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二胚動物 - ノート 編集

選考終了日時:2019年12月11日 (水) 14:36 (UTC)

  •   賛成 推薦者票です。入れ忘れていました。--Kingfiser会話2019年12月3日 (火) 17:24 (UTC)[返信]
  •   賛成 一つの生物群の記事として十分な内容だと思います。通常の生物の場合、特徴(形態)の解説が最初にあって、次いで生態・生理・生活環などの解説があるべきですが、本種のような生物の場合、むしろ形態の特徴が生態や生活環により説明される部分が大きい(用語自体も最初に生活環で説明した方がわかりやすい)ようなので、通常の生物記事とは異なる変則的な構成ですが、この生物に関してはこれが適切だろうと思います。
人工培養について
この種の生物をin vitroで培養するのは困難と思われますが、§4.1「環境と生存率」あたりの記述を見ると、一応宿主に依存しない環境での人工培養は可能なようですね。しかし、生活環すべてに渡る(つまり複数世代に渡る連続的な)培養も可能なのでしょうか。§3.1「生活環」を見ると、滴虫型幼生が外界に放出された後、新宿主に定着するまでのことはほとんどわかっていないようなので、少なくとも現在のところ、滴虫型幼生の生活環すべての培養はできないのだろうと推測されますが、ロンボジェンだけのコロニーなら何世代分も継続させることは可能なのでしょうか。
また、そのような培養が可能な場合、培地の成分とか温度環境などはどのように制御するのでしょうか。そういうテクニカルな話は、一般的には生物記事自体に書くようなことでもないと思いますが、最後に記述があるようにモデル生物としても重要になりそうな生物だけに、培養に関する技術的な話題もちょっと触れてもらえれば、と思います。
個体群密度について
一頭の頭足類に寄生しているニハイチュウはどれくらの数になるのでしょうか。もちろん宿主やニハイチュウの種類によって違うでしょうが。また実際の宿主一頭あたりの個体群密度(ニハイチュウの数÷体積 or 面積)はどれくらいなのでしょうか。(こちらは種の組み合わせによらず比較的一定値になりそうな気がしますが)
栄養源について
宿主の消化管血管肝臓に寄生する生物というのは、まあ栄養豊富なスープに浸っているようなものですから、十分に生きていけることは理解できるのですが、尿で生きているというのはちょっと意外な感じです。には他の生物にとっての栄養分が案外豊富に残っていたりしますが、尿というのはどんな動物でも老廃物(と水分とミネラル)以外の何ものもないのでは、と思います。頭足類の尿には、この程度の小さな生物を養うには足りるくらいの栄養分が何か含まれているのでしょうか。ニハイチュウは尿のどんな成分を栄養源としているのでしょうか。
アメリカのニハイチュウ相
日本とヨーロッパのニハイチュウ相についてこれだけ記述するならば、同じくらいよく調べられているアメリカのニハイチュウ相についても、一節を立てて同様な記述があった方が良いと思います。
§3 生態
  • 「外洋性の頭足類にはニハイチュウは少なく、代わりに原生動物の繊毛虫であるクロミディナ Chromidinaが見られる」
「代わりに」ということは、クロミディナも頭足類の腎囊に寄生し尿を摂取している生物なのでしょうか。それとも「代わりに」というのは単に「別の寄生虫」という意味であって、クロミディナは別の場所に寄生しているのでしょうか。
§3.1 生活環
  • 「そこから形成された卵と精子で自家受精を行い」
有性生殖とは言っても、雌雄同体かつ自家受精で完結してしまうようですが、たとえばゾウリムシ接合のような形で他個体との遺伝子交換は行われないのでしょうか。
  • 「これらの成体と蠕虫型幼生はともに長虫状をなし、蠕虫型個体としてまとめられ」
幼生から(ネマトジェンからの相転換ではなく)直接ロンボジェンになることはないのでしょうか。もしそうならば、「これらの成体」という表現は、直接ロンボジェンになる幼生が存在するような誤解を招きかねないので、「ネマトジェンとロンボジェンと蠕虫型幼生は...」とした方が良いと思います。そもそもネマトジェンとロンボジェンという区別自体が、幼生を生じる個体の区別なので、両者とも成体に対する名称であることは前提、というのはわかりますが、あまりなじみのない言葉なので。
§9 ヨーロッパのニハイチュウ相
  • 「滴虫型幼生の特徴を使うことなく記載されているものが多く、そのため本当に複数の種に亘って寄生しているか確かめるためこれらの種の滴虫型幼生の細胞配置を調べる必要がある」
たしかに、§2「下位分類」を見ると、分類指標として「滴虫型幼生の細胞総数、芽胞囊細胞の核数」が含まれていますが、成体の特徴も基準に含まれているようです。つまるところ、成体の特徴だけでは決定的な同定はできず、滴虫型幼生の特徴が最終的な区別点となるということでしょうか。
  • 「Pseudicyema truncatumは80%近くの寄生率をもつ最も普通種である」
この種は複数種のイカに寄生するようですが、この寄生率というのは何を母数とした数字でしょうか。本種の寄生が確認されているすべての宿主(の総数)に対する寄生率でしょうか。それとも特定の種(たとえばヨーロッパコウイカ)に対する寄生率でしょうか。
出典
  • 出典8「越田・常木・古屋 2000」
これは
越田豊・古屋秀隆・常木和日子 (2000). “細胞数の最も少ない多細胞動物―ニハイチュウの生活―”. 化石研究会会誌 33 (1): 20-24. 
のことでしょうか。そうであれば「越田・古屋・常木 2000」のように、著者名の順序は出典どおりに書いていただきたいと思います。別に「越田・常木・古屋 1993」という出典があるため、もしかしたら著者名が「越田・常木・古屋」となっている2000年出版の別の資料を参照していて書誌情報を書き忘れているのかも、とも考えられるからです。
  • 内容とは直接関係はないことですが、本記事のように出典を短縮形で表記する場合は、書誌情報へのアンカーリンクをぜひ付けていただきたいと思います。理由についてはこちらで述べているように、検証が非常に面倒だからです。紙の資料なら、出典が短縮形で表記されているページと書誌情報が記載されているページを両方開いて何回も見比べることができますが、ブラウザの場合、いちいちスクロールを上下して見比べなければならず、その手間の面倒さは、紙の本で複数のページを見比べる手間の比ではありません。特に、記事の分量が大きく、本記事のように同じ著者による多数の参考文献がいくつもあるような場合は、参考文献一覧から該当の書籍を見付けるのはたいへんです。アンカーリンクを入れるには{{harv}}や{{sfn}}と{{Citation}}のテンプレート組み合わせ、または{{Anchor}}タグを使う方法があります。{{harv}}や{{sfn}}は後付けで入れるのは大変ですが、{{Anchor}}タグは後付けも比較的簡単です(Anchorタグの使い方も先のページで解説しています)。今回の記事については今更直してくれとは申しませんが、次回の記事からはぜひアンカーリンクを付けていただければと思います。
--Loasa会話2019年12月4日 (水) 02:21 (UTC)[返信]
  Loasaさん、ご丁寧に読んでいただきありがとうございます。深く理解されているようで、感服いたしました。私も分からないところがありますので、ひとまず存じていることから述べさせていただきます。
栄養源について
尿の成分については、古屋秀隆 (2004a). “中生動物ニハイチュウの形態と生活史の適応”. 比較生理生化学 (日本比較生理生化学会) 21 (3): 128-134.  に、Lapan, E.A. (1975). Comp. Biochem. Physiol. 52: 651-657. を参照して詳しく記載されていましたので、おいおい追記します。ただし、ニハイチュウがその中のどんな物質を特に吸収しているかは書かれていなかったため、マッチした答えではないかもしれません。
生活環について
2点目は「ネマトジェンからロンボジェンの相転換は、同一個体の成体の変化なのか、もしくは蠕虫型幼生を介した相転換なのか」ということでしょうか。これはともに正しくて、古屋秀隆 (1999a). “ニハイチュウの生物学”. うみうし通信 (水産無脊椎動物研究所) (24): 2-5.  には “The dicyemid Mesozoa as an integrated system for morphogenetic studies. I. Description, isolation and maintainance”. J. Exp. Zool. 193: 147-160. を参照し、「ネマトジェンと蠕虫型幼生はロンボジェンへ相転換するとされる」とあります。
生態について
確かにこの文面からは文意が取りにくいですね。ご明察の通り、クロミディナは腎囊内で、腎臓表面に貼りついて栄養分を吸収しており、ニハイチュウと同じニッチを利用しています。上記の古屋 (2004a)にもニハイチュウと生活史が収斂している旨が述べられています。更に出典を探し、追記してみます。
ヨーロッパのニハイチュウ相について
1つめの分類形質については、私もそのように理解しております。成体の細胞数は重要な分類形質ですが、細胞数は少ないためやはり一致する点も多く、滴虫型幼生の細胞配置まで比較してみないと別種かどうか判別できないということでしょう。Furuya, Hidetaka; Hochberg, F.G.; Tsuneki, Kazuhiko (2004). “Cell Number and Cellular Composition in infusoriform Larvae of Dicyemid Mesozoans (Phylum Dicyemida)”. Zoological Sciennce 21: 877-889. に細胞数と細胞配置について詳しく述べられていましたので、こちらもこれから読んでみます。
出典について
「越田・常木・古屋 2000」については手許の論文を確認してみたところ、私の誤記のようです。確認不足でした。申し訳ありません。
また、アンカーリンクは活用してみます。Template:Anchorはかつて使用したことがあるので、今からでも導入してみます。
残りの内容に関しては私は存じておりませんので、少々お待ちください。--Kingfiser会話2019年12月4日 (水) 06:15 (UTC)[返信]
(タイプミスを修正しました)--Kingfiser会話2019年12月4日 (水) 06:48 (UTC)[返信]
  報告 出典の修正及びTemplate:Anchors適用は完了しました--Kingfiser会話2019年12月4日 (水) 17:26 (UTC)[返信]
  以下、上の回答の続きです。
ヨーロッパのニハイチュウ相について
2つ目の「Pseudicyema truncatumは80%近くの寄生率をもつ最も普通種である」はFuruya, Hidetaka; Souidenne, Dhikra (2019). 11 Dicyemids.  in Gestal, Camino; Pascual, Santiago; Guerra, Ángel; Fiorito, Graziano; Vieites, Juan M. (2019). Handbook of Pathogens and Diseases in Cephalopods. Springer. pp. 159-168. doi:10.1007/978-3-030-11330-8. ISBN 978-3-030-11329-2 にある、
P. truncatum is the most common species observed with the highest prevalence, nearly 80%.
の直訳なのですが、ここで参照しているFuruya, Hidetaka; Hochberg, F.G. (1999). “Three new species of Dicyema (Phylum Dicyemida) from cephalopods in the Western Mediterranean”. Vie et Milieu 49: 117–128. (Furuya & Souidenne (2019)には1998とあったが実際は1999)を見てみると、
A total of 4 species of dicyemids were found in 63 of 77 individuals(82 %) of the cuttlefish host, Sepia officinalis, namely : Dicyema whitmani ; Dicyemennea gracile ; Microcyema vespa ; and Pseudicyema truncatum (see Table III)
とあり、訳すと「Dicyema whitmaniDicyemennea gracileMicrocyema vespaPseudicyema truncatumの4種のニハイチュウが宿主のヨーロッパコウイカ Sepia officinalisの77個体中63個体(82%)から見つかっている。」で、複数種なのでおかしいのかとも思ったのですが、実際表Ⅲを見ると、P. truncatumはそのほとんどからみつかっており、これは正しいことが解りました。よって、この文はヨーロッパコウイカ Sepia officinalisに寄生しているPseudicyema truncatumの寄生率が約80%である旨に修正すべきですね。
アメリカのニハイチュウ相
これについてはまだ総論のような文献を見つけられていないのですが(メキシコ湾からの各種の記載論文やこういった報告はある)、オーストラリアのニハイチュウ相に関するもの
があるので、これは追記できるかなと思います。--Kingfiser会話2019年12月4日 (水) 17:26 (UTC)[返信]

賛成のみ3票以上の状態が48時間継続のため、早期終了・通過となります。--Tam0031会話2019年12月6日 (金) 14:00 (UTC)[返信]