シクロヘプテンは、分子式がC7H12の7員環のシクロアルケンである。引火点は−6.7 ℃。有機化学における原料とポリマー合成におけるモノマーとして用いられる。シス-トランス異性体を有する。消防法による第4類危険物第2石油類に該当する[2]

シクロヘプテン[1]
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識別情報
CAS登録番号 628-92-2 チェック
PubChem 12363
ChemSpider 11857 チェック
特性
化学式 C7H12
モル質量 96.17 g/mol
密度 0.824 g/cm3
沸点

112-114.7 °C

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
Cis-cycloheptene-chair-conformation.png Cis-cycloheptene3D.png Trans-cycloheptene3D.png
cis-シクロヘプテン
(いす形配座)
cis-シクロヘプテン
(ねじれ舟形配座)
trans-シクロヘプテン
(ねじれいす形配座)

trans-シクロヘプテン編集

シクロヘプテンにおいてはシス異性体がよく仮定されるが、トランス異性体もまた存在する。有機合成化学におけるtrans-シクロヘプテンの合成方法のひとつとしてcis-シクロヘプテンと安息香酸メチルの混合物に紫外線を-35°Cで照射する一重項光増感があげられる[3]。トランス異性体中の二重結合ひずみエネルギーが大きい[4]。一般的に、アルケンに直接結合している原子は全て同一平面状にあるが、trans-シクロヘプテンにおいては自身の環の大きさのために残った3個の炭素原子が結合して環を閉じるために十分接近することが出来ないため、アルケンとそれに結合した2つの炭素原子がその様な幾何的性状を保つことができない(ブレット則)。性状を保つには、非常に大きな結合角環ひずみ)や非常に長い結合の長さ(結合距離)が必要である。ひずみはアルケンに直接結合した2つの炭素原子の平面三角形化とそれらの相対的回転によりある程度緩和される。二重結合のピラミッド化角は37° と見積もられている。(平面三角形分子構造を持つ原子を0°として)p軌道のずれは30.1°である[3]

立体配座編集

cis-シクロヘプテンは、擬6員環であるため、いす形Cs対称性)とねじれ舟形Cs対称性)の2つの安定配座で存在すると考えられている[5]。いす形配座がより安定である[5]

trans-シクロヘプテンの安定配座は、ねじれいす形(C1、非対称)である。

脚注編集

  1. ^ Cycloheptene at Sigma-Aldrich
  2. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  3. ^ a b Squillacote, Michael E.; DeFellipis, James; Shu, Qingning (2005). “How Stable Is trans-Cycloheptene?”. J. Am. Chem. Soc. 127 (45): 15983–15988. doi:10.1021/ja055388i. 
  4. ^ Cain, D.; Pawar, D. M.; Noe, E. A. (April 2004). “Conformational studies of trans-cycloheptene, trans-cycloheptene oxide, and trans-bicyclo[5.1.0]octane by ab initio calculations”. Journal of Molecular Structure: THEOCHEM 674 (1–3): 251–255. doi:10.1016/S0166-1280(03)00367-1. 
  5. ^ a b Leong, Max K.; Mastryukov, Vladimir S.; Boggs, James E. (1998). “Structure and conformation of cyclopentene, cycloheptene and trans-cyclooctene”. Journal of Molecular Structure 445 (1-3): 149–160. doi:10.1016/S0022-2860(98)00421-9.