さそり座AR星
さそり座AR星(さそりざARせい、英語: AR Scorpii)は、さそり座の方向に約380光年離れた位置にある連星系である。主星は白色矮星で、伴星は太陽よりも小さな赤色矮星である。
さそり座AR星 AR Scorpii | ||
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さそり座AR星系の想像図
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星座 | さそり座 | |
見かけの等級 (mv) | 14.58[1] 14.1 - 14.6(変光)[2] | |
変光星型 | DSCT[2] | |
分類 | 連星系 | |
位置 元期:J2000.0[1] | ||
赤経 (RA, α) | 16h 21m 47.288s[1] | |
赤緯 (Dec, δ) | −22° 53′ 10.40″[1] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 12.4 ミリ秒/年[1] 赤緯: -50.5 ミリ秒/年[1] | |
距離 | 378.2 ± 52.2 光年 (116 ± 16 パーセク[3]) | |
物理的性質 | ||
スペクトル分類 | M5+WD?[1] | |
他のカタログでの名称 | ||
AR Sco[1] 2MASS J16214728-2253102[1] EPIC 204298485[1] |
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主星 | |
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分類 | 白色矮星 パルサー |
物理的性質 | |
半径 | 0.01 R☉[3] |
質量 | 0.81 - 1.29 M☉[3] |
表面重力 | 8 (log g)[3] |
表面温度 | 9,750 K[3] |
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伴星 | |
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分類 | 赤色矮星 |
物理的性質 | |
半径 | 0.36 R☉[3] |
質量 | 0.28 - 0.45 M☉[3] |
表面温度 | 3,100 K[3] |
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特徴
編集主星の白色矮星の大きさは太陽のわずか1%で、地球とほぼ同程度だが、質量は太陽の0.81倍から1.29倍とされている[3]。伴星の赤色矮星は太陽の0.36倍の大きさと、0.28倍から0.45倍の質量を持つ[3]。
元々、さそり座AR星は3.56時間周期で変光を繰り返す変光星で、たて座δ型変光星に分類されていた[3]。しかし、近年の観測によって、この連星系が3.56時間周期とは異なる、1.97分周期の変光が存在する事が分かった。この周期は、変光星としてはあまりにも短い。2016年、Buckleyらの研究チームが、この連星系を詳しく観測したところ、主星の白色矮星が、パルサーと同じように、電磁波を放出させながら自転している事が判明した[4]。それまで、パルサーはいくつも発見されていたが、白色矮星のパルサーは、理論上では存在するとされていたものの、実際に観測された例は無かった。白色矮星からは、光速に近い速度で、電子などの電磁波が放出されている[5]。それが時折、伴星の赤色矮星に衝突する事で、1.97分周期の変光をもたらしていると考えられている[4][5]。
伴星は主星の強い重力により、毎年、太陽質量の1×10−9倍分の表面のガスが、主星に吸収されている[3]。さそり座AR星の異常な性質は最初、アマチュア天文家によって発見された[6]。
脚注
編集- ^ a b c d e f g h i j AR Sco -- Eclipsing binary SIMBAD
- ^ a b AR Sco GCVS Query forms
- ^ a b c d e f g h i j k l A radio pulsing white dwarf binary star ArXiv
- ^ a b Polarimetric evidence of a white dwarf pulsar in the binary system AR Scorpii Nature
- ^ a b 奇妙な連星「さそり座AR星」の想像図、ESOが公開 AFP BB News
- ^ Amateurs Help Discover Pulsing White Dwarf Sky and Telescope