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エーカジャ: एकज ekaja)または一生族(いっしょうぞく)は、インドにおける4つのヴァルナのうち、シュードラと女性をさす。インドにおいて、歴史的にヴェーダの儀礼祭式より排除されるなど、さまざまな差別待遇を受けてきた[1]

概要編集

後期ヴェーダ時代(紀元前1000年頃-紀元前600年頃)における創造讃歌『プルシャ・スークタ(原人の歌)』は、4つのヴァルナ(社会的身分)が生まれた由来を問い、その答えのなかとして次のように説明している[2]

神々が原人を切り分かちたるとき
いくつの部分に切り離したるや。
その口は何に、両腕は何になりたるや。
その両腿は、その両足は何とよばれるや。
その口はバラモン(司祭)となれり。
その両腕はラージャニヤ(武人)となれり。
その両腿からはヴァイシャ(農民、商人)、
その両足からはシュードラ(奴隷)生じたり。

「ヴァルナ」の原義は「」であり、上位からそれぞれの4色であった。

マヌ法典』にしたがえば、バラモン(司祭者階級)、クシャトリヤ(ラージャニヤ、武士階級)、ヴァイシャ(庶民階級)はそれぞれ、ヴェーダを学ばなければならないとされ、ヴェーダの祭式に参加する資格を与えられており、8歳から12歳にかけての男子が、その階級の一員になったことを示す聖なるをかけられる儀式に参加する。これによって彼らは幼年時代を終え、ヒンドゥーの四住期における「学生期」(ブラフマチャルヤ)にはいるとされた。それに対し、シュードラ(隷属民階級)は上記3身分に仕えることが主な仕事であり、インド社会における苦役を一手に引き受ける階級とされ、単に母親から生まれただけの「一生族」とされて、ヴェーダを学ぶことが許されていない。インドの先住民であるドラヴィダ人を起源とし、彼らが被征服民であるという観点から説明しようという考え方もある。

『マヌの法典』では、女性はどのヴァルナであっても、シュードラと同じ一生族とされている[3]

脚注編集

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  1. ^ 藤井(2007)[要ページ番号]
  2. ^ シュルバーグ(1973)p.39-40
  3. ^ 森本 2003, pp. 191-192.

関連項目編集

参考文献編集

  • 森本達雄『ヒンドゥー教―インドの聖と俗』中央公論新社中公新書〉、2003年。ISBN 4-12-101707-2
  • 辛島昇・前田専学・江島惠教ら監修『南アジアを知る事典』平凡社、1992.10、ISBN 4-582-12634-0
  • ルシル・シュルバーグ原著『ライフ人間世界史18 インド』(Historic India)タイム・ライフ・ブックス(日本語版編集:座右宝刊行会)、1973
  • 藤井毅『インド社会とカースト』山川出版社<世界史リブレット86>2007.12、ISBN 4-634-34860-8