アルファロメオ・ミト
ミト(MiTo)はイタリアの自動車メーカー、アルファロメオがかつて生産していた小型2ボックスのハッチバッククーペである。
アルファロメオ・ミト | |
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フロント | |
リア | |
概要 | |
製造国 |
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販売期間 | 2008年 - 2018年 |
設計統括 | Centro Stile Alfa Romeo |
ボディ | |
ボディタイプ | 3ドアハッチバッククーペ |
レイアウト | フロントエンジン・前輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン | 1.4L 直4 |
最高出力 | 114 kW (155 PS) |
最大トルク |
ノーマル時 201 N·m (20.5 kgf·m) @ 5,000 rpm ダイナミック時 230 N·m (23.5 kgf·m) @ 3,000 rpm |
変速機 | |
サスペンション | |
前: マクファーソンストラット 後: トーションビーム | |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,511 mm |
全長 | 4,070 mm |
全幅 | 1,720 mm |
全高 | 1,465 mm |
車両重量 | 1,080 - 1,205 kg |
概要編集
2008年6月19日にスフォルツェスコ城で発表会が行われた。車格はBセグメントに属し、市場での位置はスポーツ、プレミアム寄りである。フィアット・グランデプントとプラットフォームを共用し、開発コードはZAR 955と呼ばれていた。サスペンションは、前輪マクファーソンストラット(コイルスプリング)、後輪トーションビーム(コイルスプリング)を採用している。
エンジンはすべて直列4気筒で、本国ではガソリンは4種類すべてが16バルブの1.4 Lで、自然吸気版が2種類(1.4 DOHC 16V (78 ps)と1.4 DOHC 16V(95 PS))とマルチエア+ターボチャージャー版が2種類(1.4 SOHC 16V Multiair TB 135 bhp(135 ps)と1.4 SOHC 16V Multiair TB 170 bhp(170 ps))が設定されている。ディーゼルエンジン全てSOHC 16バルブ+コモンレール+ターボで、1.3 L (1.3JTDM)と1.6 L(1.6JTDM)の2種類が用意されている。ちなみにガソリンエンジンの中で1.4 Multiair TB 170 bhp(170 ps)は、クアドリフォリオヴェルデ(英国ではクローバーリーフという名称)にのみ搭載されている。
トランスミッションは当初マニュアルのみ(6速MTおよび5速MT)であったが、2010年にアルファロメオ初の6速乾式デュアルクラッチオートマチック(アルファTCT)が設定された。ただし、搭載されるエンジンは現在1.4 Multiair TB 135 bhp(135 ps)に限られている。駆動方式は横置きフロントエンジン・前輪駆動(FF)。
この車種で特徴なのが「アルファD.N.Aシステム」であり、シフトレバー付近に配置されている上下三段階の操作スイッチを切り替えることにより、エンジンやパワーステアリング、ESPなど、関連する制御系の設定を変更することができ、スポーツ走行の「Dynamic」、市街地走行の「Normal」、雨天時などの滑りやすい路面で安全を確保する「All-weather」と、それぞれの頭文字をとって「D.N.A」と略され、ドライバーの好みや走行時の条件に合わせて3つの走行モードを選択できる。またこのシステムは、クアドリフォリオヴェルデにオプション設定されているダイナミックサスペンションとも連動しており、モードによりショックアブソーバーの減衰力を可変することができる。
車名の由来は、ミラノ (Milano) でデザインされ、トリノ (Torino) で生産されることから、それぞれの頭文字をとって「Mi.To」と名付けられた。ちなみにイタリアでは「.(ドット)」が入っているが、日本仕様には入っていない。
日本仕様編集
日本では2009年4月に発表され、同年5月より正式に発売開始となった。導入当初155 PS (114 kW) を発揮する1.4 DOHCターボチャージャー付ガソリンエンジンを搭載した1.4Tスポルト/6MTのみが導入された。ボディカラーは少なく、アルファレッド、ビアンコスピノホワイト、エトナブラックの3色。インテリアは、標準でスポーツファブリックのブラックとブラック/レッドの2種類と、オプションでフラウ社製本革シートのインテリアで、ボディカラーに応じてブラック、レッド、ナチュラルが選べた。装備は、安全装備を中心にサイドエアバッグやカーテンシールドエアバッグ、VDCなどが標準装備されていたほか、フロントブレーキにはブレンボ社製の4ポットキャリパー仕様が装備された。反面、リアシートは4人乗り仕様のためセンターヘッドレストが装備されていなかったほか、エアコンがマニュアル仕様だったり、ドアミラーが電動格納式でなかったりするなど日本仕様にしてはユーティリティーに劣る内容も見受けられた。
- 限定車イモラリミテッド
- 2009年秋には1.4Tスポルトをベースにした「イモラリミテッド」を150台の限定発売。ボディカラーには限定車専用のイモライエローを採用し、イモラ専用の18インチアルミホイール、本革シート、クローム調のヘッドランプ&テールランプベゼル&ドアミラーカバーとイモラリミテッド専用のシリアルプレートなどが装備された。
- クアドリフォリオヴェルデ
- 2010年7月には1.4 Multiair TB 170 bhp(170 ps)+ 6MTを搭載した「クアドリフォリオヴェルデ」が追加設定され販売開始となった。GTA企画とも言われており、ミト最強のスポーツバージョンとして設定されている。このクアドリフォリオヴェルデには本国でオプション設定扱いになる18インチホイールや電子制御式ダイナミックサスペンション、ポルトローナフラウ社製の本革シート、BOSEサウンドシステムを標準装備した他、右ハンドルと左ハンドルが両方とも設定されている。エンジンは後ほど追加設定される「スプリント」と「コンペティツィオーネ」と同じマルチエアエンジンであり、スタート&ストップ機能も装備されている。出力の違いは、主にコンピューターの設定と排気系の違いによるものである。
- アルファTCT+マルチエア
- 2010年10月には1.4 Multiair TB 135 bhp(135 ps)エンジンに、待望のAT仕様「6速乾式デュアルクラッチオートマチック(アルファTCT)」を搭載した「スプリント」と「コンペティツィオーネ」を発表し、同年12月より正式発売された。1.4Tスポーツよりエンジンの出力は15 psほど低く抑えられているものの、マルチエアエンジンによりレスポンスが向上し、街中での走行性は高められている。アルファ初のデュアルクラッチ式ミッションはセレスピードよりも変速ショックが格段に抑えられており、トルコンATなみのスムースな走りとなっている。クアドリフォリオヴェルデ同様、マルチエアエンジン搭載車にはスタート&ストップ機能が装備され、信号待ちなどのアイドリング時にエンジンを自動的ストップさせることができる。装備は、1.4Tスポーツに比べ様々な装備が追加され、5人乗り仕様となりリアシートにセンターヘッドレストが追加されるとともに6:4分割仕様に変更されたほか、エアコンがオート化されたり、電動格納ドアミラーが装備されることとなった。また、上級仕様のコンペティツィオーネには17インチホイールとパドルシフトが装備され、オプションでBOSEサウンドシステムが用意されている。なお、この「スプリント」と「コンペティツィオーネ」の販売を機に、初期モデルの1.4Tスポーツの販売は終了した。
MiTo GTA編集
2009年のジュネーブショーに、アルファロメオ伝統の「GTA」の名を冠した、MiTo GTA コンセプトが出品された。
乗車定員はフロントバケットシートのみの2名で、各部は相応に補強されているが、カーボンファイバーやアルミ部品の使用により、重量増は最小限に抑えられている。標準車に対して車高が20 mm下げられ、スカイフック制御を行うアクティブサスペンションが装備される。
排気量は往年のジュリアシリーズを髣髴とさせる1750 cc (1,742 cc)、最大出力は240 PS (177 kW)、0-100 km/hの加速は5秒台、最高速度は250 km/hと発表されている。