BFGビーエフジー)は『Doom』や『Quake』などのid Softwareファーストパーソン・シューティングゲームシリーズに登場する架空の武器である。

BFG
初登場
作者
物語内情報
種類 武器

BFGは「ビッグ・ファッキング・ガン」(Big Fucking Gun)の略語であり、トム・ホールのオリジナルのDoomのデザイン文書および『Doom II:Hell on Earth』のユーザーマニュアルにて記述がある。一方、『Quake II』の説明書には、「Big、Uh、Freakin 'Gun」の略と記載されている。この婉曲的な表示は、BFGのより下卑た名前を示唆している[2]。また、映画『DOOM』に登場する同様の武器は「バイオ・フォース・ガン」(Bio Force Gun)の略称とされている。『Doom』に登場するバージョンは「BFG 9000」と呼ばれ、 『Quake』のバージョンは「BFG 10K」と呼ばれる。

外観 編集

Doom 編集

この武器は、第一作である『DOOM』のプレスベータ版を初出としており、同バージョンにおいて、BFG 9000は一発ごとに80個の小さなプラズマ球(ランダムに緑または赤)の雲を放出した。

Computer Gaming Worldは、最初の商用DoomゲームのBFG 9000を「究極の武器」と表現した。巨大な緑のプラズマ球を発射する大型のエネルギー兵器であるBFGは、ゲーム内で最も強力な武器であり、ほとんどの種類の敵に致命的な大ダメージを与え、一発で視界内の敵を全滅させることもできる[3]。プレイヤーはスプラッシュダメージの影響を受けないため、他のいくつかの強力な武器とは異なりBFG 9000を至近距離で安全に使用することができる。最初の『Doom』では、この武器はエピソード3と4でのみ取得できる。 BFG 9000は、『Doom II:Hell on Earth』『Final Doom』『Doom 64』『Doom RPG』にも実質的にそのままの状態で登場する。

BFGのゲーム内メカニクスは2つの要素からなる。実際の発射物の直撃によって大ダメージを与えた直後、発射したプレーヤーから放射線状に即着弾判定が大量に放たれ、さらなるスプラッシュダメージが与えられる。これにより、武器の壊滅的な影響範囲が増加する。ゲームコードの内部動作に関する1つの奇妙な点は、BFGのスプラッシュダメージ判定はプレーヤーがショットを発射した方向を記憶しているが、位置を覚えていないことである。つまり、プレーヤーはまったく別の部屋にまで遠くへ移動していても、発射物が衝突するタイミングでその部屋にいる全ての敵にダメージを与えることができる[4]

他のバージョン 編集

Doom 3』ではBFG 9000は荷電兵器であり、発射前に引き金を引き続けると武器にエネルギーが蓄積され、より強力な攻撃を行える。BFGにエネルギーを過剰に蓄積させると、オーバーヒートして爆発し、プレーヤーは即死する。

『Quake II』と『Quake III Arena』は、BFG 9000へのオマージュとしてBFG10Kが登場し、このうち『Quake II』では、範囲内と照準線の任意の敵に光線を放射する低速のプラズマの塊を発射する。一方、『Quake III Arena』ではは、一連の高速プラズマオーブを発射し、ロケットランチャーのように機能する(ロケットジャンプはBFG10Kでも行える)。Quake IIIのBFG10Kは、『OpenArena』(外観は異なるが動作は同じ)と『Quake Live'(特性が少し変更されている)にも登場する。『Rage』では、BFG 9000のオマージュとして、「BFG弾」の発射に対応した「オーソリティパルスキャノン」(Authority Pulse Cannon)と呼ばれる武器が登場しているほか、アバランチスタジオが開発した『Rage 2』ではBFG 9000そのものが登場する。

映画『DOOM』では、「バイオフォースガン」(bio force gun)という名称で登場しており、明るい青色の物体を放つことができる。この発射物が衝撃で破裂することにより、標的とその周囲の領域に苛性物質を浴びせる。 続編の『アナイアレーション』でもBFGが登場する。こちらは緑色のプラズマ光線を発射し、命中した敵を粉砕する。また派生型として、BFGの強力なエネルギーを手榴弾に転用したプラズマ・グレネードも登場した。

BFGは2016年のリブートで再登場するが、最初の2つの外観とは異なり、『Quake II』でのBFGのメカニズムに従って、エリア内すべての敵にビームを放射する発射物を発射する。 ゲーム自体はゲーム内またはゲーム内コーデックスエントリのどちらにおいても「BFG」の頭字語は解明されないが、BFGを含むゲームのキャンペーンの最終ステージの1つのチャレンジでは、元の下品な名前を考慮して「ビッグ・[編集済み]・ガン」と呼ばれている[5]。同作のピンボール化作品では、BFGは「ビッグ・ファンシー・ガン」と呼ばれ、ドゥームスレイヤーが入手できる最も強力な武器であり、集めることでプレーヤーに追加のボールが付与される。 また、2020年版の『Doom Eternal』にも登場するが、機能的には2016年版と同一である。これは、ドゥームスレイヤーが火星の表面に穴を空けるために用いた火星の衛星フォボスに設置された巨大惑星間砲「BFG 10000」の主要コンポーネントとして導入されている[6]

評価 編集

BFG 9000はUGO.comの「史上最高のコンピュータゲーム武器リスト」で2位にランクインしており、「素晴らしく複雑なものであり、この武器を史上最高のものの1つとすることをためらうべきではない」というコメントが寄せられた[7]。X-Playは、最高に「イカす」武器リストでBFGを1位に位置付け、「グラビティガンほど派手ではない」が、「本当に私たちを卒倒させた」最初の武器であると述べた[8]IGNはまた、IGNの「コンピュータゲームで最高の武器100選」では2位にランクインしており、「BFGは強力なゲーム内武器に関して私たちが期待すべきことを正確に確立した」というコメントが寄せられた[9]。Machinima.comは、最高のコンピュータゲームの武器リストでBFGを一番に位置付け「これがリストの1位である理由が本当に必要か?」と述べた。

BFR 編集

「BFR」は、2017年9月にイーロン・マスクが発表したSpaceXの民間資金による打上げ機のコードネームである[10][11][12][13][14]。SpaceXの社長グウィン・ショットウェルは、BFRは「Big Falcon Rocket」の略であると述べている[15]。しかし、イーロン・マスクはBFRはコードネームであるが、『Doom』に登場するBFG武器からインスピレーションを得たと説明している[16]。BFRはSpaceX内部とメディアで非公式に「ビッグ・ファッキング・ロケット」(Big Fucking Rocket)と呼ばれていた[17][18][19]。上段はビッグ・ファルコン・シップ(非公式には「ビッグ・ファッキング・シップ」)と呼ばれていた[20][21][22][23][24]。BFRは最終的に正式に「スターシップ」(Starship)に名前が変更された[25]

関連項目 編集

  • BFG - 曖昧さ回避

脚注 編集

  1. ^ a b c DOOM Credits (DOS)”. MobyGames. 2016年7月17日閲覧。
  2. ^ BFG9000”. Doom Wiki. 2016年3月29日閲覧。
  3. ^ S. Eto (2020年3月29日). “『DOOM』シリーズの愛すべき相棒「武器」を初代から徹底比較、『DOOM Eternal』まで5作品を振り返る!(8ページ目)”. Game*Spark. イード. 2020年4月12日閲覧。
  4. ^ Tony Fabris (1999年8月15日). “The BFG Faqs”. 2016年7月17日閲覧。
  5. ^ Doom: A Sneak Peek at the FINAL Level”. IGN. YouTube (2016年4月29日). 2016年5月17日閲覧。
  6. ^ The BFG 10000 Of DOOM Eternal Is Massive”. VGR (2018年8月14日). 2018年9月11日閲覧。
  7. ^ Top 50 Video Game Weapons of All Time. UGO.com. Retrieved on December 17, 2008, now on archive.org
  8. ^ (June 18, 2008) X-Play's Top 10 Badass Weapons: Part 2. G4. Retrieved on December 25, 2008.
  9. ^ BFG9000”. IGN. 2016年7月17日閲覧。
  10. ^ Jeff Foust (2017年9月29日). “Musk unveils revised version of giant interplanetary launch system”. SpaceNews. http://spacenews.com/musk-unveils-revised-version-of-giant-interplanetary-launch-system/ 2017年10月1日閲覧。 
  11. ^ William Harwood (2017年9月29日). “Elon Musk revises Mars plan, hopes for boots on ground in 2024”. SpaceflightNow. https://spaceflightnow.com/2017/09/29/elon-musk-revises-mars-plan-hopes-for-boots-on-ground-in-2024/ 2017年9月30日閲覧. "The new rocket is still known as the BFR, a euphemism for 'Big (fill-in-the-blank) Rocket.' The reusable BFR will use 31 Raptor engines burning densified, or super-cooled, liquid methane and liquid oxygen to lift 150 tons, or 300,000 pounds, to low Earth orbit, roughly equivalent to NASA’s Saturn 5 moon rocket." 
  12. ^ Tim Fernholz (2017年9月29日). “SpaceX’s Elon Musk unveiled a rocket that can fly to the Moon, Mars—and Shanghai” (英語). Quartz. https://qz.com/1090435/spacexs-elon-musk-unveils-a-new-rocket-that-can-fly-to-the-moon-mars-and-shanghai/ 2017年9月30日閲覧。 
  13. ^ “Artist's Rendering Of The BFR” (英語). SpaceX. (2017年4月12日). http://www.spacex.com/media-gallery/detail/149426/9376 2017年10月3日閲覧。 
  14. ^ Sherisse Pham; Jackie Wattles (2017年9月29日). “Elon Musk is aiming to land spaceships on Mars in 2022”. CNNMoney. http://money.cnn.com/2017/09/29/technology/future/elon-musk-spacex-mars-iac-conference/index.html 2017年9月29日閲覧。 
  15. ^ Mike Wall. “What's in a Name? SpaceX's 'BFR' Mars Rocket Acronym Explained”. space.com. 2018年2月11日閲覧。
  16. ^ Heath (2015年12月12日). “Elon Musk Is Ready to Conquer Mars” (英語). GQ. 2018年2月14日閲覧。
  17. ^ Fernholz, Tim (20 March 2018). Rocket Billionaires: Elon Musk, Jeff Bezos, and the New Space Race. Boston: Houghton Mifflin Harcourt. p. 244. ISBN 978-1328662231. https://books.google.ca/books?id=9YosDwAAQBAJ&pg=PA244. "SpaceX would build a huge rocket: the BFR, or Big Falcon Rocket—or, more crudely among staff, the Big Fucking Rocket" 
  18. ^ “The world is not enough”. The Economist (London). (2016年10月1日). https://www.economist.com/science-and-technology/2016/10/01/the-world-is-not-enough 2018年5月21日閲覧。 
  19. ^ Slezak, Michael; Solon, Olivia (2017年9月29日). “Elon Musk: SpaceX can colonise Mars and build moon base”. The Guardian (London). https://www.theguardian.com/technology/2017/sep/29/elon-musk-spacex-can-colonise-mars-and-build-base-on-oon 2018年5月21日閲覧。 
  20. ^ What's in a Name? SpaceX's 'BFR' Mars Rocket Acronym Explained. Mike Wall, Space.com. October 7, 2017.
  21. ^ Foust. “SpaceX no longer planning crewed missions on Falcon Heavy”. Spacenews. 2018年2月6日閲覧。
  22. ^ Space tourists will have to wait as SpaceX plans bigger rocket. Stu Clark, The Guardian. 8 February 2018.
  23. ^ Making Life Multiplanetary: Abridged transcript of Elon Musk's presentation to the 68th International Astronautical Congress in Adelaide, Australia”. SpaceX (2017年9月). 2018年8月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月27日閲覧。
  24. ^ SpaceX signs its first passenger to fly aboard the Big Falcon Rocket Moon mission. CatchNews. 14 September 2018.
  25. ^ Musk renames BFR spacecraft Starship”. BBC News (2018年11月20日). 2020年5月27日閲覧。