口角下制筋(こうかくかせいきん、: depressor anguli oris muscle)は人間の頭部の浅頭筋のうち、口唇周囲にかけての口筋のなかで上唇と口角を下方にひく筋肉である。オトガイ三角筋: triangularis muscle)とも。

口角下制筋
口輪筋の筋繊維の配置図。口角下制筋は右下に書かれている"Triangularis"
頭頸部の筋肉。濃い赤色の所が口角下制筋
ラテン語 musculus depressor anguli oris
英語 Depressor anguli oris. triangularis muscle
グレイの解剖学 書籍中の説明(英語)
モダイオラス、口輪筋
作用 口角を下に引く
アナトモグラフィー 三次元CG
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概要

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口角下制筋は下顎骨下顎体斜線(犬歯から第一大臼歯)から起始し、口角付近の皮膚と口輪筋上部に停止する(皮筋[1]。口角ではモダイオラスを形成する[2][3]顔面神経頬筋枝により支配される[4]。胎生27週でも口角下制筋が認められると報告されている[5]

口角を引き下げる働きがあり、不機嫌な顔つきをする際に機能する(表情筋)[6]

近傍に存在する筋肉には口唇下制筋オトガイ筋口輪筋広頚筋笑筋などがある。

画像

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脚注

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  1. ^ "口角下制筋 ... 起始部位は犬歯から第一大臼歯に至る下顎骨の斜線で,停止部位は口角付近の皮膚と口輪筋上部である。" Drake 2011, p. 861 より引用。
  2. ^ 宮尾直文「日本人口筋の解剖学的研究口角下制筋, 下唇下制筋, オトガイ筋, 口輪筋の起始について」『歯科学報』第72巻第12号、東京歯科大学学会、1972年12月、1927-1950頁、ISSN 0037-3710 
  3. ^ 権田悦通羽生哲也藤井弘之藤井輝久柳生嘉博 著「4章 総義歯補綴治療に必要な形態的事項」、権田悦通 編『最新総義歯補綴学』(第2版)医歯薬出版、1999年3月20日、40-41頁。ISBN 4-263-45428-6 
  4. ^ 高橋宏明臨床に役立つ局所解剖 顔面神経と顔面表情筋」(PDF)『日本耳鼻咽喉科学会会報』第95巻第7号、日本耳鼻咽喉科学会、1992年7月、1100-1103頁、doi:10.3950/jibiinkoka.95.1100ISSN 0030-6622JOI:JST.Journalarchive/jibiinkoka1947/95.11002011年11月3日閲覧 
  5. ^ 島田茂孝後藤昇島田和幸保阪善昭ヒト胎児の顔面表情筋と顔面神経分布について」(PDF)『昭和医学会雑誌』第61巻第3号、昭和大学・昭和医学会、2001年6月、322-332頁、ISSN 0037-4342JOI:JST.Journalarchive/jsma1939/61.3222011年11月3日閲覧 
  6. ^ "口裂より下方の筋 口角下制筋 depressor anguli oris muscle ... がある ... 口角下制筋は,不機嫌な顔つきをするときに働く筋である。... 作用は,口角を下方に引くことである。" Drake 2011, p. 861 より引用。

参考文献

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  • Drake, Richard (2011). グレイ解剖学 (原著第2版 ed.). エルゼビア・ジャパン. ISBN 978-4860347734 

関連項目

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