Wikipedia:井戸端/subj/パブリックドメイン著作物にGFDLを適用できるか

投稿者が著作権を保持しない著作物にGFDLを適用できるか 編集

「投稿者が著作権を保有しない著作物につき、投稿者が当該著作物にGFDLを適用可能か」について皆様にご教授いただきたく今回投稿いたしました。

投稿者が著作権を有しないということは、(1)他人が著作権を保有する場合、(2)だれも著作権を有しない(パブリックドメイン)場合、 のどちらかを考えるわけですが、(1)については議論をまたないでしょう。ですから(2)の場合について考えてみます。GFDLでは、

This License applies to any manual or other work, in any medium, that contains a notice placed by the copyright holder saying it can be distributed under the terms of this License.
--GNU Free Documentation License 1. APPLICABILITY AND DEFINITIONS

となっており「著作物に対してGFDLを適用しようとする者は当該著作物の著作権者でなければならない」すなわち「GFDLの権原は著作権」と解釈されると考えます。となると、パブリックドメインの著作物につきGFDLは適用できない、と結論づけられます。

簡単に言ってしまえば、誰もが制限なしに使える物なのに、誰かが勝手にGFDLという制限をつけるのはおかしいのでは、という素朴な疑問だったわけですが、ウィキペディアではどのように解釈されているのでしょうか。Wikipedia:著作権#投稿される方へでは、パブリックドメインの場合について書かれていないように見受けられます。

そもそも、なぜこんな事が気になったのかというと、Category:GFDL画像には、{{PD}}相当であると思われる画像なのに{{GFDL}}になっている画像がいくつか存在しているからです。なお、{{PD}}相当と判断するにあたって、Wikipedia:井戸端の過去ログ/2006年4月における「化学式、構造式の画像と著作物性」や「画像のライセンス変更について」を参考にしました。--野良猫 2007年7月19日 (木) 17:29 (UTC)[返信]

参考になるかわかりませんが、コモンズでアップロードした自作の化学構造式に {{PD-ineligible}} タグを貼付していたところ、構造式には著作権が発生する余地があるから {{PD-self}} タグに置き換えてくれ、と要請されました。そういう考え方は一定数存在するようで、アップロード者が作成したものの、著作物性を有さないと考えられるような画像にも GFDL や CC タグが貼られている例も散見されます。ウィキペディアではなくてコモンズの話なので、野良猫さんの提起された問題からは少しずれているかもしれませんが…。個人的には、作成者が別にいてPDとしている場合はともかくとして、自作の物について著作物性があるかないか判断することができない人もあると思います。それで、とりあえずGFDLにしてあるのでしょう。これをPDに変更するべきであるとした場合、著作物性のあるなしを誰が判定するのかが問題になると思われます。ウィキペディア内外での著作権侵害案件は削除依頼で議論を行うことになっているので、著作権関連の対処決定には議論が必要であると考えられ、そうすると、アップロードされた画像などに関しても、いち利用者が独断で著作物性について判定を下してしまうことはあまり好ましくない、といったところであるように思われます。しかし、議論するための場所が特に用意されているわけではないので、そのままになっているのでしょう。PDの画像をどこからか拾ってきて、それをアップロードしてGFDLにしているのはおかしい、という話がどこかであったような気がしますが、ちょっと思い出せません。--Calvero 2007年7月19日 (木) 18:09 (UTC)[返信]
国ごとの保護期間の違いとかは別にして。著作者名義が虚偽だったりしなければ、あるPD画像をGFDLと書いたところで、PDはPDなのでGFDLが効力を持たないということではないかなあと。PDの彫刻を写真に収めたりした場合は、写真のほうの著作権についてGFDLということはあります。--Ks aka 98 2007年7月19日 (木) 18:28 (UTC)[返信]
それはそうなのですが、そういうのをそのまま放置しておいて良いのだろうか、ということなのではなかろうかと。--Calvero 2007年7月19日 (木) 18:35 (UTC)[返信]
Calveroさん、Ks aka 98さん、ご回答ありがとうございます。とりあえず、「パブリックドメインにある著作物につき利用者にGFDLによる契約を要請することは不当」という理解で良いのでしょうか。
前の投稿でCategory:GFDL画像を具体例として挙げましたが、ウィキペディア、ウィキソース、コモンズについても同様の問題が生じうると考えます。個々の著作物(投稿物)がパブリックドメインであるかの判断については今は考えないことにして、パブリックドメインにある著作物につきGFDLを適用したままで問題が無いのかどうかについて。二次的著作物についても当然著作権は発生するわけですが、原著作物がパブリックドメインであるにもかかわらずGFDLを要請して当該二次的著作物の著作権者の権利を制限(侵害?)してしまうのは不法行為に当たらないのでしょうか。不法行為であれば訴訟リスクが出てくるわけですが、これはWikipedia:免責事項で対応とも考えられるわけで、しかしそうなると、今度は消費者契約法との関係についての疑問が出てくるわけで・・・。
また、Calveroさんの「著作権関連の対処決定には議論が必要であると考えられ」については全く異論はありません。「このライセンス、不適当じゃないですか?」というのを議論できる場所があれば良いと思います。
この件はもしかして、気にするほどのことではなかったのでしょうか?--野良猫 2007年7月20日 (金) 16:05 (UTC)[返信]

んー、民法はわかってないですけど、直感的には、気にしなくていいと思う。戦時加算とか、旧法から新法への切り替えでややこしい場合に裁判になってる時とかでも、不法行為でどうこうって話は聞いたことないように思いますし。二次的著作物の著作権者がPDでリリースしたい場合は、元の画像データがPDなことが明らかならPDにしちゃえばいいし、GFDLでリリースした人は著作権者じゃないから訴えることはできないし、二次的著作物の著作権者がGFDLでリリースするなら違いはない。元の著作物がPDでも、画像データとしては、どこかで撮影なりスキャンなりというステップが必要で、正対しての写真やスキャンは、通常保護の対象にはならないと考えられるけれど、補正の程度によっては権利を主張しようとする人もいるかもしれなくて、それはそれでコミュニティではなんとも決めようがないので、放っておくのがいいのではないかと思います。--Ks aka 98 2007年7月20日 (金) 17:15 (UTC)[返信]

上記の二次的著作物云々の話について。画像に創作性があるかないかは対象にしておりません。原著作物(投稿物)がパブリックドメインであるという前提での話です。原著作物がパブリックドメインにあるときは、二次的著作物の著作権者は当該二次的著作物をパブリックドメインでもGFDLでもない状態、言い換えれば当該二次的著作物を独占排他的利用が可能な状態にできる。(これを嫌ってGPLやGFDLが作られたわけですが。)しかし、今回問題にしているように、原著作物がパブリックドメインであるのにもかかわらず、GFDLを適用されると当該二次的著作物をGFDLにすることを強制される。これは不法行為に当たらないのか、という趣旨です。免責事項を理由に「パブリックドメインであることを知らなかった二次的著作物の著作権者の責任」とすることも可能なのかもしれませんが、消費者契約法によって免責事項が無効とされる可能性もあるかもしれない。・・・といった仮定なのです。--野良猫 2007年7月20日 (金) 18:26 (UTC)[返信]

PDということがわかってるなら基本的にはGFDL自体が失効、ある著作物の二次的著作物についてGFDLにすることを強制されることはなく、当該二次的著作物を独占排他的利用が可能な状態にできます。GFDLのタグを選んだこと自体を過失と問えるかどうか、というと、著作権者を投稿者と明示しているならともかく、それは難しいんじゃないでしょうか。二次的著作物の著作権者は、原著作物の著作権もGFDLも確認していないってことになりますから。HPの引用禁止表示みたいなもの、というと、ちょっと違うか。あと画像の投稿者は消費者契約法上の「事業者」にはあたらないと思いますが…。ここから先は、他の方の登場を待ちたいなあ…。で、そういうのは別にして、明らかにPDなのにGFDLになってたら、ライセンス差し替えるのが好ましい、と。--Ks aka 98 2007年7月20日 (金) 19:26 (UTC)[返信]

とりあえず、画像の投稿者が消費者契約法における事業者にあたるかどうかについて。

第二条 この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。
2 この法律において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。
3 この法律において「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。
-- 消費者契約法

「事業」とは、「一定の目的をもってなされる同種の行為の反復継続的遂行」であるが、 営利の要素は必要でなく、営利の目的をもってなされるかどうかを問わない。

-- 内閣府『逐条解説 消費者契約法』平成14年3月、第2部、26頁

以上より、信頼されるフリーな百科事典を――それも、質も量も史上最大の百科事典を、共同作業で創り上げるために(一定の目的)、投稿(同種の行為の反復継続遂行)を行う行為は「事業」であって、ウィキペディアン(の集団=社団)は「その他の団体」、投稿者は「事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人」と解することができると思うのですが。--野良猫 2007年7月21日 (土) 00:46 (UTC)[返信]
おお。勉強になります(納得しきれていないけれど論駁する知識はない)。--Ks aka 98 2007年7月23日 (月) 18:50 (UTC)[返信]

著作物ではないものをGFDLで「利用許諾」しても、効力はない(GFDLの条件に従って利用しなければならないという利用者の義務は生じない)というのは間違いないと考えます。そして、本来、著作権法上は完全フリーであるはずのコンテンツの自由な流通が阻害されてしまうという点では、客観的に著作物ではないものをGFDLタグをつけて投稿することは、望ましくないことといえます。

しかし、一方で、コミュニティ(第三者)の判断によって強制的にGFDL→PDの変更をさせるのも問題があると思います。実務上は著作物であるか否かを明確に判断するのは難しいので、GFDL→PDに変更させられたコンテンツが、後に客観的に著作物と認められた場合に、意に反してPDとされてしまった画像投稿者と、PDであると信じてコンテンツを利用した者との間の紛争が問題となるからです。

ここは、当事者(画像の投稿者と利用者)による解決に委ねるべきではないかと思います。

著作物ではないにもかかわらず、GFDLタグがついたコンテンツを発見した場合であって、それを利用したい場合は、概ね次の3つの選択肢があるのではないでしょうか。

  1. 投稿者本人に納得してもらった上で、自発的にGFDL→PDに変更してもらう。拒否されたら2または3へ。
  2. 形式的にGFDLの条件を守って利用する。
  3. GFDLの条件を無視して利用する。

3の場合、著作物であると主張する投稿者との間で紛争が生じるおそれがありますし、ウィキペディアにおいては、第三者によって削除依頼されたりGFDL違反者のレッテルを貼られるおそれがありますが、それらは自己責任で解決ということで。

私だったら、著作物とはいえないまでも、ある程度の創作性があって、作成者(投稿者)の個性が現れていることにより、投稿者がオリジナルを主張しうるものであれば1または2を選び、投稿者が明らかにオリジナルを主張できそうにないものについては、3を選ぶと思います。--ZCU(全中裏 改め) 2007年7月21日 (土) 01:56 (UTC)[返信]

ZCUさん、ご回答ありがとうございます。「著作物ではないものをGFDLタグをつけて投稿することは、望ましくない」とのことなので、本件「投稿者が著作権を保持しない著作物にGFDLを適用できるか」については「できない」という私の認識はおおよそ間違いではないということでしょうか。また、「コミュニティ(第三者)の判断によって強制的にGFDL→PDの変更をさせるのも問題」というご意見について全く異論ございません。
ただし、望ましくないライセンス状態の投稿物を放置しておくのは問題だと考えます。異論は多々あるかと思いますが、私は、画像の投稿者と利用者間による解決を待たずに(具体的に問題が起こる前に)コミュニティの判断によってライセンスの見直しを投稿者にお願いする(強制ではない)、というような形で訂正していくことは、やったほうがいいのではないかと思います。コミュニティが他者のGFDL違反には厳しく追及するのに自身のパブリックドメイン利用には甘い状態は望ましいとは思えません。私は次のような制度があると良いのではと思っています。
  1. 不適当なライセンス状態の投稿物を発見した利用者は、当該ライセンスの見直しについてコミュニティに諮る
  2. コミュニティーはライセンス状態が望ましいかどうか合議する
  3. 「現状は望ましくない」との合意に達した場合、当該投稿者に「ライセンス見直し」をお願いする
  4. ライセンスを変えるか変えないか当該投稿者の裁量
  5. 利用者が当該投稿物をどう利用するかは裁量(自己責任)
コミュニティーは「GFDLではなくてパブリックドメインの可能性もある」という事を示すだけで良いと思います。ライセンス設定に疑問が有ることを示しておけば、パブリックドメインであると確信している利用者が、いらずらに非難されることはないでしょう。
とりあえず、疑わしい著作物についてどのように利用するかは現状では利用者側の裁量(自己責任)ということになりそうですね。--野良猫 2007年7月21日 (土) 17:00 (UTC)[返信]
こんにちは。消費者契約法との関連について言及した部分ですが、野良猫さんの意見では、ウィキペディアはプロジェクトとして事業に相当するから同法が適用されうると考えたようですが、そもそもウィキペディアの利用者を集団としてくくって社団とみなせるか(事業を営んでいる法的な主体)とみなせるかどうかには一致した見解がないというのが僕の感触です。僕自身はこの問題について意見できるほどの見識もないし、本当のところ関連のある話なのか自信がないのですが、何かの参考になるかも知れないので一応ご紹介させて下さい。
Wikipedia‐ノート:利用規約の過去の版に議論があります。それに関連した議論が利用者‐会話:ゆすてぃんにも少し。いずれも主にゆすてぃんさんとT. Nakamuraさんが述べられている意見です。
ちなみに、本題により関係が深いところでは、ライセンスつけかえのお願いについては、よい考えのように僕には思えます。Tomos 2007年7月25日 (水) 13:57 (UTC)[返信]
Tomosさん、ご意見・ご紹介ありがとうございます。ご紹介いただきました議論について勉強させていただきます。--野良猫 2007年7月25日 (水) 18:24 (UTC)[返信]
(追記)ご認識・誤解等ございましたらご指導いただきたく思います。さて、ご紹介いただいたWikipedia‐ノート:利用規約の過去の版におけるゆすてぃんさんの22:12 2004年2月24日 (UTC)の投稿の事をおっしゃっているのではないかと推察いたしますが、この議論は「権利能力なき社団とは認められないだろう」という話であり「社団にはならない」という意味とは解しがたいです。そもそも、社団とは、「一定の目的によって結集した人の集団」のことでありますから、Tomosさんの疑問「ウィキペディアの利用者を集団としてくくって社団とみなせるか」については「見なせる」と考えます。もう一つ、ご紹介いただいた利用者‐会話:ゆすてぃんにおけるT. Nakamuraさんの01:31 2004年4月12日 (UTC) の投稿にある「ウィキペディアの権利関係を、投稿者の著作物に対する自動公衆送信権の集合体である「権利能力なき財団」と捉える」というようなことも可能でしょう。しかし、消費者契約法第二条第2項については次のように解説されています。

「その他の団体」には、民法上の組合(民法第667条~第688条)をはじめ、法人格を有しない社団又は財団が含まれる。各種の親善、社交等を目的とする団体、 P.T.A.、学会、同窓会等や法人となることが可能であるがその手続を経ない各種の団体がこれに含まれる。法人格を有しない場合のマンション管理組合もこれに含まれる。

-- 内閣府『逐条解説 消費者契約法』平成14年3月、第2部、29頁

以上によりますと、Wikipedia:免責事項GFDLの契約が、ウィキペディア投稿者個人と利用者個人の契約であれ、ウィキペディア投稿者の社団との契約であれ、ウィキペディアに投稿された著作物の財団との契約であれ、消費者契約法の「その他の団体」として「事業者」と扱われることになると考えます。
なんだか、GFDLとPDの話よりも消費者契約法の話の法ばかり書いているような気がしてますが、もしこのまま議論が続くようであれば、Wikipedia:井戸端に新しく節を立た方が良いのでしょうか。--野良猫 2007年7月27日 (金) 13:37 (UTC)(取消線追記--野良猫 2007年7月29日 (日) 13:02 (UTC)[返信]
僕はあまりに乏しい理解しか持ち合わせていないのですが、(ましてや「指導」できる立場には全然ないのですが、)誰もフォローしないというのもちょっと気になるので少しだけ。。権利能力なき社団というのは法人格なき社団とも呼ばれますから、それにすら相当しない集団というのは、社団とはみなせず、契約の主体となることもできないし、訴訟の対象となることもできないし、同法の適用対象外ではないのかなと思いました。(法人格のない組合などに該当するならまた別でしょうが。)野良猫さんが引用された文章もそんな風に読めるかな、でも本当のところはどうなのだろう、と僕は断言などはできないのですが。Tomos 2007年7月29日 (日) 04:52 (UTC)[返信]
当然私も法律の専門家ではありませんから「指導」などできる立場ではありませんが。そもそもは、ウィキペディアが社団でも財団でもないとしても、消費者契約法第二条2項は「この法律において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。」ので、ウィキペディアでの活動に事業性が認められれば「Wikipedia:免責事項」は無効になるかもしれない、というのが私の2007年7月21日 (土) 00:46 (UTC)の投稿の趣旨であります。ウィキペディアが社団か財団かどちらでもないかは重要なことだとは思いません。個人も消費者契約法の対象のようなので。どちらかといえば、事業性が認められるかどうかが重要だと考えます。(この事業性の部分については異論は今のところ無いようですが・・・)
私の認識において「社団」には、法人格を有する社団と「権利能力なき社団」とそのどちらでもない社団があると考えておりました(いろいろ調べた所によると、この考えは誤りのようです。)。このように考えていた理由は、(1)「権利能力なき社団」は実体としては法人格を有する社団と同等でありながら何らかの理由で法人格を有していない社団のことで(法人からは程遠いが社団とみなせる団体があると思っていた)、(2)「社団」とは単に共通の目的をもった人の団体にすぎない(参考)、というものです。このような認識の上で私は議論を進めていました。私のこの認識が誤りであれば、つまり、ウィキペディアの利用者をまとめて団体とはみなせないのであれば(この部分が鍵のようですね。私は上述のとおり団体だと考えていましたが)、当然Tomosさんの考えるように「社団とはみなせない」でしょう(そしてたぶんその通りのようなのですが)。本当のところは、「訴訟になってみないとわからない」のかもしれませんが。--野良猫 2007年7月29日 (日) 13:02 (UTC)[返信]