絶対奪格(ぜったいだっかく、ablativus absolutus アブラーティーウス・アブソルートゥス)または独立奪格は、ラテン語文法用語で、奪格(ablativus)が副詞句的に時・理由などを表す用法を指す。

同様の構文は古代ギリシア語では属格[1]サンスクリットでは処格[2]古代教会スラブ語では与格[3]で表される。

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名詞と分詞の例:

Urbe capta, Aeneas fugit
都市が攻め落とされるとアエネーアースは逃走した。(文字通りには「攻め落とされた都市をもって、アエネーアースは逃走した」)

名詞だけの例:

Cn. Pompeio M. Crasso consulibus. . .
グナエウス・ポンペイウスとマールクス・クラッススがコンスルのときに
Ovidio exule Musae planguntur.
ムーサはオウィディウスが流されて嘆いた

形容詞+名詞の例:

vivo Caesare. . .
カエサルが生きているときに

以下は状況を表す例:

Ira calefacta, sapientia dormit.
怒りに火がつけば知恵は眠り去る
Domino absente, fenestram penetravit.
家主がいないときに窓を通って入る


動作の描写の例:

Passis palmis pacem petiverunt.
手を広げて和平を訴える

リーウィウスや後期の作家には不定詞節が使われている用例がある。

audito eum fugisse...
彼が逃げたのを聞いて

脚注編集

  1. ^ 田中美知太郎松平千秋『ギリシア語入門 改訂版』岩波書店、1962年、169頁。
  2. ^ William Dwight Whitney (2003) [1896]. Sanskrit Grammar. Dover. p. 102. ISBN 0486431363 
  3. ^ 木村彰一『古代教会スラブ語入門』白水社、1985年、142-143頁。ISBN 4560006148