SolidWorks(ソリッドワークス)とは、Dassault Systèmes SolidWorks Corporation(現 Dassault Systèmes S.A.の子会社)より提供される機械設計用途の3次元CADソフトウェア(3Dソリッドモデラー)である。

SolidWorks
開発元 Dassault Systèmes SolidWorks
最新版
SOLIDWORKS 2019 / 2018年10月22日 (5年前) (2018-10-22)
対応OS Windows 7・10
種別 CAD
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト SolidWorks
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概要 編集

SolidWorks社は1993年に設立され、1995年に最初の製品を出荷した。創業時からの製品ポリシー「使いやすく」、「手頃な価格で利用可能」は、1997年のダッソー・システムズによる買収以後も変わってはいない(社名は「Dassault Systèmes SolidWorks Corporation」に変更された)。2013年には、ライセンスの累計販売数が200万本を突破した[1]

「使い勝手の良さ」を主なテーマにしており、それまでの大企業向けのUNIXをインフラとしたCATIA V4、Pro/ENGINEER(現PTC Creo Parametric)、Unigraphics(UGS NX参照)などのハイエンドCADと、AutoCADに代表されるPC系CADに割り込む、ミドルレンジ3D CADという位置づけにより普及したソフトウエアである。普及価格帯の3D CADはその後多く発表されるが、SolidWorksはその先駆である。

ダッソー・システムズには買収以前から独自のCAD製品 CATIA があるが、買収後も製品の統合整理は行われず、製品としての独立性は保たれている。ただし、CATIA V5とSolidWorksは機能的に類似している部分が多く、CATIA V5からSolidWorksへ導入された機能としては2003のマルチボディ(1パーツ内で複数のソリッドを持つこと)、2004には材質(金属、プラスチック等)を入力するとx体積で自動計算することにより質量を容易に求めることができる。逆にSolidWorksからCATIA V5へはスケッチパターン、Excelによる設計テーブルなどの機能が提供された。

その操作性によりデザイン用途の利用者も存在するが、本質的には機械設計用のCADであり、複雑なコンポーネントよりはコンシューマ商品など少量で多品種のバリュエーションの多いメーカーやサプライヤーの運用に向く。

工業高校などの教育機関にはライセンスが安価で提供されており、授業や実習などで導入されているところもある。

機能体系 編集

新機能のほとんどを標準パッケージに追加し、商品ラインナップがシンプルであるため、商品の選択・把握が容易である。

CAMなどの特定業務向けの機能は自社では提供せず、サードパーティ企業がプラグイン機能やライブラリとしてサードベンダーが供給する。ユーザは同種のアプリケーションでも複数のメーカから必要な応用機能を選択購入ができる。

SolidWorksの機能構成 編集

下位の機能を包含する形で4段階のパッケージが提供されている。高額のパッケージには、多機能を求めるユーザ向けの補助的なツールが追加されている。最安価のパッケージでも、モデリングに必要な機能は提供される。

  • SolidWorks for Makers(廉価版、商用利用不可)
SolidWorks Standardとの違い
・ネットワークへの接続が必要
・SW simulation(構造解析ツール)なし
・3DEXPERIENCE WORKS SIMULIA(シミュレーション機能)なし
・Publisher ダイアログ ボックスなし
  • SolidWorks Standard(基本構成)
基本のモデラーのSolidWorksのパッケージ。
  • SolidWorks Professional (サブツールが付属する中間構成)
SolidWorks CAD Softwareの機能に加え、レンダリング、データ管理、アニメーションなどのツールを加えたパッケージ。追加ツールは3Dモデルデータの2次的な利用に便利なツールが含まれている。
  • SolidWorks Premium (最大構成)
SolidWorks Professional に加えて電気配線や配管設計を行うためのツール、構造解析SolidWorks Simulationの線形静解析のみを含んだパッケージ。

モデラー以外の機能 編集

SolidWorksは当初は純粋なモデラーであったが、ユーザの利用範囲の拡大と共にCADとしての必要な機能を順次追加している

構造解析の必要性においては、アプリケーション・パートナーであったCOSMOS(コスモス)を買収し、自社ブランドとした。商品はSolidWorksとは別に複数存在する。

  • SolidWorks Simulation (旧商品名:COSMOSWorks)
有限要素法解析により構造解析を行えるSolidWorks統合ソフト。SolidWorksで構築したモデルを同じ画面で解析できる。
  • SolidWorks Flow Simulation (旧商品名:COSMOSFloWorks)
SolidWorks上で構築したモデルを使って流体解析をするソフト。
  • SolidWorks Motion (旧商品名:COSMOSMotion)
機構シミュレーションのプラグイン

Windows準拠からスタートしたが故に、データの管理はファイルとしての扱いであり、エクスプローラによるアイコン、サムネイル、プレビューなどを提供していたが、ユーザの増大によりデータ管理のアプリケーションが追加された。

  • SolidWorks Enterprise PDM
Microsoft の SQL Server を利用したデータ管理のソフトを用意、現在はユーザを含め利用が可能になっている。3D CADのデータは、部品は部品で1ファイルとなり、組み合わせ情報を持つアセンブリ情報をもつファイルが存在し、ファイルでの扱いは煩雑。DBMSを利用したツールでは、部品の組み込み関係、親子の構造などを一貫して破綻なく管理できるため、必須の機能となっている。

脚注 編集

  1. ^ ダッソー・システムズ・ソリッドワークス社、SolidWorksライセンスの累計販売数200万本突破を発表 - 2013年7月13日閲覧

参考文献 編集

外部リンク 編集