蚵仔煎

福建と台湾の代表的な美食
カ仔煎から転送)

蚵仔煎オアチエンオアゼン、Ô-á-tsian)は、台湾中国福建省の代表的な屋台料理の一つで、マガキ入りのオムレツである。

蚵仔煎
中国語 蚵仔煎
発音記号
標準中国語
漢語拼音kēzǎi jiān
閩南語
閩南語白話字ô-á-chian
蠔煎
中国語 蠔煎
発音記号
標準中国語
漢語拼音háo jiān
客家語
客家語拼音o-chian
粤語
粤拼hou4 dzin1
台湾鹿港鎮の蚵仔煎

名称 編集

台湾語・中国語 編集

台湾語では、「蚵仔煎」という漢字で表記されているが、オアチエン(ô-á-chian)と読む。

中国語では、クーツャイジエン(kēzǎi jiān)と読む。

台湾人は中国語も通じるが、日常会話の中ではこの「蚵仔煎」を中国語の読み方では無く、台湾語の読み方にする。これは台湾独有の現象であり、明らかに中国起源の料理ではない場合には、中国語の読み方を使えない。

英語・日本語 編集

英語圏では、漢字が無いため、その制作方法から「カキ入りのオムレツ(Oyster omelette)」と称するが、実は澱粉が主材料の粉物料理の一種であり、欧米のオムレツと全然違う。また、鶏卵の量は蚵仔煎一人分あたり一個が普通であり、オムレツより日本お好み焼きもんじゃ焼きに似ている。

日本語では、本稿の「蚵仔煎」以外、英語から翻訳された「牡蠣オムレツ」と表記されることも多い。

特徴 編集

一般に福建と台湾では、平たい鉄板の上で油(ラードを使用するのが一般的である)を(香味に刻みニンニクを油に加えることもある)熱した後、小粒のカキを炒め、白菜または春菊(他にネギニラ水菜など、青菜なら何でもよい。もやしを加えることもある)を加えた後、水で溶いたサツマイモ澱粉(片栗粉)生地と卵で綴じ、(澱粉液を流し込んでから卵液をかける、または卵は隣で別に焼いて、焼いた澱粉生地をひっくり返して合わせる、という手順もある。生地と卵を完全には混ぜない点が特徴である)、コテで一人分ずつに切り分け、ひっくり返して反対の面を焼いて、上から甘辛いたれ(オイスターソース、スイートチリソース甜辣醬)、豆板醤ケチャップ魚醤醤油膏(とろみ醤油)、などを合わせたもの)をたっぷりとかける(塗る)。

画像 編集

類似の料理 編集

香港では煎蠔餅 (粤拼: zin1 ho4 beng2)、蠔仔餅 (粤拼: ho4 zai2 beng2) または蠔烙といい、野菜は葱や香菜が使われ、魚醤や更にニンニク唐辛子などの入ったたれとともに提供される。

起源広東省潮汕地区で、潮州料理の影響を受けている広東香港タイマレーシアシンガポールなどで見られる。シンガポールやマレーシアでは蚝煎または蚝爽といい、タイにはオースワン (ออส่วน) という。またホイトート (หอยทอด) は揚げ物の要素が強い食感の異なる料理である。

カキではなくエビを入れたものは蝦仁煎と呼ばれる。

関連項目 編集