アーベルの総和公式(アーベルのそうわこうしき、: Abel's summation formula)は、級数の変形に関する公式の一つである。 部分和分の一種で、級数の大きさの評価に用いられる(この公式による級数の変形を単に部分和分ということもある)。

定理 編集

数列   と実数   に対し、 その総和を   と定める。 また関数    において微分可能とする。このとき

 

が成り立つ。

より一般に、   において微分可能なとき

 

が成り立つ。

解説 編集

この定理はアーベルの級数変形法の特殊な場合である。

また、リーマン=スティルチェス積分部分積分の公式でもあり、リーマン=スティルチェス積分を使って

 

とも表される。

証明については Apostol, 第3章および第4章 や Hardy-Wright, 第22章を参照。

編集

調和級数   について、  とおくと   より

 

が成り立つ。このことから

 

となる定数 γ が存在することが分かる。この定数 γオイラーの定数といわれる。

参考文献 編集

  • Hardy, G.H.; Wright, E.M. (2008) [1938]. An Introduction to the Theory of Numbers. Revised by D.R. Heath-Brown and J.H. Silverman. Foreword by Andrew Wiles. (6th ed.). Oxford: Oxford University Press. ISBN 978-0-19-921986-5. Zbl 1159.11001 
  • Apostol, Tom A. (1976). Introduction to analytic number theory. Undergraduate Texts in Mathematics. Springer-Verlag. doi:10.1007/978-1-4757-5579-4. ISBN 978-1-4757-5579-4. MR0434929. Zbl 0335.10001 

外部リンク 編集