高根鉱(たかねこう、 Takanelite)は、1971年に発表された日本産新鉱物で、東北大学鉱物学者鉱床学者であった南部松夫谷田勝俊により、愛媛県の野村マンガン鉱山で発見された[1]化学組成は(Mn,Ca)Mn4O9・H2Oで[1]六方晶系[1]東北大学でX線結晶学に貢献した高根勝利(1899年-1945年)の業績を称えて命名された[1]

バーネス鉱英語版グループに属し、ランシー鉱(Ranciéite:(Ca,Mn2+)
0.2
(Mn4+,Mn3+)O
2
 · 0.6H2O)[2]カルシウムを二価マンガンイオンに置換したものに相当する。鈍い光沢をもつ灰色から黒色の結晶集合体として産出し、モース硬度は5、比重は3.41。同様に黒色のクリプトメレン鉱(Cryptomelane)、軟マンガン鉱エンスート鉱(Nsutite)、バーネス鉱、轟石などのマンガン酸化鉱物を常に伴うが外観では判別不能。さらに、これらが不純物として含まれるため高根鉱の正確な化学組成や結晶構造は完全には解明されていない[3]

伊香保温泉の温泉沈殿物の中からも発見されている[4]

脚注 編集

  1. ^ a b c d 南部松夫, 谷田勝俊「新鉱物高根鉱について」『岩石鉱物鉱床学会誌』第65巻第1号、日本鉱物科学会、1971年、1-15頁、doi:10.2465/ganko1941.65.1 
  2. ^ Ranciéite, mindat.org
  3. ^ 高根鉱/Takanelite浜根大輔東京大学物性研究所電子顕微鏡室
  4. ^ 剣持好司, 八田珠郎, 中田正隆, 小室光世「群馬県伊香保温泉おはぐろの湯の含マンガン温泉沈殿物のXPSによる研究」『資源地質会』第65巻第1号、資源地質会、2015年、5-12頁、doi:10.11456/shigenchishitsu.65.5 

関連項目 編集

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