6つの弦楽のためのソナタ (ロッシーニ)

ジョアキーノ・ロッシーニによるソナタ

6つの弦楽のためのソナタ』(むっつのげんがくのためのソナタ、: Sei sonate a quattro)は、ジョアキーノ・ロッシーニ作曲した、擦弦楽器のための6曲のソナタ集である。作曲者の少年時代に書かれた作品で、前世代の古典的な型を意識しながらも後年の変化の予兆がみられ[1]、またすでに旋律の才を見せている[2]

構成 編集

全6曲存在する。各曲はすべて長調で書かれ、急-緩-急の3楽章構成をとる[1]。演奏時間はそれぞれ11分から16分程度。

  • 第1番
ト長調である。
  1. モデラート
  2. アンダンティーノ
  3. アレグロ
  • 第2番
イ長調である。
  1. アレグロ
  2. アンダンテ
  3. アレグロ
  • 第3番
ハ長調である。
  1. アレグロ
  2. アンダンテ
  3. モデラート
  • 第4番
変ロ長調である。
  1. アレグロビバーチェ
  2. アンダンテ
  3. アレグレット
  • 第5番
変ホ長調である。
  1. アレグロビバーチェ
  2. アンダンティーノ
  3. アレグレット
  • 第6番
ニ長調である。
  1. アレグロスピリトーゾ
  2. アンダンテアッサイ
  3. テンペスタ(アレグロ)

編成 編集

ヴァイオリン2本、チェロコントラバス

歴史 編集

作曲の経緯 編集

ロッシーニは、1804年の夏にラヴェンナに滞在しており、そこで6つのソナタを作曲した。ロッシーニは当時12歳で、アマチュアのコントラバス愛好家のアゴスティーニ・トリオッシ (Agostini Triossi) の家に住んでいた。ソナタでコントラバスが目立っているのは、トリオッシの影響によるものと思われる。後年にロッシーニは、「6つのひどいソナタ」を3日のうちに仕上げたと回想している[2]

1823年から1824年にかけ、一般的な弦楽四重奏曲の編成に改められてパリで出版された[2]1825年ごろに第3番を除いた5つがリコルディから発表されたのが初出版ともされる。ロンドンでも出版されたほか、アマチュアによる演奏を見込んで、ピアノ独奏や、フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、もしくはフルート、クラリネットファゴットホルンといった編成への編曲も作られた[2]

楽譜の行方 編集

しかし、最終的にソナタの所在は謎に包まれ、研究者たちはそれらが失われたと推測していた。1942年、リコルディが出版した楽譜が再び発見され、1954年にロッシーニのオリジナルの譜面がアメリカ議会図書館で発見された[1]

脚注 編集

注釈 編集

出典 編集

  1. ^ a b c Smith, Howard (1992年). “Rossini: The String Sonatas”. ハイペリオン・レコード. 2022年8月4日閲覧。
  2. ^ a b c d Vachon, Jean-Pascal. “Rossini: Sonatas for Strings Nos. 1-3; Hoffmeister: Double Bass Quartets Nos. 1 & 2”. BISレコード. 2022年8月6日閲覧。

外部リンク 編集