足摺岬

高知県土佐清水市にある岬

足摺岬(あしずりみさき)は、高知県南西部土佐清水市に属し、太平洋フィリピン海)に突き出る足摺半島の先端の足摺宇和海国立公園に指定されている。

岬の先端と足摺岬灯台
足摺岬の位置(日本内)
足摺岬
足摺岬
足摺岬の位置(高知県内)
足摺岬
足摺岬
足摺岬の位置(高知県)

古くは嵯陀岬とも称された[1]。また元々は「足摺崎(あしずりざき)」が正式名称であったが、観光地化の進展に伴って改称の議論が起き、広く通称として呼ばれていた「足摺岬(あしずりみさき)」が正式呼称となった。

概要 編集

 
四国本土最南端は中央奥

足摺半島南東端に位置する南向きの岬である。白皇山(標高433メートル)を中心とする花崗岩台地が隆起と沈降を繰り返すとともに、太平洋の荒波による浸蝕で形成された地形である[1]

岬周辺は足摺岬園地として整備されており、延長2kmの自然遊歩道の突き当たりには足摺岬展望台がある[2]。また、足摺岬の東側の天狗の鼻には2023年(令和5年)12月に展望広場が整備された[3]。このように海岸部の各所から日の出日の入りが一望できる。

周囲はツバキウバメガシビロウ等の亜熱帯植物が密生する。特に松尾神社境内にある松尾のアコウ自生地は国の天然記念物に指定されている[1]。沖合いはカツオの好漁場。一方で台風銀座でもあり、しばしば暴風に見舞われる。

北緯32度43分24秒、東経133度1分12秒に位置し、一般には四国最南端の地(岬)として認識されているが、正確には最南端ではない。四国本土の最南端は足摺岬の西方約1キロメートルにある「長碆」の南端部付近で、離島を含めた四国地方全体の最南端は宿毛市に属する沖の島にある。なお、長碆の先端部は陸地から安全に行きつくのは不可能である。

土佐清水市の大岐と三崎を基部とし足摺岬を先端とした区域で、白皇山を最高峰とする半島が「足摺半島」である。さらに、足摺半島を含む、宿毛市と四万十市を基部とし足摺岬を先端とした区域で、今ノ山(標高868メートル)を最高峰とする半島が「渭南半島」である。

四国八十八景(40番)「海の秘境クルーズ 黒潮による造形美」として、遊覧船からの景観が選定されている。

歴史 編集

 
1960年(昭和35年)の切手

伝説 編集

嵯峨天皇の勅願により空海(弘法大師)が創建した金剛福寺がある地で、それにまつわる場所が「足摺七不思議」と称されている[2]。亀石、汐の満干手水鉢、ゆるぎ石、地獄の穴、弘法大師の爪書き石、亀呼場、大師一夜建立ならずの華衣(とりい)が挙げられる[1]

信仰 編集

南方にある浄土へ渡るという「補陀洛信仰」(→補陀洛山寺)の舞台であり、中世には紀伊国和歌山県)の那智勝浦と並ぶ、「補陀落渡海」の船の有名な出発地であった。田宮虎彦の小説「足摺岬」はこうした歴史を背景とした作品である。この小説をきっかけに、自殺が急増した時期があり「ちょっと待て、もう少し考えよ」という自殺防止用の看板が立てられた。

観光 編集

高知県を代表する観光地の一つで、『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』では、「足摺岬」と「足摺岬からの眺望」がそろって二つ星★★と評価されている。JR四国土佐くろしお鉄道特急列車あしずり」にもその名が採られている。

あしずり港一帯はみなとオアシスの登録をしていて、海の駅あしずり(国土交通省登録の「海の駅」には未登録)を拠点施設とするみなとオアシスあしずりとして地域活性化拠点ともなっている。

ジョン万次郎 編集

足摺半島西岸にある中浜出身の漁師で、幕末の政局に大きな役割を果たしたジョン万次郎(中浜万次郎)の銅像が岬に立っている。万次郎の遺品や当時の捕鯨・航海についての資料を展示した「ジョン万ハウス」も、岬から500メートル西に設置されていたが、建物の老朽化により、2006年平成18年)4月、あしずり港内にある「海の駅」2階へ、同ハウスにあった観光案内所は足摺岬園地に移転した。その後ジョン万ハウスは、2010年(平成22年)1月にNHK大河ドラマ龍馬伝のパビリオン「くろしお社中」としてリニューアルオープンした。NHK大河ドラマ龍馬伝の放送終了に伴い、翌年4月からは「ジョン万次郎資料館」として再度リニューアルオープンし、ジョン万次郎の情報発信基地となっている。

足摺岬エリアの名所・旧跡・観光スポット 編集

節内の全座標を示した地図 - OSM
節内の全座標を出力 - KML

足摺の七不思議 編集

七不思議と呼ばれているが21個の不思議があると言われている[5]

交通 編集

鉄道・バス 編集

道路 編集

 
松尾トンネル
  • 国道321号(足摺サニーロード)分岐から足摺岬までは、東海岸回り・西海岸回り・スカイラインの3ルートあったが、2016年4月に松尾トンネルが開通したことにより西海岸回りが一番早く快適に足摺岬までいけるようになった。
    • 足摺岬有料道路(旧:足摺スカイライン)※現在は県道(椿の道)へ移管され無料開放されている。
    • 高知県道27号足摺岬公園線 - 足摺半島の海岸沿いを周回する県道
  • ゴールデンウィーク、盆休み、年末年始には通行規制が実施される。これは金剛福寺前での混雑、事故を防止するためである。1kmほど手前にある市営駐車場(無料)に駐車し徒歩もしくはシャトルバス(2023年正月時点で片道税込み100円、運行時間に注意)を利用することとなる。路線バスも一部を除いて足摺岬への乗り入れは行わず先述の市営駐車場に併設されている足摺岬センター発着となる。

周辺の名所・旧跡・観光スポット 編集

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脚注 編集

  1. ^ a b c d 足摺”. 土佐清水市. 2023年12月28日閲覧。
  2. ^ a b 土佐清水市観光マスタープラン”. 土佐清水市. 2023年12月28日閲覧。
  3. ^ 足摺岬の「天狗の鼻」に展望広場 写真映えの絶景スポットに 高知県土佐清水市”. 土佐清水市. 2023年12月28日閲覧。
  4. ^ 原武史『昭和天皇御召列車全記録』新潮社、2016年9月30日、147頁。ISBN 978-4-10-320523-4 
  5. ^ 足摺国際ホテル 足摺岬の七不思議

関連項目 編集

外部リンク 編集

座標: 北緯32度43分24秒 東経133度1分12秒 / 北緯32.72333度 東経133.02000度 / 32.72333; 133.02000