カセットテープデッキ、通常略してカセットデッキと呼ばれるのは、カセットテープの録音・再生装置である[1]

TEACのカセットテープデッキ
TechnicsのカセットテープデッキRS-612US。1976年-78年頃の製品
ヤマハのカセットテープデッキK-300。1983年頃の製品
JVCのカセットテープデッキTD-W504の背面。左下が入力端子と出力端子
他の音響装置と組み合わせコンポーネントステレオを構成した例。カセットデッキは上から2段目である。1番上はチューナー。3番目はCDデッキ(CDプレーヤー)。4番目はアンプ(増幅装置)。その下はレコードプレーヤー(ターンテーブル)。

カセットデッキは通常、他の音響機器と接続して使う。カセットテープデッキにはスピーカーが含まれない。

再生時はカセットデッキの出力端子とアンプ(増幅装置)の入力端子をケーブルで接続し、アンプにさらにスピーカーなどを接続して音を聴いたり、あるいはカセットデッキのヘッドフォン用出力端子にヘッドフォンのプラグを挿して音を聴く。録音時にはカセットデッキの入力端子と、FM/AMチューナーやCDデッキやレコードプレーヤーなどの出力端子をケーブルで接続するのが一般的で、あるいは入力端子にマイクロフォンからの出力を接続する。

コンパクトカセットのものが最も普及し一般的で、特に断らないとそれを指していることが多いが、他のオープンリールのデッキやエルカセットのテープデッキと比較する文章などでは、それを明確に指すためにコンパクトカセットデッキと言うことがある。エルカセットのテープデッキだけを明確に指すにはエルカセットデッキと言う。以下、一般的なコンパクトカセットデッキを中心に説明する。

カセットデッキの基本構造

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カセットデッキの基本構造に不可欠な部品は次のとおりである[2]

  • ヘッド - 録再ヘッドは録音および再生に使われる。消去ヘッドは録音を消すためのヘッドである。
  • キャプスタン - 再生スピードを決めるための金属製の細い回転軸。テープに直接触れる。高級機種になるほどキャプスタンの回転をより安定させるための工夫がされ、カセットテープ特有のワウフラッター、すなわち音のたわみ、音高の上下のブレ、が少なくなる。
  • ピンチローラー - ゴム製のローラーであり、上述のキャプスタンと一対になることでテープを挟み、キャプスタンの回転がテープに正しく伝わるよう働く。
  • ハブ駆動軸 - テープを巻き取る装置。再生の際には一定速度でゆっくりと回転し、早送りや巻き戻しの際には高速で回転する。

歴史

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カセットテープがオランダのフィリップスで開発されたのは1960年代初頭のことだった。コンパクトカセットデッキはオープンリール式のオープンデッキと比べるとテープスピードやトラック幅などでハンディキャップを負っていたにもかかわらず、1980年ころにはハイファイステレオの一装置として広く普及した状態になっていたが、それはカセットテープがオープンリールに比べて扱い易い性質を備えていただけでなく、メーカーによって性能向上の努力が続けられハイファイ機器としての性能を満たすようになったからであった[3]。カセットデッキに1980年ころまでに導入された技術の中で重要なものにはダイレクトドライブモータ(DD motor)、2キャプスタンメカによるテープ走行特性の改善、3ヘッド化(3ヘッドとは消去ヘッド、録音ヘッド、再生ヘッドが、それぞれ独立しているヘッド方式[4])、電気系のノイズリダクション、オートバイアスやオートイコライザによる伝送特性の向上などを挙げることができる[3]。またそれに加えてカセットテープメーカー側の努力でメタルテープなど磁性体の改良が行われたことも挙げられる[3]。これらの技術によりカセットデッキの音響性能が進歩したことも普及に役立ったのである[3]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ [1]
  2. ^ カセットデッキの録音再生で重要な4つの部分とは?”. 2024年7月25日閲覧。
  3. ^ a b c d 樋 口 重 光 ・三 瓶 徹(日立 製 作 所 家電 研 究所 ) (1980年). “カ セ ッ トデ ッ キ の オ ー トバ イ ア ス ・オ ー トイ コ ラ イ ザ”. 2024年7月25日閲覧。
  4. ^ http://ao.gmobb.jp/pelodi/3headhistory.html

関連項目

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外部リンク

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