通行手形

通行手形(つうこうてがた)は、江戸時代日本で人(一部例外を除く)が旅をしようとするときに、許可を得て旅行していることを証明した物。その許可の証として旅行中所持していることを義務付けられ、現代の通行証や日本国旅券に相当する。

概要編集

江戸時代には各地に関所口留番所が設置され、人の移動は厳格に制限された。公用・商用の旅、参詣湯治などの遊行、女性の場合には婚姻や奉公などさまざまな理由での旅があるが、一般に庶民の旅行は自由ではなかった。しかし、伊勢参りの旅については例外的に無条件で許されていた。その他、日光東照宮参詣、善光寺参詣など、有名寺社の参詣旅もおおむね許されていた。

もっとも、現代と違って整備された行楽地があるわけではなく、寺社への参拝が行楽旅行そのものであったということ、そもそも旅行自体が庶民にとっては一生に何回できるかどうかであったこと(高度成長期以前の海外旅行のような位置付けとも言える)、また江戸時代のは半独立国的存在であったことを考えれば、現代においてパスポートを取得して渡航するようなもので、庶民の場合は伊勢参りに行くという口実で届出さえすれば実質的に旅行は自由であったとの見方もある。

武家女性は移動について庶民よりも厳しく、女手形が必須であった。

通行手形の発行は、武士の場合は藩庁に申請し、庶民の場合は在住地の町役人・村役人または菩提寺に発行を申請した。

通行手形の内容は、現代のパスポートに記載されている文面とよく似ているとも言える。通行手形持参人の身元、旅行の目的(諸国寺社参拝など)、関所通過の要請、関係諸官への便宜・保護要請、発行者の身分所在地などが記載されている。

現存する通行手形は、江戸時代の人的移動を示す資料にもなっている。

その他編集

今日、全国の観光地の土産物店では、通行手形と称して地名の入ったさまざまな形をした土産物が販売されている。その多くは木製である。この土産用通行手形(道中手形、単に手形とも)は、ペナント、ミニ提灯などと並び、土産物の定番である。

関連項目編集