華 阿財(か あざい、1938年 - )は台湾パイワン族の男性。国民学校で教師を務めた後、公職に転じ牡丹社郷長、屏東県議会議員、行政院教育部原住民教育政策委員および旮伏龍安(カブルンガン〈旮=沓の上が九〉、kavulungan)文史研究室の責任者を務める。

日本統治時期の1938年、屏東県牡丹郷高士村(クスクス村。旧地名は高士仏社)に生まれる。本名は巴基洛克達玄固(バジェルク・タリグ、Valjeluk M,V,L)。戸口登記では日本名で「松田勇」。

NHKスペシャル シリーズ 「JAPANデビュー」との関係 編集

2009年(平成21年)4月5日に放送された『NHKスペシャル シリーズ 「JAPANデビュー」』第一回「アジアの“一等国”」において、パイワン族の日英博覧会出演を「人間動物園」と貶められ名誉を傷つけられたとして、同年6月21日、パイワン族4人の連名[1]で抗議と再調査依頼をNHKに提出した[2]

抗議・再調査依頼書 要旨(2009年6月21日付)[3]

  • NHK「JAPANデビュー」の、『パイワン族を人間動物園として日英博覧会で見世物にした』という不適切な表現に、高土村の人間として非常に侮辱を受けたと感じる。
  • 高土村村民は真相を明白にすることを強く求め、以下の点について日本の関連当局が速やかに再調査し、事実を明らかにして報道することを希望する。
・1910年開催の「日英博覧会」の主旨、目的およびその内容。また、そこで何が行われたのか。
・高士村に語り継がれる博覧会の美しい記憶を、なぜ突然「人間動物園」としてしまったのか。
  • 現代において、人類は民主自由を渇望し、平等を求め、偏見をなくし、種族を分かたず、お互いに尊重し、信頼と愛を建立し、平和のために努力することを是とする。
— 書信人:華 阿財。連署人:許 進貴、高許 月妹、陳 清福

同年10月6日、NHK「アジアの“一等国”」に対する集団訴訟の原告となった華阿財は提訴のために他3名のパイワン族とともに来日。東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「なぜ事実にあわないことを発表して世界に伝えるのか。当時、日本人はわれわれに敬意を持って接してくれた。民族の自尊心が傷付けられた」と発言した [4]

脚注 編集

  1. ^ 4人のうち、「高許月妹」は「アジアの“一等国”」に出演し、日英博覧会に出演した父親の写真を見せられて「かなしい」と発言した女性。
  2. ^ 台湾のパイワン族がNHKへ怒りの手紙―「人間動物園」侮辱事件で [(チャンネル桜の番組動画) 2009年6月29日(月)。
  3. ^ 抗議・再調査依頼書 写真
  4. ^ 「客観的判断」とNHK 怒り収まらぬ台湾の人々NHK偏向報道で2次提訴 パイワン族男性「自尊心傷つけられた」 産経新聞 2009年10月6日。

関連項目 編集

外部リンク 編集