HCL Sametimeは、HCLテクノロジーズが開発・販売するクライアントサーバアプリケーションとミドルウェアプラットフォームで、企業でのリアルタイムの統合コミュニケーションとコラボレーションを提供する。在席情報、企業内インスタントメッセージWeb会議、ソーシャル機能、電話との連携機能などがある。

HCL Sametime
開発元 HCLテクノロジーズ
初版 1999年1月6日 (25年前) (1999-01-06)
最新版
11 / 2019年12月20日 (4年前) (2019-12-20)
プラットフォーム クロスプラットフォーム
種別 インスタントメッセージWeb会議、統合コミュニケーション
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト HCL Sametime
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1998年にIBMロータスブランド製品(IBM Lotus Sametime 、後に IBM Sametime)として登場したが、2019年7月にHCLがIBMより買収して現在の HCL Sametime となった[1]

特徴 編集

IBM Lotus Sametime には、Lotus Sametime Connect クライアントと管理用の Lotus Sametime サーバが含まれる。機能レベルによって4種類の Lotus Sametime が存在する[2]

Lotus Sametime Entry
基本的な在席情報とインスタントメッセージ機能
Lotus Sametime Standard
Lotus Sametime Entry の機能に加えて、以下の機能がある。
  • 位置情報を加えた在席情報
  • ビデオチャット(1対1)
  • ボイスチャット(5人同時)
  • Web会議
  • IBM Lotus Sametime Gateway を経由して各種IMネットワーク(AOL Instant MessengerYahoo! MessengerGoogle TalkXMPPベースのサービスなど)と相互運用可能
  • Lotus Sametime と他のアプリケーションの連携を可能にするオープンなAPI
  • Sametime Audio/Video Services は、音声コーデックとしてG.711G.723.1、iSAC、ビデオコーデックとして H.263+ をサポート[3]
Lotus Sametime Advanced
Lotus Sametime Standard の機能に加えて、リアルタイムのグループウェア機能やSNS機能を提供する。
  • 継続的なチャットルーム
  • ブロードキャストツール
  • インスタント画面共有
  • 位置情報サービス
Lotus Sametime Unified Telephony
Lotus Sametime Standard または Lotus Sametime Advanced に電話連携機能を追加する。
  • 電話に出られるかどうかを含めた在席情報
  • ソフトフォン
  • 着信管理
  • 通話中の転送などの通話制御
  • 各種電話システム(IP-PBXTDMシステム)との接続連携

サポートしているプラットフォーム、API、アプリケーション統合 編集

ミドルウェアとして、アプリケーションとビジネスプロセスの統合をサポートしている。リアルタイム通信の場合、これを Communications Enabled Business Proceeses と呼ぶ。次の2つの方法がある。

  • Lotus Sametime 用プラグインでアプリケーションと連携する
  • Lotus Sametime 機能を対象アプリケーションに組み込む。

実際に連携可能なアプリケーションとしては、以下のものがある。

Lotus Sametime はEclipseプラットフォーム上に構築されており、Eclipse を知っていれば Lotus Sametime 用プラグインを容易に開発できる。Virtual Places という独自プロトコルを使っているが、SIPSIMPLET.120XMPPH.323などの標準的なプロトコルもサポートしている。

クライアントである Lotus Sametime Connect は Microsoft Windows 用、Linux用、macOS 用がある。サーバは Windows、AIXi5/OS、Linux、Solaris で動作する。

歴史 編集

IBMが取得した2つの企業の技術を組み合わせて、1998年に登場した。T.120 によるデータ会議と H.323 によるマルチメディア会議機能を提供していた Databeam という企業と、在席情報をベースとしたグループウェア機能を提供していたイスラエルの企業 Ubique である。

2008年、ガートナーは統合コミュニケーション分野でIBMが首位に立ったと初めて認めた[4]

2019年7月1日にHCLテクノロジーズがIBMよりLotus、Domino製品などを買収したことに伴い、SametimeもHCLに移籍した。

バージョン 編集

  • 1999年1月6日 Lotus Sametime R1.0を発売(IBMのLotusブランドとして登場)
  • 1999年9月9日 Lotus Sametime R1.5を発売
  • 2001年3月2日 Lotus Sametime R2.0を発売
  • 2001年10月1日 Lotus Sametime R2.5を発売
  • 2002年10月25日 Lotus Sametime R3.0を発売
  • 2003年7月8日 Lotus Sametime R3.1を発売
  • 2004年4月2日 Lotus Instant Messaging and Web Conferencing (Sametime) 6.5.1を発売
  • 2005年12月24日 Lotus Sametime 7.0を発売
  • 2006年8月23日 Lotus Sametime 7.5を発売
  • 2007年4月25日 Lotus Sametime 7.5.1を発売
  • 2007年11月30日 Lotus Sametime 8.0を発売
  • 2008年3月29日 Lotus Sametime Advanced 8.0を発売
  • 2009年12月23日 Lotus Sametime 8.5を発売
  • 2010年7月30日 Lotus Sametime 8.5.1を発売
  • 2011年6月1日 Lotus Sametime 8.5.2を発売
  • 2013年9月20日 IBM Sametime 9.0を発売 (発表は9月10日。名称よりLotusが消えた。)
  • 2016年5月3日 IBM Sametime 9.0.1を発売
  • 2019年6月14日 IBM Sametime 10を発売
  • 2019年12月20日 HCL Sametime 11を発売(HCL買収後)
  • 2020年11月10日 HCL Sametime 11.5を発売

脚注・出典 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集