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ザルツブルク - チロル線ドイツ語;Salzburg-Tiroler-Bahn)は、オーストリア国鉄の鉄道線の名称である。路線番号は、ザールフェルデン以東が200、以西が201ザルツブルク州チロル州を結ぶ路線だが、ザルツブルク~チロル間はローゼンハイムを経由するルートが主流であり、こちらはアルプス以南と以北を結ぶ特急列車が主に経由する。

ザルツブルク - チロル線
カイザー山脈を通過するEC 163 „Transalpin“
カイザー山脈を通過するEC 163 „Transalpin“
基本情報
オーストリア
所在地 ザルツブルク州チロル州
起点 ザルツブルク中央駅
終点 ヴェアグル中央駅
駅数 51駅
路線記号 101 03
路線番号 200,201(時刻表の番号)
開業 1875年
所有者 オーストリア連邦鉄道
運営者 オーストリア連邦鉄道
路線諸元
路線距離 191.7km
営業キロ 路線距離と同じ
軌間 1435mm
線路数 複線
電化区間 全区間
電化方式 交流15000 V / 16,7 Hz
架空電車線方式
最大勾配 26 ‰
最小曲線半径 200 m
最高速度 130 km/h
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概要編集

ザルツブルク-チロル線は絶え間ない複線であり、右側通行は原則ながら、渡り線によって両方向の運転が可能である。全区間は電圧15000 V、周波数16.7 Hzの交流で電化されている。ザルツブルク州とチロル州の間にアウトバーンが連結されていないため、本線はとても重要な運送経路だった。しかし1995年オーストリアが欧州連合に加盟した以来、その重要度が漸次に低くなった。アルプスを貫通する鉄道の特徴のため、特急列車が高速に走行するのは不可能である。

列車はサルツアッハ川を沿ってビショフスホフェン駅に至ると、そこからエンス谷線が分岐している。シュヴァルツアッハ=聖ファイト駅にはタウアーン線が分岐し、クラーゲンフルト駅に向かうICとEC列車はこの線を経由する。ヴェアグル駅にクーフシュタイン-インスブルック線が本線と接続する。

歴史編集

チロル地方は1858年からザルツブルク及びオーストリア東部地方と鉄道で連結されていたが、経路はバイエルン王国を貫通する形だった。それでバイエルン・マクシミリアン鉄道は1866年ドイツ連邦の併合とバイエルンとの緊張関係のため、オーストリア帝国にとって戦略上不利だと見られた。それでオーストリア国内にはもう一つの東西連結線の建設が計画された。

1872年11月10日のエリーザベト王后鉄道株式会社に与えられた建設・運営許可書 (Concessionsurkunde) の根拠にザルツブルク - チロル線は1873年から1875年まで建設された[1]。1884年この路線は他のエリーサベト皇后鉄道の路線と共に国有化された。

1905年シュヴァルツァハ=聖ファイト - バート・ガシュタイン区間が開通した時に、タウアーン線の斜面がこの路線の側面に建設された。1915年ザルツブルク - チロル線の複線化は完了した。1925年電気運転の為の改修は始まり、1930年完了した。二次大戦の終戦直前に、この路線は戦略的に重大だったため、連合軍爆撃の標的となった。

  • 1871年7月15日; エリーザベト皇后鉄道 (Kaiserin Elisabethbahn) ザルツブルク - ハライン間開通。
  • 1875年8月6日; ハライン - ビショフスホフェン - ヴェアグル間開通。
  • 1943年11月1日; カルスヴィルト駅廃止。
  • 1951年3月31日; クラウゼン駅廃止。
  • 1971年9月27日; コンコーディアヒュッテ駅をてネク駅と改称する。
  • 1978年5月28日; ヘルブルン=グラゼンバッハ駅廃止。エルスベーテン駅をサルツブルク方向に0.7 km移転。
  • 2008年12月15日; ブルクホイスル駅をヴェアグル南=ブルクホイスル駅と改称する。
  • 2009年12月13日; ザールフェルデン - ヴェアグル間にチロル運輸連合 (Verkehrsverbund Tirol, VVT) のS6系統が導入される。
  • 2011年4月29日; チロル州ブリクセンタール地域に最後の踏切が立体交差に転換される。

運行形態編集

 
プファーヴェアフェン近くを通過するEC列車
 
ブリクセン・イム・タレ近くを通過する普通列車

ザルツブルク - ホッホフィルツェン区間はザルツブルク運輸連合 (Salzburger Verkehrsverbund, SVV) の料金システムの適用区間である[2]。チロル運輸連合 (Verkehrsverbund Tirol, VVT) はホッホフィルツェン - ヴェアグル区間を管轄する[3]

寝台特急「ナイトジェット(NJ)」編集

下記2系統が、それぞれ一日1往復ずつ運行されている。2017年以前はナイトジェットの種別で運行していた。

  • ウィーン/ミュンヘン - ザルツブルク - シュヴァルツァハ - ヴェネツィア/ザグレブ/リイェカ
    ザルツブルク以北は、ウィーン方面が101号線に、ミュンヘン方面がドイツ国鉄951号線に直通する。シュヴァルツァハ以南は220号線に直通する。ミュンヘンには3方向全ての車両が乗り入れるが、ウィーンにはヴェネツィア発着の車両のみ乗り入れる。なお、シュヴァルツァハを通過する。
    2016年以前は、ドイツ国鉄951号線方面に乗り入れておらず、クロアチア方面の車両はザルツブルク止まりであった。
  • ミュンヘン - シュヴァルツァハ - ローマ/ミラノ
    ザルツブルク以北はドイツ国鉄951号線に、シュヴァルツァハ以南は220号線に直通する。
    2016年末に運行を開始した。
  • グラーツ/ザグレブ - シュヴァルツァハ - ヴェアグル - チューリッヒ
    シュヴァルツァハ以南は250号線に、ヴェアグル以西は300号線に直通する。なお、ビショフスホフェンに停車する。ザグレブ方面の車両は、シュヴァルツァハで分割され、220号線経由でザグレブまで直通する。
    2017年以前は、ザグレブ方面に限り、ヴェアグルに停車していた。

特急「レイルジェット(RJ)」編集

下記2つの系統に分かれる。

  • ウィーン/リンツ/ミュンヘン - ザルツブルク - シュヴァルツァハ - クラーゲンフルト
    一日4往復の運行。うち3往復がウィーン/リンツ発着で101号線に直通し(ザルツブルク以東は主要駅停車型)、1往復がミュンヘン発着でドイツ国鉄951号線に直通する。下記クラーゲンフルト発着のユーロシティ(EC)と合わせて、2時間に1本のパターンダイヤとなっている。
    2016年以前は、ミュンヘン発着の列車がユーロシティ(EC)として、ウィーン/リンツ発着の列車がインターシティ(IC)として運行していた。
  • キツシュタインホーン号: ウィーン ← ザルツブルク ← ヴェアグル 【冬・春の日曜日運行】
    冬・夏限定の運行で、春・秋は運休する。日曜日に、ウィーン行が片道1本運行のみする。ザルツブルク以東は101号線に直通する。
    過去の運行状況
    2016年以前は、インターシティ(IC)の種別で、休日のみ一日1往復の運行で、インスブルック発着であった。
    2017年度は、レイルジェット(RJ)に格上げされ、ヴェアグルまで短縮された他、ザルツブルク本駅を経由しないルートになった。また、他にウィーン - ツェル間のレイルジェット(RJ)もあり、土曜日のみ週1往復の運行であった。また、ツェル方面行はザルツブルク本駅を経由していなかった。
    2018年度は、ウィーン - ザルツブルク本駅 - ヴェアグル間に統一され、金曜日にヴェアグル行片道1本、土曜日に冬季2往復、夏季1往復、日曜日にウィーン行片道1本の運行となった。
    2018年末に、金・土曜日の列車が新設種別レイルジェット・エクスプレス(RJX)に変更となった。

特急「レイルジェット・エクスプレス(RJX)」編集

  • ウィーン - ザルツブルク - ヴェアグル 【冬・春の金・土曜日運行】
    冬・夏限定の運行で、春・秋は運休する。金曜日は、ヴェアグル行が片道1本運行。土曜日は、一日あたり、冬季2往復、夏季1往復の運行。ザルツブルク以東は101号線に直通する。停車駅はレイルジェット(RJ)と同じ。
    2018年以前はレイルジェット(RJ)として運行していた。詳細はレイルジェットの項目を参照。

特急「シュネルツーク(D)」編集

  • クラーゲンフルト → シュヴァーツァハ → ザルツブルク
    一日あたり、片道1本の運行。シュヴァルツァハ以南は220号線から直通する。
    2018年末に運行を開始した。

特急「ユーロシティ(EC)」編集

下記3つの系統に分かれる。

  • ザールブリュッケン/フランクフルト - ザルツブルク - ビショフスホフェン - グラーツ
    一日2往復の運行。ザルツブルク以北はドイツ国鉄951号線に、ビショフスホフェン以南は250号線に直通する。なお、ザルツブルク南・ハライン・ヴェアフェンにも停車する。
    2017年5月以降一時休止していたが、2017年末に一日1.5往復で復活し、2018年末に現在の一日2往復に増発された。
  • グラーツ - ビショフスホフェン - ヴェアグル - チューリヒ
    一日1往復の運行。ビショフスホフェン以東は250号線に、ヴェアグル以西は300号線に直通する。シュヴァルツァハで、ヴィーン方面のレイルジェット(RJ)と接続する。

特急「インターシティ(IC)」編集

下記4つの系統に分かれる。

  • ザルツブルク - シュヴァルツァハ - クラーゲンフルト
    早朝・深夜のみ、一日1往復の運行。レイルジェットおよびユーロシティと合わせて、2時間に1本の運行。シュヴァルツァハ以南は220号線に直通する。なお、ザルツブルク南・ハライン・ヴェアフェンを通過する。
    2016年以前は、一日4往復運行していて、うち2往復が101号線に直通していたが、2016年末に1往復を除いてレイルジェット(RJ)に格上げされた。
  • ザルツブルク - ビショフスホフェン - グラーツ
    一日3往復の運行(春季のみ、一日5往復の運行)。ユーロシティと合わせて、2~4時間に1本の運行。ビショフスホフェン以南は250号線に直通する。
  • グラーツ - シュヴァルツァハ - インスブルック
    一日1往復の運行。ビショフスホフェン以東は250号線に、ヴェアグル以西は300号線に直通する。シュヴァルツァハで、ザルツブルク方面の特急と接続する。

特急「インターシティ・エクスプレス(ICE)」編集

  • グロスグロックナー号: シュヴァルツァハ/ツェル - ヴェアグル - ミュンヘン/ハンブルク/フレンヅブルグ 【冬季・夏季の金・土・日のみ運行】
    季節限定で、金・土曜日のシュヴァーツァハ行、土・日曜日のドイツ方面行のみ運行する。ヴェアグル以西は220号線に直通する。インターシティ(IC)相当の停車駅だが、ホホフィルツェン、フィーバーブルン、ハーネンカム、ホプフガーテンにも停車する。
    2018年以前は、インターシティ(IC)として運行していた。

快速「レギオナルエクスプレス(REX)」編集

下記系統が運行される。

  • ザルツブルク - ホホフィルツェン - ヴェアグル
    2時間に1本の運行。休日はザールフェルデン以北の運行となる。また、シュヴァルツァハ - ヴェアグル間の区間運行もあり(こちらは休日も運行)、両者合わせて1-2時間に1本の運行となっている。区間運行の便は、原則ハーネンカムに停車する(2017年春以降)。
    2016年以前は、ホホフィルツェン以西で普通列車として運行していた他、区間運行便は主にザンクトヨハン以西のみの運行で、またブレンネロまで直通していた。

普通「レギオナルバーン(R)」編集

シュラドミンク→ビショフスホフェン→シュヴァルツァハ間、およびビショフスホフェン→ザールフェルデン間に、片道のみ早朝/深夜のみの運行。休日はシュヴァルツァハ以西でのみ運行される。

2016年以前は、ビショフスホフェン行も運行していて、一部はザールフェルデン以西でSバーンとなり、ヴェアグルまで直通する。

普通「Sバーン(S)」編集

下記2つの系統に分かれる。

  • バド・ライヒェンハル - ザルツブルク - シュヴァルツァハ - ザールフェルデン (S3系統)
    1時間に1本の運行。ザルツブルク以北は独墺国境を越え、ドイツ国鉄954号線に直通する。なお、平日に限り、フライラッシンク - ザルツブルク - ゴリンク間の区間便が1時間間隔で運行され、この区間は両者合わせて30分間隔で運行されている。1時間に1本の運行はシュヴァルツァハ以北の運行で、平日・土曜日は2時間に1本、休日一日1往復がザールフェルデンまで直通する。
    2016年以前は、S1系統を名乗っていた。2017年以前は、シュヴァルツァハ以南の本数が、平日でも上記レギオナルバーン等と合わせて一日7.5往復であった。
  • ホホフィルツェン - ヴェアグル (S6系統)
    平日は1時間に1本、休日は2時間に1本の運行。一部が、ザールフェルデンまで乗り入れる。
    2016年以前は、半数がホホフィルツェン以北快速として運行され、ザルツブルクまで直通していた。

駅一覧編集

  • 種別
    • RJ:特急「レイルジェット」
    • NJ:寝台特急「ナイトジェット」
    • EC:特急「ユーロシティ」
    • IC:特急「インターシティ」
    • REX:快速「レギオナルエクスプレス」
    • R:普通「レギオナルツーク」
    • S:普通「Sバーン」
  • 停車駅
    • 印:全列車停車
    • 印:一部通過
    • ☆印:半数停車
    • 印:一部停車
    • |印:全列車通過
路線名 駅名 駅間営業キロ 累計営業キロ RJ NJ D EC IC REX R S 接続路線 所在地
200 ザルツブルク本駅 - 0.0  

101号線(ウィーン方面)、210号線(ランプレヒツハウゼン方面)
ドイツ国鉄951号線(ミュンヘン/ランツフト方面)

ザルツブルク州 ザルツブルク市
ザム駅 2.1 2.1    
グニグル駅 0.9 3.0    
パーシュ駅 1.5 4.5    
アイゲン駅 1.3 5.8    
ザルツブルク南駅 2.1 7.9     ザルツブルク郊外郡
エルスベテン駅 1.1 9.0    
プフ・ウアシュタイン駅 4.2 13.2     ハライン郡
プフ・バイ・ハライン駅 1.3 14.5    
オーベラルム駅 1.5 16.0    
ハライン駅 1.8 17.8    
ハライン・ブルクフリート駅 1.5 19.3    
バド・フィーガウン駅 1.6 20.9    
クフル・ガーナイ駅 1.5 22.4    
クフル駅 3.2 25.6    
ゴリンク・アプテナウ駅 3.2 28.8    
テンネック駅 13.4 42.2     ザンクト・ヨーハン・イム・ポンガウ郡
ヴェアフェン駅 3.0 45.2    
プファルヴェアフェン駅 1.4 46.6    
ビショフスホフェン駅 5.7 52.3 250号線(グラーツ方面)
ミッターベルクヒュッテン駅 3.0 55.3  
ザンクト・ヨーハン・イム・ポンガウ駅 6.0 61.3  
シュヴァルツァハ・ザンクト・ファイト駅 5.2 66.5 220号線(クラーゲンフルト方面)
レント駅 8.5 75.0     ツェル・アム・ゼー郡
エシェナウ駅 4.0 79.0    
タクセンバッハ・ラウリス駅 5.3 84.3    
グリース・イム・ピンツガウ駅 4.6 88.9  
ブルック・フシュ駅 4.8 93.7    
ツェル・アム・ゼー駅 5.7 99.4   230号線(クリムル方面)
マイスホフェン・ザールバッハ駅 4.6 104.0    
ガーリンク・イム・ピンツガウ駅 4.0 108.0    
201 ザールフェルデン駅 4.3 112.3    
レオガンク・シュタインベルゲ駅 5.8 118.1      
レオガンク駅 2.4 120.5      
ホホフィルツェン駅 9.6 130.1       チロル州 キツビューエル郡
プファッフェンシュヴェント駅 4.3 134.4      
フィーバーブルン駅 5.0 139.4      
グリースヴィアト駅 5.1 144.5      
ザンクト・ヨーハン・イン・チロル駅 3.2 147.7      
オーバーンドルフ・イン・チロル駅 4.3 152.0      
キツビューエル駅 5.1 157.1      
キツビューエル・ハーネンカム駅 2.4 159.5      
シュヴァルツゼー駅 1.9 161.4      
キルヒベルク・イン・チロル駅 5.0 166.4      
ブリクセン・イム・ターレ駅 3.7 170.1      
ヴェステンドルフ駅 3.0 173.1      
ヴィンダウ駅 3.3 176.4      
ホプフガーテン・ベルグリフト駅 5.9 182.3      
ホプフガーテン駅 1.1 183.4      
ヴェアグル南・ブルックホイスル駅 5.1 188.5       クフシュタイン郡
ヴェアグル駅 3.9 192.4     300号線(クフシュタイン方面/フェルトキルヒ方面)

参考文献編集

  • Alfred Horn: Die Eisenbahnen in Österreich. Offizielles Jubiläumsbuch zum 150jährigen Bestehen. Bohmann, Wien 1986, ISBN 3-7002-0643-7. (ドイツ語)
  • Alfred Horn: ÖBB Handbuch 1993. Bohmann, Wien 1993, ISBN 3-70020-824-3. (ドイツ語)
  • Eisenbahnatlas Österreich. Schweers + Wall, Aachen 2005, ISBN 3-89494-128-6, S. 63. (ドイツ語)

脚注編集

  1. ^ RGBl 1872/170 In: Reichsgesetzblatt für die im Reichsrathe vertretenen Königreiche und Länder, Jahrgang 1872, S. 587–614. (Online bei ANNO):オーストリア国立図書館の新聞記事ディジタル化
  2. ^ ザルツブルク運輸連合の路線図などの情報: SVVの資料
  3. ^ チロル運輸連合の路線図などの情報: VVTの資料

外部リンク編集