しし座AQ星は、太陽系から見てしし座の方向、約9,100光年の距離にある恒星変光星としてはこと座RR型変光星に分類され、その中でもRR(B)型またはRRd型と呼ばれるサブタイプのプロトタイプとされる[4]。年老いた星で、既に主系列から赤色巨星分枝の段階を終え、「水平分枝」と呼ばれる中心核ヘリウム核融合が始まって一時的に表面温度が上昇した段階にある。ヘルツシュプルング・ラッセル図の上では、脈動変光星として活動する「不安定帯」と呼ばれる領域にある。

しし座AQ星
AQ Leonis[1]
星座 しし座
見かけの等級 (mv) 12.37 - 13.15(変光)[2]
変光星型 RR(B)[1][2]
分類 水平分枝星
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  11h 23m 55.2752313801s[3]
赤緯 (Dec, δ) +10° 18′ 59.076153508″[3]
固有運動 (μ) 赤経: 0.392 ミリ秒/年[3]
赤緯: -14.098 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 0.3571 ± 0.0155ミリ秒[3]
(誤差4.3%)
距離 9100 ± 400 光年[注 1]
(2800 ± 100 パーセク[注 1]
しし座AQ星の位置
物理的性質
スペクトル分類 A1[1][2]
他のカタログでの名称
Gaia EDR3 3915600771844146816[3]
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物理的特徴

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恒星の進化の過程では、主系列を離れて準巨星赤色巨星分枝と進化した後の「水平分枝」と呼ばれる段階にあり、中心核ヘリウム核融合炭素となるトリプルアルファ反応で生じるエネルギーで輝いている。赤色巨星分枝の最終段階 (TRGB) と比べると、光度はほぼ変わらないが、表面温度が上がったためスペクトルはより高温のものとなっている。

変光星総合カタログではこと座RR型変光星に分類されており[1][2]、周期0.5497508日、振幅0.78等級で変光する[2]。こと座RR型変光星の中でも、基本モード (P0) と第1倍音モード (P1) の2つの振動モードが同時に作動する「RR(B)型[4]」または「RRd型[5]」と呼ばれるサブクラスのプロトタイプとされている[4]

研究史

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変光星としての研究は、1943年にドイツのゾンネベルク天文台ドイツ語版台長クーノ・ホフマイスターによってぎょしゃ座RW型の変光星として分類された[6]ことに始まる[5]。1961年、Wolfgang Wenzelは、光度曲線が強く変化することからこと座RR型変光星として再分類した[5]。1977年には、1973年から1975年にかけての測光データの分析から、二重モードのこと座RR型変光星であることが発見され、そのプロトタイプとして位置づけられた[5]

注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

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  1. ^ a b c d V* AQ Leo -- Variable Star of RR Lyr type”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2021年4月18日閲覧。
  2. ^ a b c d e Samus’, N. N.; Kazarovets, E. V.; Durlevich, O. V.; Kireeva, N. N.; Pastukhova, E. N. (2017). “General catalogue of variable stars: Version GCVS 5.1”. Astronomy Reports 61 (1): 80-88. Bibcode2017ARep...61...80S. doi:10.1134/S1063772917010085. ISSN 1063-7729. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ607bbf5829846d&-out.add=.&-source=B/gcvs/gcvs_cat&recno=26309. 
  3. ^ a b c d e f Gaia Collaboration. “Gaia data early release 3 (Gaia EDR3)”. VizieR On-line Data Catalog: I/350. Bibcode2020yCat.1350....0G. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ607bc5912e2612&-out.add=.&-source=I/350/gaiaedr3&-c=170.98031523615%20%2B10.31634738386,eq=ICRS,rs=2&-out.orig=o. 
  4. ^ a b c GCVS Variability Types and Distribution Statistics of Designated Variable Stars According to their Types of Variability”. General Catalogue of Variable Stars (2016年12月). 2021年4月18日閲覧。
  5. ^ a b c d Gruberbauer, M.; Kolenberg, K.; Rowe, J. F.; Huber, D.; Matthews, J. M.; Reegen, P.; Kuschnig, R.; Cameron, C. et al. (2007). “MOST photometry of the RRd Lyrae variable AQ Leo: two radial modes, 32 combination frequencies and beyond”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 379 (4): 1498-1506. doi:10.1111/j.1365-2966.2007.12042.x. ISSN 0035-8711. 
  6. ^ Hoffmeister, C. (1943). “171 neue Veränderliche”. Astronomische Nachrichten 274 (4): 176-180. Bibcode1944AN....274..176H. doi:10.1002/asna.19432740409. ISSN 0004-6337.