ムーカMūka[1][2]あるいはムカースラ: मुकासुर, Mukāsura)は、インド神話に登場するアスラ族の名である。ダイティヤ族に属するアスラであり、ディティの息子とも[1]ウパスンダの息子とも言われる[3]

神話

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ムーカは『マハーバーラタ』に登場する。パーンダヴァ最大の英雄アルジュナはあらゆる武器を学ぶため、ヒマラヤに住むシヴァ神を訪ね、山中で厳しい修業を行った。すると聖仙たちはアルジュナを恐れて彼を止めるようにシヴァ神に訴えた[4]。そこでシヴァ神は山岳民キラータ英語版の姿をして、神妃パールヴァティブータたちを伴ってアルジュナのもとに現れた。そのときムーカは野猪の姿に化けてアルジュナを殺そうとしたが、アルジュナとシヴァ神は獲物を奪い合うかのようにムーラを攻撃し、ムーカは双方の攻撃を同時に受けて殺された[5][3]。その後、アルジュナとシヴァ神はどちらが先にムーカを倒したかで口論となり、激しく戦った[6]

脚注

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  1. ^ a b マハーバーラタ』3巻(森林の巻)40章7。
  2. ^ マハーバーラタ』3巻(森林の巻)40章14。
  3. ^ a b インド神話伝説辞典』p.318。(ムーカ)
  4. ^ マハーバーラタ』3巻(森林の巻)39章。
  5. ^ マハーバーラタ』3巻(森林の巻)40章1-16。
  6. ^ マハーバーラタ』3巻(森林の巻)40章17以下。

参考文献

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  • 『原典訳 マハーバーラタ3』上村勝彦訳、ちくま学芸文庫、2002年。ISBN 448008603X 
  • 菅沼晃編 編『インド神話伝説辞典』東京堂出版、1985年3月。ISBN 978-4-490-10191-1 

関連項目

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