship” (英語). Anglican Pacifist Fellowship. https://www.anglicanpeacemaker.org.uk/peacemaker-post/i-mean-no-offence-i-will-also-wearing-white-poppy/ 2018年7月19日閲覧。 
  7. ^ a b John Montgomery, quoted in the Irish News, 10 November 1986, p.1
  8. ^ a b c 2009 White Poppy Annual Appeal on scoop.co.nz, retrieved 2009-04-25
  9. ^ Hank Schouten and Paul Easton (2010年4月21日). “Rival poppy campaign angers veterans”. The Dominion Post. http://www.stuff.co.nz/national/3603373/Rival-poppy-campaign-angers-veterans 2011年12月3日閲覧。 
  10. ^ Brown, Jonathan (2006年11月11日). “Red, white, or none at all? The great poppy debate”. The Independent on Sunday. https://www.independent.co.uk/news/uk/this-britain/red-white-or-none-at-all-the-great-poppy-debate-6230165.html 2008年11月9日閲覧。 
  11. ^ Walters, Kendall (2012年11月9日). “Legion sees red over white poppy campaign”. http://cnews.canoe.ca/CNEWS/Canada/2012/11/09/20343816.html 2012年11月9日閲覧。 
  12. ^ Breen, Paul. “Poppies are a political symbol – both on and off the football pitch” (英語). The Conversation. https://theconversation.com/poppies-are-a-political-symbol-both-on-and-off-the-football-pitch-68113 2018年6月2日閲覧。 
  13. ^ Why the Poppy?”. Ninety Years of Remembrance. BBC (2008年). 2008年11月9日閲覧。
  14. ^ Wainwright, Martin (1986年11月7日). “White poppies reopen old wounds / Disarmament divisions affect preparations for Remembrance Day”. The Guardian (London): p. 6 
  15. ^ a b c d Hetherington, William (2009). Swimming Against the Tide: The Peace Pledge Union Story. London: The Peace Pledge Union. pp. 48–49. ISBN 978-0-902680-51-7. 
  16. ^ Hetherington, Bill (2006). “Symbols of Peace”. Housmans Peace Diary 2007 (54th ed.). London: Housmans Bookshop. 
  17. ^ Melville-Smith, Alicia (2014年11月17日). “Peace campaigners outraged after white poppy wreaths torn down from Aberystwyth War Memorial”. Wales Online. http://www.walesonline.co.uk/news/wales-news/peace-campaigners-outraged-after-white-8123699 2015年1月17日閲覧。 

外部リンク編集