ウェルビーイング

個人またはグループの「状態」を言う
福利から転送)

ウェルビーイング: Well-being: wellbeing: wellness、ウェルネス)とは、個人またはグループの状態(コンディション)を指す概念である。ウェルビーイングが高レベルの時、その状態(コンディション)は良好であることを意味する。意訳するとウェルビーイングは「良好性」や「良好性状態」ただし良好であることに限らない、となる。

166カ国を対象とした、ユーダイモニアなウェルビーイング調査(ギャップ社による)

用語編集

ウェルビーイングは医療看護健康分野で頻出するが、公式文書などでも「幸福」「福利」「安寧」などの語を充てる事例が少なくない。

定義編集

Huseyin Naci, PhD と John P. A. Ioannidis, MD, DSc による定義[1]:直訳:

ウェルネスとは、伝統的な健康の定義を超えて広がる、身体的、精神的、そして社会的、相互に関連する、ウェルビーイングの多様な側面を意味する。またそれは、身体的活力、精神的な平穏、社会的満足、達成感、そして個人としての充足感、などを実現することを目的とした活動や選択を含む。[2][3][4]
Wellness refers to diverse and interconnected dimensions of physical, mental, and social well-being that extend beyond the traditional definition of health. It includes choices and activities aimed at achieving physical vitality, mental alacrity, social satisfaction, a sense of accomplishment, and personal fulfillment.[2][3][4]

背景編集

1948年の世界保健機関 (WHO) 憲章に、直訳:

「健康とは、身体面、精神面、社会面における、すべての well-being(良好-性)の状況を指し、単に病気・病弱でない事とは意味しない」
“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”[5]

の一文があり、"well-being"は当時一般的ではない英語表現であったことから、欧米でウェルビーイングやウェルネスが「身体だけではなく、精神面・社会面も含めた新たな"健康"」を意味する単語として用いられ、その後の健康ブームで広く知られた[5]

意味編集

新しい「健康」の概念編集

WHOが定義する「身体だけではなく、精神面、社会面も含めた健康」を意味する場合がある。通常のヘルス(健康)の代わりにウェルビーイングを使う文脈は、WHOが定義した「健康」を指す事例が多い。

「身体的、精神的、社会的に良好な状態」編集

WHOの文言は「健康とは、身体面・精神面・社会面、全部におけるウェルビーイングの状況 (state) である」と記して状況の良し悪しは触れていないが、wellを「良好」、beingを「であること」とそれぞれ解釈し、下記の意味で用いる事例が多い。

「ウェルビーイング」(well-being) とは、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」と翻訳されることも多い言葉です。1946年の世界保健機関 (WHO) 憲章の草案の中で、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態 (well-being) にあることをいいます(日本WHO協会:訳)」と用いられています。[6]

「良好性」編集

WHOの文言は、ウェルビーイング(良好性)の多様性を示し、「社会的なウェルビーイング(良好性)が低い」の表現や、別のページで人生の「充実度」の表現、も見られる。

意訳編集

「幸福」「福利」「安寧」などの翻訳は、ウェルビーイングの語彙を正確に反映していない。

用例編集

2017年に更新された「ジュネーブ宣言」で、

患者の健康とウェルビーイングを第一に考慮するものとする。THE HEALTH AND WELL-BEING OF MY PATIENT will be my first consideration;

とする文が追加された。

ウエルネス(代替医療)編集

医学・健康科学的な「ウェルネス(健康)」とも、本来の「ウェルネス・ウェルビーイング」とも異なる「疑似科学的なウエルネス (代替医療)」である。

1970年代のカリフォルニアで、ヒッピー文化の影響を受けた「自然派」的な健康指向によりウェルネスが「再発見」され、John Travis氏などを中心に昌道者がおりフォロワーも居る[5]。この「ウエルネス」は、「代替医療」分野であり疑似科学的と批判がある。Wellness (alternative medicine)

医学的なウェルネス(健康)」は「心理学等の科学的研究分野で、特定分野で一般に使うウェルネス・ウェルビーイング」と異なる。

獲得方法 編集

2014年にアメリカの国民保健サービス (NHS) は、精神的ウェルビーイングの獲得方法として、以下5つを推奨している[7]

  1. 地域や家族とつながりを持つこと。
  2. 身体的運動を行うこと。自分が楽しめ生活の一部になるようなもので。
  3. スキルを得ようと学ぶこと。料理、楽器、自転車修理などからでよい。
  4. 他の者に与えること。言葉や笑顔のような小さなものからでよい。
  5. 今この瞬間に注目すること(マインドフルネス)。

関連項目編集

出典編集

  1. ^ Naci, Huseyin; Ioannidis, John P. A. (2015-07-14). “Evaluation of Wellness Determinants and Interventions by Citizen Scientists”. JAMA 314 (2): 121–122. doi:10.1001/jama.2015.6160. ISSN 1538-3598. PMID 26068643. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26068643. 
  2. ^ a b Huseyin Naci; John P. A. Ioannidis (June 11, 2015). “Evaluation of Wellness Determinants and Interventions by Citizen Scientists”. JAMA 314 (2): 121–2. doi:10.1001/jama.2015.6160. PMID 26068643. 
  3. ^ a b Scott Barry Kaufman sees well-being as influenced by happiness and meaning.
  4. ^ a b Kaufman, Scott Barry. “The Differences between Happiness and Meaning in Life” (英語). Scientific American Blog Network. 2019年5月28日閲覧。
  5. ^ a b c Zimmer, Ben (2010年4月16日). “Wellness” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2010/04/18/magazine/18FOB-onlanguage-t.html 2019年5月28日閲覧。 
  6. ^ 「ウェルビーイング」とは? - 『日本の人事部』” (日本語). jinjibu.jp. 2019年5月28日閲覧。
  7. ^ Five steps to mental wellbeing”. 国民保健サービス. 2018年11月20日閲覧。