高地

標高が平地より高く、山地より低い土地

高地(こうち)とは、山地山脈と同様に、高い地域を指す。

概要 編集

ボーリグ(H.Baulig)は、地形は低地(lowland)と高地(highland)、その中間の台地(upland)に分類されるとした[1]

一方、日本では「高地」の定義について、1954年(昭和29年)に地理調査所が「主要自然地域名称図」において「起伏はさほど大きくないが、谷の発達が顕著であり、表面のおしなべて平坦な山地を、とくに高地の称でよぶ。地勢の上では山地と高原との中間的形態のものをいい、人文的には居住の中心が谷底にある地域をいう。 」と定めた[2]

ただし、この定義も含めて以下の問題点が指摘されている[2]

  • 高地highlandsは、低地lowlandsと対になる用語で、本来は高度の高低のみを基準として形態的な意味を含まないはずであり、「高地」は自然地域名称としては用いにくい[2]
  • 日本でいう「高地」に類するものを他の地域で探し得るか疑問があること[2]。例えばスコットランドの高地は、the Highlands(高地地方)とthe Lowlands(低地地方)に国土を二分した前提での呼称であること[2]
  • 地理調査所の定義では「高地」に人文的要素を加味し、一方で「高原」を「表面にまで相当の居住が営まれている山地をいう」としているが、過疎化によって「高地」に変化したり、リゾート開発によって「高原」に変化するのは奇妙で自然地理的論理のみで定義すべきである[2]

熱帯高地 編集

ヨーロッパの地理学では熱帯高地(tropical highland)の概念もよく用いられ、アレクサンダー・フォン・フンボルトカール・トロールが研究の先鞭をつけた[3]。気候的には山麓が熱帯気候に属する高地をいう[3]。標高についてPawson & Jest(1978)は、人間に高度反応が出てくる標高2,500メートル以上を高地としている[3]

各国・各地域の高地 編集

日本の高地 編集

脚注 編集

  1. ^ 有井琢磨「義務教育における地形用語の研究」『新地理』第33巻第2号、日本地理教育学会、1985年9月25日、3-10頁。 
  2. ^ a b c d e f 米地文夫「「北上山地」の呼称に関するターミノロジイ : 地理教育における自然地理用語と自然地域名の問題(2)」『岩手大学教育学部研究年報』第53巻第1号、岩手大学教育学部、1993年10月29日、167-182頁。 
  3. ^ a b c 山本紀夫、岩田修二、重田眞義「熱帯高地とは一人間の生活領域としての視点からー」『日本熱帯生態学会』第5巻第3+4号、日本地理教育学会、1996年、135-150頁。 

関連項目 編集