クーマ目(くーまもく)、学名 Cumacea は、甲殻類の一分類群である。クマ目とも呼ばれる。フクロエビ上目に分類されている点では、等脚類ダンゴムシフナムシ)・端脚類ヨコエビワレカラ)・アミ類等に近い分類群である。

クーマ目(クマ目) Cumacea
大西洋北東部・地中海Iphinoe trispinosa
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 軟甲綱(エビ綱) Malacostraca
亜綱 : 真軟甲亜綱 Eumalacostraca
上目 : フクロエビ上目 Peracarida
: クーマ目 Cumacea
Krøyer, 1846
下位分類群
8-11科・1300種以上(本文参照)

特徴

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"Cuma"(クーマ)はギリシア語で「」「胎児」の意である。これは甲殻類の分類を行っていたアンリ・ミルン=エドゥアール1840年にこの甲殻類を調べ、十脚目の幼生形とみて Cuma audowini と命名したためとされる。その後この分類群が抱卵することが判明し、十脚目とは独立した分類群として認識されるようになった[1]。英語での総称は"Hooded shrimp"、「フードをかぶったエビ」の意だが、エビを含む十脚目ホンエビ上目であり、やや遠縁である。

丸みを帯びた頭胸部と細長い腹部をもつ。複眼は無柄で小さく、頭胸部の前に二つ近接してついている。成体のオスは触角、胸部付属肢外肢、複眼が発達する。一方、メスは左右の脚の間に卵を抱える育児嚢がある。体長はほとんどが数mm程度だが、北大西洋産のDiastylis goodsiri (Bell, 1855) は体長35mmに達する。日本最大種は体長18mmに達する Heterocuma sarsi Miers, 1879 で、これは西日本沿岸からインド太平洋暖海域に広く分布する[1][2][3][4]

全世界のに分布する海生甲殻類だが、カスピ海にも生息する。波打ち際から水深7,000m以上の深海まで種類によって棲み分ける。昼は海底に潜みながらデトリタス等を摂食し、夜に腹部を使って水中を遊泳する。メスは交尾後に産卵し、受精卵はメスの育児嚢に抱えられ保護される。子はノープリウス幼生期を育児嚢内で過ごし、マンカ幼生 Manca という形態から親を離れて単独生活に移る。成熟までの期間は種類によって異なり、1年-数年ほどと考えられている[1]

人間にとって直接の利用価値はないが、他の甲殻類、頭足類魚類等の餌となり、食物連鎖の上では重要な位置にある[1]

下位分類

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8-11科・1300種以上が報告されている。日本産クーマ類は蒲生重男によって多くの新種が記載されている[1][4][5][6]

  • ナギサクーマ科 Bodotriidae Scott, 1901 - 382種
  • Ceratocumatidae Calman, 1905 - 11種
  • クーマ科 Diastylidae Bate, 1856 - 281種
  • Gynodiastylidae Stebbing, 1912 - 103種
  • ランプロプス科 Lampropidae Sars, 1878 - 90種
  • シロクーマ科 Leuconidae Sars, 1878 - 121種
  • ナンナスタクス科 Nannastacidae Bate, 1866 - 350種
  • †Ophthalmdiastylidae Malzahn, 1972 - 化石種5種
  • Pseudocumatidae Sars, 1878 - 29種

参考文献

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  1. ^ a b c d e 蒲生重男クーマ類について(総説)』甲殻類の研究 (1), 73-90, 1963-11-03 日本甲殻類学会
  2. ^ 内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』1948年初版・1999年重版 北隆館 ISBN 4832600427
  3. ^ 内海冨士夫・西村三郎・鈴木克美『エコロン自然シリーズ 海岸動物』1971年発行・1996年改訂版 ISBN 4586321059
  4. ^ a b 三浦知之『干潟の生きもの図鑑』2007年 南方新社 ISBN 9784861241390 / 海と生き物 宮崎と南九州の自然
  5. ^ G. Anderson (2010). "Cumacea Classification" (PDF). Peracarida Taxa and Literature. University of Southern Mississippi
  6. ^ WoRMS - World Register of Marine Species - Cumacea