ザビーネ・シャル

ザビーネ・シャル (Zabine Chareux[1][注 1]) は、劇場アニメ機動戦士ガンダムF91』および漫画機動戦士クロスボーン・ガンダム』に登場する架空の人物。声優梁田清之が担当。

デザイン編集

デザインは『F91』のキャラクターデザイン全般を担当した安彦良和による。初期稿では細めのサングラスを着けていたが、競泳用のゴーグルみたいだからという理由で[4]総監督である富野由悠季の提案により片眼鏡に変更された。伊達眼鏡か片目なのかは、スタッフの間でも特に決まっていないとのこと[5]

声優は当初矢尾一樹が担当する案もあり[6]、劇場版前売券付属のOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』第1話のリーフレットにもクレジットされている。また、矢尾自身も「青春ラジメニア」にゲスト出演した際に「僕が(ザビーネを)演じる予定だったのに、知らないうちに収録が終わっていた」と笑い話にしたこともある。また、実際に声優を担当した梁田はザビーネを「シャア・アズナブルガルマ・ザビを足して2で割ったキャラクター」「能ある鷹は爪を隠す、といった感じの男」と評している[7]

設定解説編集

『F91』における年齢は24歳[1]。金髪で、毛先は外側にカールしている。常に右目にゴーグルを着けているのが特徴であり、右目は失明しているとする説もある[3]。劇中では「成り上がり」と揶揄されることもあるが、貴族の出身とする説もあり、ビーム・フラッグにも使用している太陽をモチーフにした[8]紋章はシャル家のものであるともいわれる[3]

冷静沈着、ともすれば冷淡ともとれる性格であり、感情を表に出すことはほとんどないが、礼節はわきまえている。

ロナ家が創設した私設軍隊クロスボーン・バンガード(C・V)の精鋭部隊である通称「ザビーネ大隊」、あるいは機体色を黒で統一していることから「黒の部隊(ブラックバンガード)[注 2]」とも呼ばれる第1戦闘大隊[8]の指揮官を務めるエース・パイロットであり、ベルガ・ギロスに搭乗する。

劇中での活躍編集

クロスボーン・バンガード入隊まで
小説版『F91』によれば、16歳のときにブッホ・エアロマシンのモビルマシン開発部門に就職、テスト・パイロットを務めながらハイスクールを卒業する。将来のクロスボーン・バンガードの指揮官としての立場に立てるよう、地球連邦軍の士官学校に送り込まれ、同校卒業者の義務である3年間の連邦軍勤務を終えてからC・Vに入隊する[9]
なお、小説版ではフロンティアIV侵攻時にも大隊を率いて出撃している。
コスモ・バビロニア建国戦争期
アニメ版『F91』では、宇宙世紀0123年3月16日の[10]フロンティアIV制圧後、10年ぶりに帰還したベラ・ロナモビルスーツ (MS) の教官を担当する。これを期にベラに取り入り、ロナ家の家名を得ようとしているとする資料も多いが[11][12]、アニメ劇中や小説版でもそれに該当する描写は、ザビーネに好意をもつアンナマリー・ブルージュの嫉妬による「思い込み」を除いて見られない。結果的に、それが原因でアンナマリーはC・Vから離反する。
その後、大隊を率いてフロンティアI内部に侵攻。ベラもビギナ・ギナに搭乗して随伴するが、出撃直前にザビーネは白ユリの花束をプレゼントし、ベラ機の頭部にテープで貼り付ける。地球連邦軍に寝返ったアンナマリーのダギ・イルスと一騎討ちとなり撃破するが、乗機の左腕を斬り落とされる。黒の部隊は連邦軍のたった1機のMSによって全滅したとC・V隊員の間で噂されるが、ザビーネとほか2機が生還。なお、ベラは連邦の練習艦スペース・アークに投降している。
30日には[10]デナン・ゲー(黒の部隊仕様)に乗り換え、残る部下とともに戦線に復帰。フロンティアIの鉱区でベラ機がガル・ブラウを撃沈するのを目撃、直後にガンダムF91と合流したことから謀反を起こしたとして[注 3]追撃しようとするが、同時に味方の艦であるザムス・ガルから自分の知らない識別信号(モビルアーマーラフレシア)が発進するのを観測し、そちらに向かう。座乗するジレ・クリューガーを問い詰めるが、自分は関知していないとしらを切ったため射殺する。ラフレシアの撃破を確認した際に、当初は多数の連邦軍MSによるものと考えるが、その宙域にガンダムF91 1機しかいないことを知り驚嘆する。しかし、ワイヤーによる接触回線でF91のパイロット(シーブック・アノー)がセシリー(ベラ)を捜索していることを知っても手を貸そうとしない。一方で、付近を航行していたスペース・アークが難民船と化していることと、F91の母艦かもしれないことから見逃し、ドレル大隊と合流して31日に[10]コスモ・バビロニアに凱旋する。
以降については、『クロスボーン・ガンダム』ではコスモ・バビロニアのエースとして、『F91』劇中では実現しなかったF91との交戦が何度かあったことがキンケドゥ・ナウ(シーブック)から語られる(乗機はベルガ・ギロス)[14]。また、コスモ・バビロニアの残虐な殲滅の手法を見て離反したとみずからキンケドゥに語っている[15]
木星戦役期
10年後の0133年を描いた漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』では、ベラが地球征服を企む木星帝国総統クラックス・ドゥガチを倒すために宇宙海賊として再興したクロスボーン・バンガードの一員として参加している。右目のゴーグルはそのままだが、髪はカールしておらず肩口まで伸びている。
かつてのライバルであったキンケドゥとともにエース・パイロットとしてクロスボーン・ガンダムX2に搭乗するが(ただし、シミュレーションでは7対3でザビーネのほうが勝っていたという[16])、キンケドゥからは「貴族主義」を捨てていないとして警戒されている。
その真の目的はやはりコスモ・バビロニアの復活であり、ベラ本人にその気はなくとも「クロスボーン・バンガード」を名乗る者が木星帝国を討伐することにより、ふたたび貴族主義者の人心を集めることを期待してのものであった[17]。しかし、敵の本拠地に突入してのドゥガチ討伐が失敗に終わり、勝ち目はないと悟ったことから、同志とともに叛乱を起こし母艦「マザー・バンガード」を占拠。同艦に潜入していたドゥガチの娘テテニスを手土産に、徹底した上下関係などが貴族主義の目指したそれに近い木星帝国に投降しようとする。またその際、ベラは将来貴族主義国家を再建する際に女王になるべき人物として、安全を確保するよう木星側と取引している。しかし、トビア・アナクロスの妨害により失敗し同志は鎮圧され、結局単独でX2に搭乗して木星側のモビルシップ「ジビア」に投降する(なお、テテニスはカラスによって連れ去られる)。その後、木星船「ジュピトリス9」内でギリによる拷問を受ける。
地球圏に到達したマザー・バンガードを連邦軍艦隊が包囲した際には、交戦の意思はない同艦とは裏腹に、X2改で連邦側を攻撃することによって同艦に反抗の意思があるように見せかけ、連邦艦隊および木星側による攻撃の口実を作る。直後にキンケドゥのX1改と一騎討ちを繰り広げ、X1改がベラの乗るコア・ファイターから射出された武器を受け取る一瞬の隙を突いて、コックピット付近を貫き勝利する。この頃には常に不気味に笑っているなど、拷問の影響からか精神面の変調が見られる。
木星帝国による地球降下作戦の直前には、地球を滅ぼしたあとの世界はどうでもよいと考えるドゥガチから「おまえにくれてやってもかまわぬ」「生き残った者で好きにするがよい」との言質をとりつけ、貴族主義社会の建設を夢見る。しかし、作戦実行時には生きていたキンケドゥのX1改とふたたび一騎討ちとなり、お互い武器がヒート・ダガーしかない状態での最後の一撃でコックピットに攻撃を受け、最期まで貴族主義への未練を口にしながら戦死する。

脚注編集

注釈編集

[脚注の使い方]
  1. ^ "Zabinè"[2] または "Zabiné"[3] と表記する資料もある。
  2. ^ 劇中におけるザビーネの台詞では「黒の戦隊」。
  3. ^ 劇中でザビーネは「ベラ・ロナ機はぼうはんした」と述べており、台本でも「謀反」に「ぼうはん」とルビが振られている[13]。「謀反」の正しい読みは「むほん」であるが、近い読みで似た意味の単語としては「造反(ぞうはん)」がある。

出典編集

参考文献編集

  • 書籍
    • 『ENTERTAINMENT BIBLE.35 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.5 コスモ・バビロニア建国戦争編】』バンダイ、1991年6月。ISBN 4-89189-157-2
    • 『講談社ヒットブックス 機動戦士ガンダムF91 パーフェクトファイル』講談社、1991年5月。ISBN 4-06-177717-3
    • 『ラポートデラックス 機動戦士ガンダムF91』ラポート、1991年6月。
  • ムック
    • 『ニュータイプ100%コレクション 機動戦士ガンダムF91』角川書店、1991年5月。ISBN 4-04-852250-7
    • 『B-CLUB SPECIAL 機動戦士ガンダムF91 オフィシャルエディション』バンダイ、1991年5月。ISBN 4-89189-155-6
  • 小説
  • 漫画
    • 富野由悠季・長谷川裕一『機動戦士クロスボーン・ガンダム』第1巻、角川書店、1995年3月。ISBN 4-04-713103-2
    • 富野由悠季・長谷川裕一『機動戦士クロスボーン・ガンダム』第2巻、角川書店、1995年8月。ISBN 4-04-713113-X
    • 富野由悠季・長谷川裕一『機動戦士クロスボーン・ガンダム』第5巻、角川書店、1997年2月。ISBN 4-04-713175-X
  • ウェブサイト

関連項目編集