エカント

天動説の基本要素。周転円上の惑星と従円、エカントが示されている。
エカント(Equantまたはpunctum aequans)は、天体の運動を説明するためにクラウディオス・プトレマイオスによって2世紀に作られた数学上の概念である。
右図において大きな • で示されるエカントは、×で示される従円の中心に対して地球と正反対の位置にある点である。惑星または周転円の中心は、エカントに対して一定の速度で運動すると考えられる。言い換えると、エカント上の観察者にとって、周転円の中心は一定の速度で動いているように見える。しかし、周転円の中心は、従円上では一定の速度で動かない。エカントと地球の軸の間の角度αは、時間tの関数で表わされる。
ここで、Ωはエカントから見た一定の角速度、Eは両者の距離、Rは従円の半径である[1]。
この概念により、惑星の近点の動きを説明することができたが、古代の天文学者の妥協の結果だと考える者もいた。エカントの概念を批判した者には、これに代わる説明としてトゥースィーの対円を考えたペルシアの天文学者ナスィールッディーン・トゥースィー[2]やニコラウス・コペルニクスがいた。エカントへの嫌悪がコペルニクスが地動説を考える大きな動機となった[3][4]。
出典編集
- ^ Eccentrics, deferents, epicycles and equants (Mathpages)
- ^ Craig G. Fraser, 'The cosmos: a historical perspective', Greenwood Publishing Group, 2006 p.39
- ^ Kuhn, Thomas (1957 (copyright renewed 1985)). The Copernican Revolution. Harvard University Press. pp. 70–71. ISBN 0-674-17103-9.
- ^ Koestler A. (1959), The Sleepwalkers, Harmondsworth: Penguin Books, p. 322; see also p. 206 and refs therein. [1]
関連項目編集
外部リンク編集
- Ptolemaic System – at Rice University's Galileo Project
- Java simulation of the Ptolemaic System – at Paul Stoddard's Animated Virtual Planetarium, Northern Illinois University