ギャングエイジ(gang age)とは、児童の発達に現れる特徴の一つであり、児童が教師や保護者より友達を大切にし始める時期のことである。

概要編集

継続的な友人関係を作れるようになるのを背景に、教師から集団の形で自立し、仲間だけで行動する。いわゆる「群れ遊び」の時期であるが、都市化学習塾や習い事により遊びの3間(時間・空間・仲間)が失われ、ギャングエイジが喪失しつつある。

スポーツ少年は逞しく見えるが、実態は大人の指示で動いている。そのため発達課題を乗り越えられず、思春期以降に躓く子供が増えている。今では高学年でヒマな子は問題児が多く、「朱に交われば赤くなる」を避けるため遊ばせるのを嫌がる親もいる。

ギャング」とは、チームやユニット、仲間を意味する語句である[1]。古来、出発(to go)や旅行(journey)を示す言葉であり、そこから港湾労働者のチームを示す言葉となった[2]。日本でも心理学以外ではこの意味で使用されている。例えば、自動車輸送船への自動車を積み込みを専門に行う作業において、そのドライバーや作業員はギャングという単位で呼ばれている[3]。したがって、ギャングエイジ(gang age)を直訳・意訳すれば、「仲間時代」あるいは「大人からの旅立ち時代」となる。かつては「徒党時代」と訳されていたが、現在では一般に徒党という言葉自体が使われなくなっている。 

依田新は、その特徴を「8歳以後においては、児童だけの集団(ギャング)が発達し、ジャン・ピアジェによって明らかにされたように,自発的協働と同意との相互性に基づく相互的義務(すべてのものに対する同じ権利と罰)を属性とする平等な公平が支配する児童集団において自主的に規則が制定され、自立的に遵守されてゆく」と述べている[4]。また、田中熊次郎は、ギャング遊びとして、チャンバラやめんこ、木のぼりをあげている[5]

このように本来は、マフィアストリートギャングなど犯罪者集団を指す単語ではないものの、仲間(gang)を悪者(gangster)と混同する場合がある。この混同により、ギャングエイジを悪い行動と捉えたり、青年期非行グループに見られる排他的集団と誤解される場合もある。

就学前から小学校低学年までの友人関係は、機会的で継続性がない。たまたま遊び場に居合わせれば友人であり、そこを離れれば友人関係は消滅する。しかし、小学校中学年になれば、仲間が継続的になり、学級全体で自立や挑戦を始める。保護者との約束よりも仲間との約束を重視するようになる。限度がわからないため、悪のりや悪ふざけになることがある。高学年になると趣味の多様化や性別などにより、集団は小さくなる。また、排他性や教師への反抗も生じる。※高学年は個人差が大きく、幼いグループはギャングエイジが続いている。

中学生になれば、関心の対象は内面の世界に移行し始め、ギャングエイジの特性は徐々に弱くなっていき、終焉する。集団での反抗、自立経験をもとに、個人の反抗、個人の自立を始める。しかし不良少年グループは、遅れてやってきたギャングエイジとも言える。

脚注編集

  1. ^ 日本船主協会:海運資料室:海運雑学ゼミナール 69 「ギャング」の意味は海と陸とでこんなにちがう
  2. ^ en:Gang
  3. ^ 日本船舶海洋工学会 海洋教育推進委員会 - 海の不思議箱港で働く/「ギャング」たち
  4. ^ 依田新「道徳性の発達」、波多野完治・依田新『児童心理学ハンドブック』(1974年・第15版)、金子書房、1959年、355頁
  5. ^ 田中熊次郎「興味の発達」、波多野完治・依田新『児童心理学ハンドブック』(1974年・第15版)、金子書房、1959年、326-332頁

参考文献編集

  • 波多野完治依田新 『児童心理学ハンドブック』(1974年・第15版) 金子書房、1959年。ISBN 9784760825257