坂井瑠星

日本の騎手 (1997-)

坂井 瑠星(さかい りゅうせい、1997年平成9年)5月31日 - )は、日本中央競馬会(JRA)所属の騎手である。栗東トレーニングセンター矢作芳人厩舎所属。マネジメントは、山崎隆士(株式会社ザッキーファーム)。

坂井瑠星
第40回フェブラリーS優勝騎手インタビュー
(2023年2月19日)
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 東京都[1]
生年月日 (1997-05-31) 1997年5月31日(26歳)
身長 170 cm
体重 48 kg
血液型 O型
騎手情報
所属団体 日本中央競馬会
所属厩舎 矢作芳人栗東
初免許年 2016年
免許区分 平地・障害
重賞勝利 26勝(中央17勝、地方6勝、海外3勝)
G1級勝利 8勝(中央5勝、地方3勝)
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来歴・人物 編集

1997年平成9年)、東京都出身。父は大井競馬の元騎手で調教師坂井英光、叔父に笠松競馬の元騎手、坂井薫人という競馬一家で育つ。幼い頃から競馬が身近な存在で、小学生の頃、父親の影響で騎手を志す[2]。中学時代の同級生には坂井より1年遅れて騎手デビューした川又賢治がいた[3]

2013年(平成25年)4月に騎手課程32期生として競馬学校に入学[4]矢作芳人厩舎の所属となるが、これは坂井の父が大井競馬の騎手であり、調教師の矢作の父である矢作和人も大井競馬場の調教師であったことも関係していた[5]。また競馬学校時代には、目標とする騎手であるという[2]福永祐一の付き人としても学んだ[5]2016年(平成28年)2月に競馬学校を卒業[4]、同年度の騎手免許試験に合格[6]。同期には荻野極菊澤一樹木幡巧也藤田菜七子森裕太朗がいる[4]

2016年3月、矢作芳人厩舎に所属し、3月5日阪神競馬第3競走でビアンカリボンに騎乗しデビュー(14着)。同年4月2日の阪神競馬第4競走でグランプリアクセルに騎乗し初勝利を飾った[7][8]

初年度は4月17日の阪神競馬第3競走で4頭が絡む落馬事故に巻き込まれ[9]、左第2肋骨骨折などの負傷[10]で約1ヶ月騎乗出来ない時期があったものの、25勝を挙げ関西所属の新人騎手では最多勝となり、加えて騎乗停止がなかったことも評価され中央競馬関西放送記者クラブ賞を受賞するなどの活躍を見せた[11]

2017年11月16日よりオーストラリアでの自主研修を開始[12]。翌2018年3月10日に初勝利、その後のレースでも勝利し、異国の地で1日2勝を挙げた。またこの時期に拠点をビクトリア州からアデレード (SA州)へと移している。

ドバイワールドカップミーティングの際にはドバイへ渡り、リアルスティールなどの追い切りを手伝った。

2018年5月にビザ更新の為、日本に一時帰国、5月16日から5月27日の間は日本で騎乗し東京競馬場で行われたオープン特別の欅ステークスを自身が所属する矢作厩舎のドリームキラリで勝利するなど5勝を挙げた。安土城ステークスでは同じく矢作厩舎のモズアスコットに騎乗、レースでは1番人気に推されるも出遅れてしまい、最後は鋭い末脚を見せたが2着に敗れた。なおこの1週間後、モズアスコットは連闘で挑んだ安田記念クリストフ・ルメールを背に初GI勝利を挙げている。

再びオーストラリアに戻った際に、アデレードのトップトレーナーであるライアン・バルフォー厩舎と専属契約を交わし、11月にオーストラリアを離れるまでバルフォー厩舎の主戦騎手として活躍した。

2018年10月20日、オーストラリアのコーフィールド競馬場で行われたコーフィールドカップでソールインパクトに騎乗し、これがGI初騎乗となる。日本の若手騎手が海外のGI競走でGI初騎乗を果たすのは極めて異例のことである。およそ1年オーストラリアで騎乗し、通算16勝の成績を残した。同年末に帰国[13]

オーストラリアでの騎乗を終えた後は自主研修のためにアメリカと香港へ渡り、香港では香港国際競走へ出走するモズアスコットなどの追い切りを手伝った。帰国後の朝日杯フューチュリティステークスでコパノマーティンに騎乗し日本でのGI初騎乗も果たした。

以降、2019年のフィリーズレビューノーワンに騎乗して優勝 (プールヴィルとの1着同着)し重賞初優勝を挙げると[注 1]京都大賞典 (騎乗馬ドレッドノータス)、中日新聞杯(騎乗馬サトノガーネット)と重賞 (G2・G3)勝利を重ねる。

2020年には日本ダービーサトノインプレッサに騎乗して同競走初騎乗となった(4着)。その後、7月8日のジャパンダートダービーダノンファラオに騎乗して優勝し、GI級競走初優勝を挙げた。

2021年2月にはジャスティンサウジアラビアリヤドダートスプリントに出走して6着、そのままジャスティンとともにドバイゴールデンシャヒーンへと転戦。本番までおよそ1ヶ月の長期滞在となったドバイでは、シャルジャ競馬場で行われたアラブ種のレースに参戦したり[14][15]、地元馬ポエッツプリンスでG3・アブダビチャンピオンシップに騎乗(8着)するなど、現地で騎乗経験を積んでいる[16]

2021年9月には凱旋門賞に挑戦するディープボンドの帯同馬であるエントシャイデンに騎乗するためフランスへ遠征。9月1日に同地で開業している日本人調教師・清水裕夫の管理馬フォールインラブに騎乗してエヴルー競馬場の一般戦で1着となり、フランスでの初勝利を挙げた[17]

2022年3月、バスラットレオンに騎乗してゴドルフィンマイルに勝利。海外重賞初制覇を果たす。10月、スタニングローズに騎乗して秋華賞に勝利。JRA・GI初制覇を果たす[18]。12月には朝日杯FSドルチェモアで制し、2022年内にJRAのGI2勝を挙げた。年間98勝で全国リーディング8位となり初のトップ10に入る。

2023年2月、レモンポップに騎乗したフェブラリーステークスに勝利。自身のJRA・GI3勝目を果たすとともに、2023年最初のGIジョッキーとなった。同馬で10月の盛岡マイルチャンピオンシップ南部杯と、12月はチャンピオンズカップで優勝し、GI通算6勝目(地方2勝含む)を挙げる。この勝利で年間勝利数自己最多の99勝目に到達した。翌週12月9日には阪神3R・2歳未勝利戦で、ペプチドシュチクに騎乗して勝利し、自身初のJRA年間100勝を達成[19]。2023年度7人目の年間100勝騎手となり[19]、最終的に年間107勝で全国リーディング7位となる。さらには自厩舎の2歳馬フォーエバーヤングJBC2歳優駿全日本2歳優駿を勝利する[20]

2024年2月24日、サウジカップデーにてG3・サウジダービーをフォーエバーヤングで制した[21]

2024年3月24日、マッドクールに騎乗した高松宮記念に勝利。自身のJRAGI・5勝目を果たした。

主な騎乗馬 編集

 
2022年秋華賞(騎乗馬スタニングローズ

※太字はGI・JpnI競走。

騎乗成績 編集

日付 競馬場・開催 競走名 馬名 頭数 人気 着順
初騎乗 2016年3月5日 1回阪神3日3R 3歳新馬 ビアンカリボン 16頭 8 14着
初勝利 2016年4月2日 2回阪神3日4R 3歳未勝利 グランプリアクセル 18頭 1 1着
重賞初騎乗 2016年8月21日 2回札幌2日11R 札幌記念 レッドリヴェール 16頭 10 16着
重賞初勝利 2019年3月10日 3回中山5日11R フィリーズレビュー ノーワン 18頭 12 1着
GI初騎乗 2018年12月16日 5回阪神6日11R 朝日杯FS コパノマーティン 15頭 15 11着
GI/JpnI初勝利 2020年7月8日 6回大井3日11R ジャパンダートダービー ダノンファラオ 13頭 6 1着
中央GI初勝利 2022年10月16日 4回阪神5日11R 秋華賞 スタニングローズ 16頭 3 1着

年度別成績 編集

日本中央競馬会 (JRA) が発表している騎手データに基づく[7]

年度 1着 2着 3着 騎乗数 勝率 連対率 複勝率
2016年 25 27 26 472 .053 .110 .165
2017年 36 36 31 569 .063 .127 .181
2018年 10 7 6 86 .116 .198 .267
2019年 30 36 45 525 .057 .126 .211
2020年 42 41 53 640 .066 .130 .212
2021年 53 39 51 541 .098 .170 .264
2022年 98 88 68 778 .126 .239 .326
2023年 107 89 76 754 .142 .260 .361
通算 401 363 356 4365 .092 .175 .257

出演 編集

テレビ番組 編集

脚注 編集

  1. ^ JRA重賞初制覇を同着で達成したのは史上初

出典 編集

  1. ^ 坂井瑠星プロフィール”. netkeiba.com. 2020年5月10日閲覧。
  2. ^ a b 28年度新規騎手情報” (pdf). 日本中央競馬会. 2017年6月28日閲覧。
  3. ^ 川又賢治騎手がデビュー9戦目でルーキー初勝利一番乗り!. 競馬ラボ(2017年3月11日付). 2018年7月28日閲覧
  4. ^ a b c “2016年度 調教師・騎手免許試験合格者”. JRAニュース (日本中央競馬会). (2016年2月11日). http://jra.jp/news/201602/021102.html 2017年6月28日閲覧。 
  5. ^ a b “【札幌だより】坂井りゅうせいくん”. サンスポ ZBAT! 競馬 (産経新聞社). (2015年8月5日). http://race.sanspo.com/keiba/news/20150805/etc15080515140003-n1.html 2017年7月14日閲覧。 
  6. ^ “坂井瑠星、現役騎手の父の助言に感謝”. デイリースポーツ (デイリースポーツ). (2016年2月12日). https://www.daily.co.jp/horse/2016/02/12/0008797559.shtml 2017年7月14日閲覧。 
  7. ^ a b JRAホームページ|データファイル|騎手・調教師データ”. 日本中央競馬会. 2017年6月28日閲覧。
  8. ^ “坂井瑠星騎手がJRA初勝利”. netkeiba.com (ネットドリーマー). (2016年4月2日). http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=108800 2017年7月14日閲覧。 
  9. ^ “阪神3R4人落馬 藤岡康騎手が呼吸困難、肋骨骨折”. 日刊スポーツ 極ウマ・プレミアム (日刊スポーツ新聞社). (2016年4月17日). http://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=1633208&year=2016&month=04&day=17 2017年7月14日閲覧。 
  10. ^ 3騎手が骨折”. 競馬ブック (2016年4月17日). 2017年7月14日閲覧。
  11. ^ “2016年度「中央競馬関西放送記者クラブ賞」は坂井 瑠星騎手が受賞”. JRAニュース (日本中央競馬会). (2016年12月25日). http://www.jra.go.jp/news/201612/122503.html 2017年7月14日閲覧。 
  12. ^ 坂井瑠星騎手、来月からオーストラリアへ”. netkeiba.com. 2018年2月7日閲覧。
  13. ^ 武者修行を終えた坂井瑠星が帰国後初勝利netkeiba.com、2018年12月16日閲覧
  14. ^ ドバイでアラブ種騎乗の坂井騎手が驚く新しい経験 | 極ウマ・プレミアム”. p.nikkansports.com. 2021年3月4日閲覧。
  15. ^ 坂井 瑠星騎手のアラブ首長国連邦における騎乗成績(2月27日(土曜)、3月5日(金曜)) JRA”. jra.jp. 2021年3月8日閲覧。
  16. ^ 中東遠征中の坂井瑠星騎手がUAEで重賞に騎乗して8着”. スポーツ報知 (2021年3月22日). 2021年3月25日閲覧。
  17. ^ 【JRA】坂井瑠星がフランス初勝利「考えていた通りのレースできた」 ミシェルも祝福 – 東京スポーツ新聞社”. 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社. 2021年9月2日閲覧。
  18. ^ 【秋華賞】スタニングローズがG1初制覇!鞍上・坂井もG1初V「最高」スターズオンアースは3冠ならず”. スポニチアネックス. スポーツニッポン新聞社 (2022年10月16日). 2022年10月17日閲覧。
  19. ^ a b 坂井瑠星騎手が阪神3Rで自身初のJRA年間100勝達成 「今年は最低でも100勝と考えていた」”. UMATOKU | 馬トク - スポーツ報知' (2023-12-09JST12:37:00+0900). 2023年12月9日閲覧。
  20. '^ 【全日本2歳優駿】フォーエバーヤングが無傷3連勝 7馬身差で圧倒 坂井瑠星騎手「ここまで離すとは」”. UMATOKU | 馬トク - スポーツ報知 (2023-12-13JST20:35:00+0900). 2023年12月13日閲覧。
  21. '^ 【サウジダービー】フォーエバーヤングがゴール寸前の差し切りで無傷4連勝 坂井瑠星騎手「自分にとって特別な馬」”. UMATOKU | 馬トク - スポーツ報知 (2024-02-24JST23:37:00+0900). 2024年2月24日閲覧。
  22. ^ スタニングローズ”. www.jbis.or.jp. 2022年4月13日閲覧。
  23. ^ ラヴェル”. www.jbis.or.jp. JBISサーチ. 2022年10月29日閲覧。
  24. ^ ドルチェモア”. JBISサーチ. 2022年12月18日閲覧。
  25. ^ レモンポップ(USA)”. JBISサーチ. 公益財団法人日本軽種馬協会. 2023年10月9日閲覧。
  26. ^ フォーエバーヤング”. JBISサーチ. 公益財団法人日本軽種馬協会. 2023年11月3日閲覧。
  27. ^ アンモシエラJBISサーチ、2024年1月18日閲覧
  28. ^ ウィリアムバローズ”. JBISサーチ. 公益財団法人日本軽種馬協会. 2024年1月21日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集