網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ、retinoblastoma)とは眼球内に発生する悪性腫瘍である。大部分は2〜3歳ころまでに見られる小児がんであり、胎生期網膜に見られる未分化な網膜芽細胞から発生する。

網膜芽細胞腫のデータ
ICD-10 C692
統計
世界の患者数
日本の患者数 80人/年
(2005年11月1日)
○○学会
日本 日本眼科学会
世界 世界眼科学会
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疫学 編集

15,000人に1人の割合で発病する。地域による大きな差はない。

約10~30%は両眼性で常染色体優性遺伝、残りは片眼性で散発性である。

症状 編集

以下の4期に分けられる。

網膜内の腫瘍が硝子体内に隆起し、瞳孔が猫の目のように光るいわゆる白色瞳孔となる。その他気づきやすい症状としては以下のものがある。
  • 第2期 緑内障期
腫瘍の増殖に伴い眼圧が上昇し、続発性の緑内障となる。
  • 第3期 展開期
水晶体だけでなく虹彩や前房にも腫瘍が進展し、さらに眼球壁を破って眼窩にも認められるようになる。
  • 第4期 転移期
視神経や脈絡膜血管を介して肝臓など全身に転移して死亡する。

診断 編集

眼底所見、CTMRI超音波診断などで確定診断される。 白色瞳孔を来たす他の疾患との鑑別診断が重要となる。

治療 編集

原則として早期に眼球摘出を行う。視神経はできるだけ長く眼球側へつけて切除する。視神経断端を検査し、腫瘍細胞が認められた場合は放射線治療を実施する。

両眼性であれば重篤なほうを眼球摘出し、もう一方は極力温存する。治療としてはX線、放射線治療などのほか、エンドキサンビンクリスチンなどの抗癌剤を投与する。しかしながら治療を行っても腫瘍が増大する場合は、直ちに眼球摘出を実施する。

日本では、白色瞳孔など眼球内病変で発見される場合が多く、治癒率が90%程度得られている。そのため、最近の関心は治癒から視機能温存に移りつつあり、放射線治療と抗癌剤やレーザー焼灼を組み合わせた治療が増えている。

脚注 編集

  1. ^ Peter Falk”. en:The Biography Channel (UK and Ireland). 2009年1月30日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集