サイトカイン療法(サイトカインりょうほう、: Cytokine therapy)とは、免疫細胞が産生するタンパク質インターフェロン(IFN)やインターロイキンを投与し免疫細胞を活性化することで、悪性腫瘍や一部のウイルス性肝炎の治療を行う免疫療法のひとつ[1]。治療効果は限定的で認められている疾患は限られている[2][3]

効果が認められている疾患例 編集

腎臓がん[2]、悪性黒色腫[2]、C型肝炎[4]骨髄異形成症候群[5]など

  • インターフェロン アルファ(α) - 腎臓がん
  • インターフェロン ベータ(β) - 悪性黒色腫
  • インターフェロン ガンマ(γ) - 菌状息肉症、セザリー症候群
  • インターロイキン2(腎がん)
  • ペグインターフェロン アルファ-2b(悪性黒色腫)

製剤 編集

薬物 作用機序 臨床応用
インターフェロン製剤
  • インターフェロンα
  • インターフェロンβ
  • インターフェロンγ
  • PEG化インターフェロンα
免疫細胞を活性化して抗がん作用を発揮する。
ポリエチレングリコール(PEG)と結合させる事で、血中で安定化する。(作用時間80 - 160時間)
腎臓がん
骨髄異形成症候群[5]
胃癌
C型肝炎
インターロイキン2製剤
  • セルモロイキン
  • テセロロイキン
ナチュラルキラー細胞がん細胞を破壊する作用を強める。 血管血腫
胃癌

副作用 編集

発熱、脱毛、インフルエンザ様症状(悪寒、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感)、食欲低下、悪心、嘔吐、体重などが一般的[4]。厚労省難治性の肝炎調査研究班による副作用調査によれば[4]、精神症状(1.28%)、神経症状(0.20%)、間質性肺炎(0.18%)、甲状腺機能異常(0.85%)、眼底出血(0.34%)、自己免疫性疾患(0.25%)、糖尿病あるいはその悪化(0.26%)などと報告されている。また、腫瘍随伴天疱瘡[6]

解説 編集

自己免疫疾患に対する抗サイトカイン療法[7][8]との混同がある[9]

脚注 編集

  1. ^ 免疫療法 もっと詳しく知りたい方へ 国立がん研究センター
  2. ^ a b c 免疫療法 まず、知っておきたいこと 国立がん研究センター
  3. ^ 宮崎幸重、山本善裕、柳原克紀 ほか、カンジダ症のサイトカイン療法 日本医真菌学会雑誌 Vol.37 (1996) No.2 P.91-95, doi:10.3314/jjmm.37.91
  4. ^ a b c 林紀夫、C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法の副作用 肝臓 Vol.36 (1995) No.9 P.503-505, doi:10.2957/kanzo.36.503
  5. ^ a b 造血器腫瘍診療ガイドライン 日本血液学会
  6. ^ 駒井礼子、西岡昭二、名嘉眞 ほか、サイトカイン療法後に発症し,呼吸器症状を呈したparaneoplastic pemphigusの1例 日本皮膚科学会雑誌 Vol.109 (1999) No.4 p.635-, doi:10.14924/dermatol.109.635
  7. ^ 安部正敏、乾癬治療における生物学的製剤の現状と展開 第37回日本臨床免疫学会総会抄録集 セッションID:W5-2, doi:10.14906/jscisho.37.0.52.0
  8. ^ 鳥居秀嗣、EVS10-4 乾癬に対する抗サイトカイン療法(EVS10 抗サイトカイン療法による炎症性疾患治療の進歩,イブニングシンポジウム,第60回日本アレルギー学会秋季学術大会) アレルギー Vol.59 (2010) No.9-10 (9・10) p.1328-, doi:10.15036/arerugi.59.1328
  9. ^ 例えば サイトカイン療法 たなべ皮フ科・形成外科

外部リンク 編集