インターネット上で最も不思議な曲
インターネット上で最も不思議な曲(インターネットじょうでもっともふしぎなきょく、英語: The Most Mysterious Song on the Internet)は、日本・アメリカ・欧州のインターネット文化圏において有名となった、誰が作詞作曲をしたのか、誰が歌っているのか、どこのレーベルから発売されたのか、いつ録音されたのか、それら全てが一切不明とされていた楽曲の通称である。
「Subways of Your Mind」 | |
---|---|
FEXのニュー・ウェイヴ | |
リリース | 1983年 |
録音 | 1983年 |
ジャンル | ニューウェーブ、ポストパンク |
時間 | 2分55秒(ラジオ版) 3分54秒(デモ版) |
作詞者 | FEX |
作曲者 | FEX |
「インターネット上で最も不思議な曲」は曲名ではなく、便宜上のニックネームであった[注 1]。インターネット上(主にYouTube)などに都市伝説のジャンルとして本曲について紹介・考察する多くの動画が投稿されていた。1980年代に作詞作曲され、40年以上この曲の詳細な情報に関してRedditやDiscordなどのユーザーを中心に捜索が続けられていた[1]。
2024年11月4日にてRedditのユーザーによってドイツのグループFEXがリリースした「Subways of Your Mind」という曲であることが判明した[2]。
海外の大手メディアにも取り上げられており、日本でも「ミステリアス・ソング」として知られていた。
概要
編集捜索の開始
編集2019年9月に記載されたアメリカ合衆国のローリング・ストーンの記事によると、この楽曲はダリアス・Sという男性が1984年にドイツの公共ラジオ局NDRで聴いたラジオ番組を録音した際に実際に放送されていた曲だという[3]。録音した理由について、ダリアスは音楽を好んでおり、録音した曲を聞く事を昔から好んでいたからである。音楽好きであるためラジオで流れたほとんどの楽曲は知っていたが、この曲のみ知らなかった。
録音者ダリアス・Sの妹であるリディア・Hがこの曲の正体を知りたいと思って調べてみたものの、一切の情報が分からなかった。2007年、リディアは著作権に違反しないよう本楽曲を編集した曲をいくつかのニュースサイトやフォーラムに投稿したとされる。それを聴いた人たちの中にこの曲を知っている者は誰一人としていなかった。
2007年7月、リディアにコンタクトをとった人物によって本楽曲のフルバージョンがYouTubeに投稿された。放送当時のラジオDJも捜索に乗り出したが、本人曰くその曲の記憶が一切無く、会社やラジオ局にも情報が無い。そして、かつてラジオで流した曲のリストはとっくの昔に破棄してしまっていた[3]。
一緒にカセットに録音された曲のほとんどが1984年頃にリリースされたため、この曲は1984年から1986年辺りに作成されたと推測された。YouTubeに投稿されてからより多くの人に注目され、真相解明の試みが長らく続けられた。
歌詞
編集音質が悪く、曲の歌詞は一切不明とされていた。ドイツ語またはオーストラリア英語のアクセントに似ているとされていたが、実際にはドイツ語訛りの英語で歌われていたことが判明しており、YouTubeには、歌詞をよりよく理解できるように速度やキーを修正した曲が多く投稿されている。歌詞が書かれているサイトもあるが全て憶測であった。
曲の世界観について、冷戦(共産主義・東ドイツ・ベルリンの壁)について歌っているという説や、歌手が別居や他の個人的なテーマについて歌っているとする説などが存在した[3]。
発見
編集2024年11月4日、Redditユーザーのu/marijn1412によって、この曲がドイツのグループFEXの「Subways of Your Mind」という曲であることが判明した。 Hörfestのバンドを調べているときに、このユーザーはドイツの新聞Nordwest-Zeitung Nordwest-Zeitungに掲載されているFEXのバンドメンバーに連絡を取った。ユーザーによると、バンドメンバーはFEXが本楽曲の作者であることと認めており、本楽曲を再リリースする予定であると述べている。[4][5]
同様の事例
編集本楽曲のように、作品が公開されている、または存在した記録があるにもかかわらず、詳細情報が不明である作品、あるいは不明だった作品について取り上げる。 作品が一般に公開されておらず、作品が存在したという公的記録さえも残っていないケースについては、単なる都市伝説に過ぎない可能性があるため、ここでは取り上げない[注 2]。
楽曲
編集- 「夢でもいいから」- 高橋沙羅(水瀬沙羅名義)
- 「Ulterior Motives (Everyone Knows That)」
- 「Ready 'n' Steady」- D.A. (1979年)
- 長きにわたって一切の詳細情報が不明だった楽曲。音楽チャートBillboard Hot 100にランクインしなかった楽曲を掲載するビルボード発表のチャート「Bubbling Under the Hot 100」に、1979年に3週のみランクインされていたが、楽曲情報はおろかレコードの存在すら確認できなかったため、そもそもこの楽曲は存在しないとまで言われていた。2016年に存在が確認され楽曲情報も明らかになっている[9]。
楽曲以外
編集- 第四話『狂宴』
- 詳細が一切不明なアダルト漫画の1ページの画像の通称。2006年頃からインターネットに流布したと見られる。画像の左端に「第四話『狂宴』終」と書かれていることからこの通称が付けられたが、そもそも何という作品の第4話に該当するのかすら不明である。極少数部数のみ発行された同人誌の1ページだとする説や、商業誌に見せかけたクオリティの高いフェイクだとする説がある。
関連項目
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “何もかもが謎に包まれたインターネットで最もミステリアスな曲。12年以上たっても真相は闇に包まれたまま”. ニコニコニュース. 2021年9月2日閲覧。
- ^ “長年インターネット上で最も正体不明の楽曲として扱われてきた曲の出自が明らかに | NME Japan” (jp). nme-jp.com. 2024年11月8日閲覧。
- ^ a b c “何もかもが謎に包まれたインターネットで最もミステリアスな曲。12年以上たっても真相は闇に包まれたまま (2019年10月5日) - エキサイトニュース(3/4)”. エキサイトニュース. 2021年9月2日閲覧。
- ^ Fraisse, Corentin (4 November 2024). “La 'chanson la plus mystérieuse d'Internet' a été trouvée !” (フランス語). Tsugi
- ^ Gault, Matthew (2024年11月4日). “'The Most Mysterious Song on the Internet' Has Finally Been Identified” (英語). 404 Media. 2024年11月4日閲覧。
- ^ “【リスニング注意】「秋葉原で買ったカセットテープ」収録、謎の曲とは?|ATLAS”. ATLAS (2016年11月23日). 2024年11月8日閲覧。
- ^ Klee, Miles (2023年11月12日). “Internet Sleuths Want to Track Down This Mystery Pop Song. They Only Have 17 Seconds of It” (英語). Rolling Stone. 2023年12月2日閲覧。
- ^ Robinson, Ellie (2024年4月29日). “Viral Lost Song ‘Ulterior Motives’ Found In Obscure ‘80s Porn Flick” (英語). The Music. 2024年4月30日閲覧。
- ^ “Crap From The Past - July 8, 2016: Paul Haney presents a world premiere of D.A.'s Ready 'N' Steady from 1979!”. Internet Archive (2016年7月8日). 2023年8月17日閲覧。
外部リンク
編集- YouTubeに投稿された本楽曲のフルバージョン
- PDF of Music & Media article, published September 3rd, 1984
- The Most Mysterious Song On The Internet on Know Your Meme
- The Mysterious Song (@TMMSOfficial) - X(旧Twitter) Official community Twitter account