飾り窓
飾り窓(かざりまど)は、
概要編集
飾り窓とはオランダ、ドイツ、ベルギーなどのゲルマン諸国、またそこから伝播して地中海側でも見られる(見られた)売春の一形態、またはその施設。オランダ語では"nl:Raamprostitutie"と呼び、直訳すれば「窓売春」である。道路に面したドアはほぼ全面ガラス張りで、室内はピンク、紫、ブラックライト等で照明、軒に赤いランプを灯しているのが特徴[1] で、そのため英語圏等ではこれらが集まるエリアを"en:Red-light district"と呼ぶ。なお、この"Red-light district"を「赤線地区」と訳す例がまま見受けられるが、成り立ちや法的位置付けからも誤り。「赤灯地区」または「赤灯街」であり意味合い的には歓楽街やかつての三業地に近い。
基本的に1つのドアに1つの個室で、部屋の幅はドアより少しだけ広く、奥行きはベッドより少しだけ長い程度。入り口のガラス戸には全面を覆えるカーテンやブラインドが用意されている。部屋の奥にもカーテンが掛かっている事があるが、そこから先はバックヤードで客は立ち入らない。踏み倒しや強盗を防ぐために壁や柱の一部にスリットがあり、客が前払いした代金はそこに落とし込まれる。周旋や街娼を行う者はいない。客が外の道から品定め出来る点では日本・大阪の飛田遊郭と同じ[2] だが、日本の遊郭独特の客と遊女との取り持ちや、遊女の監督をする「遣り手(遣り手婆・花車・香車)[3]」と呼ばれる案内役の年配女性がおらず、客と売春婦が直接交渉する点で大きく異なる。
中の女性は下着、水着、あるいはボンデージなど露出の高い服装で通行人に秋波を送る。興味を持ったと思しき通行人が立ち止まると中からドアを少し開けて話しかけてくるのでその場で料金や時間、オプションサービスなどについて相談する。この相談は当然他の通行人からも見え、また関心を持って立ち聞きする通行人もいる。商談がまとまればドアは全開され招き入れられカーテンは閉じられる。従って赤灯が点灯していてカーテンが閉まってれば営業中だが接客中、赤灯が灯っていなければ休業の合図である。
各地の飾り窓編集
この形式の売春街はドイツからベルギーまでの北海沿岸の港町には通常見られ、ドイツ・ハンブルクのレーパーバーンやベルギー・アントウェルペンなどが例に挙げられる。北海に注ぎ込むライン川の河港があるドイツ・フランクフルトのフリードリッヒ通り、ミュンヘナー通りにも同様の店がある。一口に飾り窓と言っても法的位置付けや地域慣習によってシステムも少しずつ異なり、未成年者や女性は地区そのものに立ち入れない、営業は夜間のみなど慣習の相違もあるので注意が必要である。
オランダ編集
- アムステルダム
- デン・ハーフ(ハーグは英語読みで、オランダ語としては間違い)
- Haagse hoerenbuurt
- Geleenstraat
- デフェンテル
- Bokkingshang-用の無い者は通らない、町外れの片側が土手の一方通行路。
- アイントホーフェン
- Baekelandplein-飾り窓が取り囲む広場
- Edisonstraat
- ユトレヒト
- Zandpad-運河に並ぶハウスボートが、それぞれ一隻あたり10室前後の飾り窓になっている。
- Hardebollenstraat
他
ドイツ編集
他
ベルギー編集
- ブリュッセル
- Aarschotstraat
他
脚注編集
- ^ “アムステルダム市、赤線地区外での売春許可を検討 観光客対策で”. AFP (2018年11月3日). 2018年11月3日閲覧。
- ^ 「料亭」の入り口に座っている女性は女子高生や看護師の制服を着ていることが多い。“ママさん”は顧客を手招きし、交渉を持ちかける(日本最大級の遊郭の建物が今も150軒以上残る「飛田新地」に行ってきました-Gizazine)
- ^ 遣り手-コトバンクより
- ^ “赤線地区への観光客抑制する新措置を導入、アムステルダム”. AFPBB News (2018年8月8日). 2018年9月17日閲覧。